旅、言葉、グラデーション
日本全国を旅していると、その土地土地の方言に出会える。
青春18きっぷを使い、鈍行電車に揺られながら目的地を目指す。長距離を移動するときは、複数の県をまたぐことは珍しくない。
暇つぶしがてらに、電車で話す人々の言葉に耳を傾ける。聞き慣れないイントネーションで、これまた聞き慣れない言葉を時折はさみながら談笑する女子高生たち。
何を喋っているのか理解できない部分が所々でてくる。そんな部分では何を言っていたのかを推測するのがこれまた楽しい。
鈍行電車が県をまたぐ。またいだ先で乗り込んだ人々の言葉が変化する。さっきまでとはちょっと違ったイントネーションのように思える。こころなしか、つい先ほどの言葉より聞き取りづらくなったみたいだ。
秋田県から離れれば離れるほど、言葉はより難解になっていく。目的地の長崎県に着いた頃には、電車内で交差する言葉はすっかり様変わりしてしまった。
ゆっくりと、そして確実に変化していく言葉たち。そんな言葉たちを聞くのが、旅の醍醐味のひとつなのだ。
グラデーションのように徐々に変わっていく方言を旅先で聞くことで、「旅をしている」という気持ちを色濃く感じられるんだ。
だから、いくつになっても旅はやめられないんだな。