営業活動を革新する「5つの基本」①
皆様こんにちは。㈱マネジメントパートナーの人材・組織開発コンサルタントの関 教宏(たかひろ)です。
感染症、貿易摩擦、半導体不足、ウッドショック、SDGs…営業活動を行う上で、これほどまでに未曽有の変化が断続的に起こり続ける時代はなかったのではないでしょうか。
しかも、物流の革新的進化によるEコマースの台頭、多くの産業における国内市場のシュリンク等の影響で、かつてないほど営業の「存在価値・生産性」が問われる時代になっています。
しかし、現実はどうでしょうか。少なくとも私たちが研修・コンサルティングを通じてお会いする営業の方々の多くに共通する実態は以下の通りです。
つまり、環境や顧客の変化に業績を左右されている営業が少なくないのです。
しかし、この状況下でも成果を上げ続けている営業パーソンは確かに存在します。私たちは、そうした方々がどのような「考え方(ものの見方)」「仕事の進め方」をしているのか研究してきました。
その結果、成果を上げ続ける営業に共通するメソッドをまとめ上げることが出来ました。
今回は、そのメソッドの内、ベースとなる「考え方(ものの見方)=5つの基本」を、連載形式で一つずつお伝えします。ご自身の営業活動を見直したい方、強い営業を育てたいとお考えの営業マネジャー、責任者の方、是非ご覧いただき、行動のヒントにしていただければと思います。
「5つの基本」その1:役割と責任の認識
売れ続ける営業は、共通して組織における自らの役割と責任の捉え方が優れています。
(1)組織における営業の役割は「売上・利益を出し続けること」
役割とは「割り振られた役目」のことです。そして、役目は所属する組織によって割り振られます。
その組織は社会全体から「存続」という役目を割り振られています。存続にはキャッシュが必要であり、そのためには投資、財テク、本業による売上・利益が必要なのですが、
営業はこの内「本業による売上・利益」を出し続ける事を組織から求められています。
売上・利益を出し続けるには「足元の業績を守る(既存顧客からの引き合い対応)」と「先々の業績を創る(新規開拓、既存顧客の深耕拡大)」を両立させることです。
この事は、しばしば農耕の活動に例えられます。即ち「(新規、深耕の)種を蒔き、育成し、刈り取る(既存顧客の引き合いも含む)」この一連の活動を、バランスよく行い続ける事です。
文字で書くと非常にシンプルですが、現実には引合対応に手一杯で時間が無い、そもそも新規顧客にアポが取れないなど、「できない理由」が無数に存在します。
そんな中、売れ続ける営業は、こうした「できない理由」を無くすためにどうするか?を考え、行動に移しているのです。
1)行くべきところ、会うべき人にフォーカスする
営業活動の成果は、顧客接点の量と質に正比例します。成果を出し続けられる営業はこのことをよく理解しています。
即ち「自分がやるべきこと」と「関係者と一緒にやるべきこと」「関係者に依頼すべきこと」を明確に区分けした上で、「自分がやるべきこと」に「行くべきところ(=拡売余地がある顧客)、会うべき人(=多くの場合、経営の意思決定に関わる上位役職者)」との接点時間を最優先事項として設定しているのです。
さらに、「どこに行くべきか?」を考える上で、組織の戦略・方針との連動も欠かせません。組織発展のためということは言うまでもありませんが、営業個人にとっても「他の優秀な営業の成功事例・失敗事例をタイムリーに共有できる」「社内協力を得やすくなる」といったメリットがあります。
2)社内の人材を味方に付ける
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉があるように、私たちの世界は「自分の出方・捉え方」によって形成されます。
先ほど「優秀な営業は自分のやるべきこと(いくべきところ、会うべき人との接点)に集中する」と述べましたが、
そのような状況を創るためには「うま味のある仕事を自分に割り当てられやすくすること」と「自分のために一肌脱いでくれる仲間の存在」が欠かせません。
具体的には、以下のように周囲に対して行動を起こしています。
つまり、自らの出方(立ち居振る舞い)を正す事で、相手との関係性を良いものにする努力をしています。
これは、決して打算的に人心掌握をせよということではありません。
普段から上司、他部門、自部署の方々への尊敬の念を忘れず、素直に、謙虚に耳を傾ける行動習慣がなければこちらから依頼したところで相手が手伝ってくれる可能性は低いでしょうし、動いてくれたことへの感謝の念がなければ周囲は「この人のために一肌脱ごう」とはなりにくいのです。
もしあなたが、営業として今よりも安定して成果を出せるようになりたいと思うのであれば、社内人材から良い仕事が舞い込みやすい環境、協力してくれやすい関係性を自らのコミュニケーションにより作ってください。
(2)責任を「果たす(やり遂げる)」という認識
次に責任への向き合い方です。環境変化に左右されず成果を出し続ける営業は、共通して組織から与えられた目標を上回る目標を自ら定義しています。さらに、計画を曖昧なもので終わらせず、何をどれだけやれば確実に成果を出せるか?と、徹底的に具体的行動レベルに落とし込んでいます。
言わば、責任に対して「負わされるもの」という受け身の姿勢でなく「果たす(やり遂げる)もの」という能動的な姿勢で臨んでいるのです。
まとめ
今回は営業活動5つの基本の内、役割と責任の認識についてお伝えしました。ご自身(営業マネジャーは自組織)の活動と照らしてできていること、できていないことは何でしょうか?以下のまとめをチェックリストとしてご活用ください。
・営業の役割は「売上・利益を上げ続ける」こと→種蒔き・育成・刈取のバランスが問われる
・戦略・方針意図に則って「行くべきところ、会うべき人」を定める
・社内人材を味方に付けるため、自分の出方を正す
・責任は「果たす(やり遂げる)もの」という高い認識
・自らに組織の期待以上の目標を課す
・具体的行動レベルで計画を策定する
いかがでしょうか?
もし、ご覧いただいているあなたが自分の行動を見直そうと思ったら、上記チェックリストのうち意識できていないことについて、「なぜできていないのか?」を掘り下げる事で、ご自身の意識・行動を革新するポイントが見えてくるはずです。
次回予告
最後までご覧いただきありがとうございました。次回は、「5つの基本」の2つ目、成果を出し続ける営業のお客様に対する向き合い方「営業の基本スタンス」についてお伝えします。
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