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フランス語を英語で学ぶ~人口オーナス時代、英語を使った学びへのシフト

この記事で、

を挙げたので、補足をしておこう。

見たままに、どちらも洋書である。

1. Grammaire progressive du francais - Nouvelle edition: Livre intermediaire

フランス人による、フランス語で書かれた文法演習書である。英語でいえば Grammar in Use -New edition(intermediate) であり、内容もほぼGrammar in Useのフランス語版といっていい。解答Corrigesは別冊(別売り)になっている。Grammar in Useのメリットは多くの人がレビューしている。そのメリットがそのままGrammaire progressive du francaisにもあてはまる。

2. French Verb Tenses (Practice Makes Perfect)

McGraw-Hill Press に Practice Makes Perfectシリーズがある。そのフランス語文法の動詞に焦点をあてた文法・演習書である。Tensesは時制を意味する。

Practice Makes PerfectシリーズはEnglishSpanishItalianGermanJapaneseなど、多くの言語で展開されており、それぞれにBasicAll-in-One(Complete)Verb TensesConservationVocabularyなどのバリエーションがある。解答は巻末についており、別途買わなくてもいい。

※ Practice Makes Perfectは、数年ごとに改訂されており、バリエーションが多いため、どれを買えばいいかがわかりにくい。2023/01時点の円安状況で、洋書は割高なため、買うのであれば前版のユーズドでもいいと思う。気になるけれど、どの本を選べばいいのかわからないという方は、コメントしてほしい。分かる範囲で返答します。

Cambridge University PressのEnglish in Useが英語(米語、英語)だけの展開である中、McGraw-Hill Pressは多くの外国語をラインナップして、語学教本のシェアを確実に伸ばしている。それだけにPractice Makes Perfectシリーズは、使いやすくなっているし、内容の充実度も上がっている。

なぜ、洋書を使って学んでいたか。

いい本が和書になかったから。

大型書店の外国語書棚がどのような並びになっているかご存知だろうか。

英語はもちろんほどんどを占めている。それ以外の外国語では、

フランス語 > ドイツ語 ≒ 韓国語 ≒ 中国語 > イタリア語 > その他の言語

である。書店によっては韓国語が一番になっているかもしれない。

フランス語は、この点、文法書を選択ができる状態を、まだ維持できている。イタリア語以降、その他の言語は、書籍の選択肢がほぼない。ドイツ語であっても、比較的最近に出版された本は少ない。

だいたい、和書の語学書や演習書は内容がヌルい。というのも、第二外国語の書籍は、もともと売れない。上級な本はもっと売れない。だから、簡単な本、資格対策本しか出版されなくなっていく。

※ 上記の洋書2冊は演習書として使用した。洋書の一般的な傾向は、和書で1回の演習で済ましていることを、洋書では3~5回は繰り返すことである。その3~5回は単に同じことではなく、もちろん類似した別題である。和書は抽象度が高く、洋書は具体性が高い。

フランス人が作成したGrammaire progressive du francais、英語のPractice Makes Perfectは、ワールドワイドで売れる。売れるから、内容がアップデートされる。多くの人が関わり、数年ごとに改訂もされる。

和書の外国語本は、携わる人数が高々知れている(ほとんどが1人~数人)。和書では売れないし、改訂はほとんどされない。

和書では、洋書にはシェア、クオリティで太刀打ちはできない。
※ とはいえ、Practice Makes Perfectは簡素な体裁をしている。だからこそ使いやすい。日本の書籍は、デザインに凝りすぎている。出版社は方向性を見当違いしていると気づいてもいいのではないか。

和書の負のスパイラルさは、シェアの問題に留まらない。

人口ボーナスが得られない人口オーナス期では、買う人がさらに減り、書く人も育成されない。外国語学習の和書は、衰退していくことが免れない。

この傾向は、2010年代頃から始まっているのではないか。*1 一番下参照

もはや、わかりやすい本を求めると、洋書を選ぶしかない。

「翻訳ツールが進化していくから、いまさら語学はいらないのでは?」

確かに正しい。

しかし、文章で、1割わからない単語が出てくれば、読まれない。日本語でも勿論で、外国語なんて見向きもされない。

外国人YouTuberの動画を見ている人はどのくらいいるだろう。翻訳ツールが手軽に使えるようになっても、使わない人はやはり使わないのである。

こういった中で、外国語の変換コスト、5年前、10年前に比べて、大幅に減ってきている。明らかに翻訳ツールは使いやすい状況になっている。

洋書のみで学び始めるのは敷居が高いけれど、すでに和書と洋書とで学ぶハイブリッドな方法は比較的取り組みやすくなっている。

このハイブリッドな方法であれば、短時間で高いレベルまで到達できる。以前の世代に比べれば、金銭的コストは低く、精度は高く、さらに手間も遥かに少ない。ネイティブの発音や会話をいつでも聴けるし、会話することさえ可能である。

世界的なシェアを考慮すれば、次のように取り組めるだろう。

  1. 初めて ←和書(日本語)で。

  2. 入門 ←英語、対象の言語をメインに、和書で補う

  3. 中級 ←日本語で。細かいニュアンスを

  4. 上級 ←その言語で。

たとえば、この動画を見てほしい。これらは、"2.入門レベル"にあたる。

英語で説明がされているが、たいした英語力はいらない。TOEICでいえば700点程度あれば理解できる。むしろ、英語のヒヤリング練習になるくらいだ。

また、わたしがGrammaire progressive du francaisで学習していた時、PCはこのようになっていた。

メインにGrammaire progressive du francaisを開き、Google翻訳を使いつつ、Conjugason(動詞変化)をconjugaison.comで調べる。Google翻訳は英語で使いたい。仏単語の注が、英語の方が遥かに多く表示されるからだ。発音は、MacのSpeech、Google翻訳で発音させる。

英語で学習する利点

日本教育パラダイムは「英語を」ばかりで、「英語で」がすっかり認識されていない。

英語で外国語を学ぶのは、実際は敷居はかなり低い。

入門~中級を進めている間、解説や例文訳で使われる英語は、中学~高校で学んだレベルである。大して難しくないし、たかだか英検2級レベルである。

英語↔フランス語の学習はじめに、やっかいなのは、文法用語を暗記することぐらいだ。これだって数十語程度で、その後覚える単語数からすれば微々たるもの。

一番の障壁は、「学ぶときは日本語を使う」ものだ、というバイアスなのだ。

このバイアス(出版社の刷り込み?)から脱することができれば、どのような分野でも、英語から学ぶことができる。

英語を使って学ぶと、英語のレベルも上がる。同時並行でより高いレベルの英語を目指すことができる。

日本語バイアスに掛かったままの者、以上の事実に気づいて学びを変える者、数年後、そして十年後、違いはどうなるだろうか。

長期間を待たなくても、1ヶ月で成果が現れるはずである。


さて、以下は、わたしが使った和書のフランス語教材である。非母国語(日本語以外)での学びを礼賛したのに、矛盾していると思われるかもしれない。

上述したように、わたしはハイブリッドな方法を使用していた。非母国語で勉強したからといって、知能がアップはしないし、地頭は変わらない。目的は出来るようになることであり、そのために多様なリソースを使う。

和書の語学書は、これまでにも出版されており、今後も出てくるだろう。この先は、過去の書籍が電子化され廉価で入手できるだろうし、以前に出版された書籍をリライトして現状に適合されることも多くなると思う。
※理工学分野で岩波書店がとった戦略である。

このようにして、和書は生き延びてくれるに違いない。

使ったフランス語学習書(セレクトしている)

フランス語学習の和書は、出来が良い本が多い。英語の書籍はレッドオーシャン化しており、仔細化されすぎて、むしろ駄本が多い気がする。TOEIC自体、英語利用(英語習得ではない)としては回り道と考えている。要するに英語は、必要だと思わせるリソースが多すぎて、実戦へ進めない。この点で、フランス語はちょうどいいくらいにリソースがなくて、先に進みやすい。

  • Apple製品の力を使う。MacとiPhone/iPadの設定

    • 辞書(Oxford-Hachette French Dictionary)

    • Speech(French>Audreyをインストール)

締めくくりとして

に挑戦したいのだけれど、フランス語の勉強が停滞している。

*1 この傾向は、2010年頃から始まっているのではないか。

辞典、特に和○辞典(和から○語の辞典)、その出版状況をみてみると、このようになっている。

プチ・ロワイヤル和仏辞典 第3版,2010
アクセス和独辞典,2010
小学館 和伊中辞典 第2版,2008
研究社 和露辞典,2011
※ 単に10年を目処に改訂しているのかもしれないけれど。

各外国語の辞書は、明らかに衰退している。ここでは挙げてはいないが、各外国語の多くの辞書が改訂されていない。プチ・ロワイヤル仏和辞典の上位辞典であるロワイヤル仏和中辞典 第2版(2005)は将来的に出版されることはない、と思っている。辞書で詳しく調べるには、英仏辞典か仏仏辞典に頼るしかないのである。

団塊ジュニアが大学に入る1990~2000年頃をピークに、多くの語学書籍・辞典が出版されていた。この時期に、多くの先人がノウハウを貯めてくれたのだけれど、どれほどの効果があったのだろうか。むしろ衰退している気がする。若い世代たちはオトナたちに文句をいってもいい。

人口オーナス時代では、語学を勉強する際、○和辞典を頼らずに、英○辞典と○○辞典を使う方法を、初めから検討しておかなければならない。

補足にこちらを書きました。

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