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営業活動を革新する「5つの基本」②

皆様こんにちは、㈱マネジメントパートナーの人材・組織開発コンサルタント、関 教宏(たかひろ)です。

本日は前回に引き続き、環境変化に左右されず売上・利益を上げ続ける営業が持つ「考え方(ものの見方)=5つの基本」についてお伝えします。ご自身の営業活動を見直したい方、強い営業を育てたいとお考えの営業マネジャー、責任者の方、是非ご覧いただき、行動のヒントにしていただければと思います。

「5つの基本」その2:お客様の理想像実現を心から願うスタンス

「ドリルを売るな、穴を売れ」というセールスの金言があります。これは営業活動を行う際、自分達の扱う商品の特長や競合優位性を謳って売り込むのでなく、お客様がどんな穴を開けたいか(=必要としている価値)を知った上で最適なドリルをお勧めせよという意味です。

言い換えれば「売るモノありき、自分の都合ありきのスタンス」でなく、「お客様の理想像実現を心から願うスタンス」でお客様に接する事が重要ということです。

以前はこのスタンスが「お客様と信頼関係を築く方法」として重宝されましたが、今の時代においては、営業として成功する「必須条件」といっても過言ではないと考えます。

ではなぜ「お客様の理想像実現を心から願うスタンス」が必要か?その理由を時代の変化から紐解いていきます。


(1)市場を取り巻く環境の変化

時代の変遷とともに、売り方のセオリーは変わってきました。下の図をご覧ください。

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これはフィリップ・コトラーの提唱するマーケティングの発展段階にこれからの時代のトレンドを書き加えたものです。

ここから読み解けるのは「ものを作れば売れる時代」は終わってしまったということです。具体的にどういうことか、もう少し詳しく見ていきます。


営業現場の変化① 情報主権が顧客側に移行

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マーケティング2.0時代くらいまでの営業は、商品のカタログやパンフレットを片手に足しげくお客様の所に通い、そのことがお客様からも重宝されました。

しかしITの進化により、お客様は顕在化している課題ならば、営業を介さずに自分で情報を取得し、商品やサービスを購入できるようになりました。

つまり、単なる製品やサービスの情報提供であれば、わざわざ営業が通う必要性は極めて薄くなったのです。


営業現場の変化② 偶発的な案件発掘が難しくなった

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2020年以降、対面での営業活動は当たり前でなくなりました。

対面の商談が当たり前だった時代は、大した用事でなくても足しげくお客様の所に通い、顔を合わせることでお客様との人間関係を作り、その過程で何気ない雑談から案件が発生することも少なくありませんでした。

しかし、顧客接点が非対面に移行した今、そうした偶発性に頼った営業活動は難しくなりました。

それどころか、昨今はお客様が「そのくらいの話ならわざわざお時間を取ってご説明していただかなくてもいいですよ」と、商談にすら応じてくれないという声もよく聴きます。


営業現場の変化③ 営業職の減少と内勤職の増加

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この20年で日本国内における営業職の数は約100万人減ったそうです。一方で、営業・販売事務従事者は5年で15万人増えています。これは従来の外勤営業が減った一方、セールステック、SFAを活用するインサイドセールスが増えていることを意味しています。

このように構造が変わった原因はICT、AIの進化による物流構造の革新や合理化、Eコマースの台頭、市場のグローバル化等があり、今後この人員の変化傾向は不可逆的に加速していくものと思われます。

例えば、過去の購買履歴から、需要発生時期やアイテムを予測し情報提供・提案するという活動はAIが得意とするところです。この活動は今後どんどん置き換えられていくことでしょう。

つまり、こうしたテクノロジーに置き換えられることのない、人的販売ならではの価値を突き詰めていかないと淘汰される時代に突入したのです。

このように、市場を取り巻く環境は「ものを作れば(持っていけば)売れる時代」から「価値提供できない営業は淘汰される時代」に変化しました。そして、お客様によって、叶えたい理想像は異なるため、商品・サービスに感じる価値も人それぞれです。

だから、「お客様の理想像実現を心から願うスタンス」を持つことが、これからの時代における営業の「必須条件」なのです。


(2)スタンスが変わるとお客様からの”見られ方”が変わる

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ここからは、スタンスの違いがもたらす商談スタイルの違いを具体的に見ていきたいと思います。

「売るモノありき、自分の都合ありき」のスタンスを持つ営業が展開しがちなのが図の左側にある「壁の手前」の商談です。

この営業は、良かれと思って商品・サービスの機能や効用をお伝えするのですが、お客様にとって商品・サービスは理想像を叶える手段に過ぎません。

価値を感じなければ買わないか、値引きや追加サービスを要求して無理やり価値を作り出そうとする事でしょう。

そうすると営業としては、お客様の方でニーズが発生する時を待つか、値引き要求に応じるしか売る選択肢がなくなってしまいます。

要するに、この売り方では、「商品はお客様が選ぶ」という壁を越えられないのです。

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次に「お客様の理想像実現を心から願う」スタンスを持つ営業が展開する「壁の向こう側」の商談を見ていきます。

この商談スタイルは、お客様にお会いする前段階の準備の仕方から異なります。

お会いするお客様を取り巻く現状や描く理想像を(お客様のIR情報や事前アンケート、これまでに聞いた話などを手掛かりに)想像して、当社の商品・サービスをどう使えばお客様の理想像実現に貢献できるか?という観点で提案内容を整理します。

つまり、自社商品がお客様の理想像実現にどう役立つのか?と、「仮説」を立ててお客様に提言するのです。

このような提案を行うと、お客様は、その提案が合っている、間違っているに関わらず、その営業を"見る目"が変わってきます。

即ち、「この営業は売込みに来たのでなく、私の事を真剣に考えてきた」「この営業になら話してみようかな」とお客様の感情が変化します。

そうなれば、当初立てた「仮説」の真偽はもはや問題ではなく、合っているならどこが合っているのか、間違っているならどこが間違っているかお客様に確認することで、実際にお客様が置かれている現状や理想像を容易に訊けるようになります。

そして、お客様から得られた生の声を元に実際の貢献策を作り上げ、お客様と一緒になって、お客様が理想像を実現するために何をすべきか?という観点で「共通テーマ」を営業が自ら作り出しているのです。

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次回予告

今回は営業活動を革新する5つの基本の内、お客様に向き合う際のスタンスをお伝えしました。

次回は、お客様の理想像実現を心から願うスタンスを体現するために、お客様のどう言った点に着眼して仮説を立て、顧客接点を持つべきか?「お客様を知る為の視点」についてお伝えします。










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