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損傷

そこに思い出だけを残して消えて行った君たちの歪な日々、慟哭する谷では、無慈悲な雨が降り注ぎ、疑念を孕んだ論理を奏でる宇宙的な新約聖書により、理性すらも損なわれ、湾曲する意思や、課せられた罪により、偏執していく意識や、大容量記憶装置たる脳を破壊するための弓矢や、対立争いを繰り返す家族間の憎悪から、大陸間弾道ミサイルが飛び交う戦争のモジュールとしての、君の役割や、拙い永遠に噛み付く人々の陰影や、意識の泥濘に捕まってしまい、身動きも取られなくなってしまった意味の末端、君も、いつしかの意識の奴隷になって、誰かが唱える命令にしか、従えなくなってしまい、自らを動かすことも出来なくなってしまい、情報が促すことだけを信仰し、卑屈になるだけの、君たちのニュアンスから生まれた、幾重もの嘘や、蓄積された苦悩や、高濃度汚染に苛まれた身体を放棄して、精神世界にダイヴし、深海魚たちが笑う月の表面で、リリカルな空想をぼんやりと膨らます憂鬱な彼女たち、感情的な国が孕む最後の夜、泰然とした思いの中で、羽ばたき続ける愛が、認識を深めては、わずらわしい今に司る正解を飛び越え、正しさを元通りにさせるために、接着剤を用いて、無理矢理に繋いだ先には、新たな対立が生まれ、何かを奪われたとか、そこで誇示するものが、こじつけるものにより、疾しさばかりが加速し、今に意思に枷を嵌め、つくづくに迫る凡庸なものが示す差異や、関与するほどに、生まれる災厄や、ささやかな愛ですら、今に対価を求め、交換されるのが、当たり前だと思っている間は、愛がなんたるかなんて、わかるはずもない。

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