ハリネズミ

脆く儚くも美しい愛の形を模索中❦ あなたの胸の奥底に潜んだ感情を揺さぶりたい❦小説❦

ハリネズミ

脆く儚くも美しい愛の形を模索中❦ あなたの胸の奥底に潜んだ感情を揺さぶりたい❦小説❦

最近の記事

【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ 最終回

体が鉛のように重い。 昨日沙羅のラジオを聞いた後、泣き疲れていつ眠ったのかも思い出せない。私は冷たい水で何度も顔を洗い頭を振った。 葵ちゃん…。 沙羅と葵ちゃんが姉妹だったなんて、どうして今まで気づかなかったんだろう。しかも事故で入院してるだなんて…。 私は意を決して沙羅に電話をかけた。 沙羅は私から電話が来る事が分かっているかのようだった。 「沙羅、私、昨日のラジオ聞いて…」 「わかってる。連絡が来ると思ってたから⋯。これから会える?」 「うん。」 私達は、

    • 【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.3

      タクシーに飛び乗った沙羅は病院へ向かった。着くなり玄関を入っていく直人が見え、沙羅は大声で呼んだ。 「直人くーん。」 「あっ、沙羅、丁度よかった。一緒に行こう。」 急いで病室へ入ると、丁度担当医が診察をしているところだった。直人は焦るあまり上擦った声を出した。 「さっき、意識が戻ったって連絡もらったんですけど。」 「はい、一旦意識は戻りましたが、今はまた意識レベルが下がりました。事故から半年近く経って意識が戻ったのは奇跡に近いと言えます。焦らず様子を見ていきましょう。」

      • 【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.2

        渦巻く世界 学園祭の翌日、沙羅は学校に来ていなかった。もしかすると来れなかったと言う方が正しいのかもしれない。 沙羅のステージパフォーマンスは、生徒達によってXやTikTokに多数あがっていたし、Yahooの記事にもなっていた。圧倒的なパフォーマンスに素晴らしい歌声。沙羅をたたえるコメントが大半だったが、中には私と見つめあったり、涙を拭うシーンにフォーカスした切り抜きも沢山あった。 一夜にして私の立場も一変した。学校の廊下を歩くだけで注目を浴び、沙羅目当てに近づいて来る者

        • 【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ vol.1

          プロローグ 「必ず迎えに来るから。離れててもずっと一緒だよ。」 ねぇ、葵ちゃん? この言葉、覚えてる? 施設で育つ私のたった一つの希望。 絶望と言うほど真っ黒でもない。ただただモノクロで色の無い世界を生きている私。その世界に彩りを与えてくれるかもしれない唯一の人。 あなたは、今どうしていますか? 高3の春、人気モデルの藤堂沙羅が転校してきた。その時から私の周りのモノクロの世界が少しずつ色付き始める。 葵ちゃんと沙羅…、どこか似てる。 沙羅が私に向ける感情に戸惑い

        【世界を色に例えたら】❦愛の物語❦ 最終回

          【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          エピローグ 莉子、元気ですか? あれから12年••• 私達27歳になったんだね。 SNSでも何でも繋がる方法はあるのに、別れてから1度も試した事はなかった。何度か莉子を見かけた事もあったけど、声をかける勇気もなかったよ。 女性同士の恋愛ドラマを見た時、心の中に封印していた箱の蓋がいきなり開いた。ずっとずっと心の奥底深くにしまいこんできた箱なのに。 中3での莉子との恋は私には刺激的すぎたし、今思えば未熟で子供だった。だからこそのめり込んだしそれ故に忘れられない。 あれ

          【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          莉子へ 心に焼き付けてる写真は 沢山あるのに スマホにはたった1枚 あなたの後ろ姿 写真に写し出せない愛が 痛みに似た痺れとなり 今も疼く あなたが望んでくれたように 今の私は輝けていますか? お互い子供だったねと あなたは笑いますか? エレン 莉子と一夜を共にした私は幸せでいっぱいだった。朝目冷めたら私の横に莉子がいる。あったかい体温が伝わってくる。まだ寝てる莉子を優しく包むようにしながら柔らかなマシュマロのような口付けをした。 「莉子、おはよぉ。」 「うぅ

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          莉子へ 私の初めては全てあなたでした。 あの頃の私達をあなたは後悔していませんか? あなたにとっては記憶の1ページに過ぎませんか? あなたは今、幸せですか? 私の胸の中はあなたへ聞きたいことと、あなたへの愛で溢れています。 エレンより 夏休み最後のイベントは花火大会。 最近少しギクシャクしてたし、夏の終わりに素敵な思い出が作りたかった。 「莉子、花火大会一緒に行かない?それとも、もう先約がある?」 「もちろんエレンと行くよぉ。」 「ホント、嬉しい。浴衣着てくる?」

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          エレンへ エレンは眩しく輝く太陽のような人。 太陽が輝けば輝くほど陰が濃くなる。 あなたのその輝きを、私が曇らせることがありませんように。 莉子より ❦この手紙を27歳になった今でも大切に持っている。 季節は夏を迎えていた。 2人の想いが通じあったあの日から、学校に行くのが今まで以上に楽しいものになった。 部活は惜しくも県予選で負けてしまって引退が決まった。 あとは夏を楽しみ、その後の受験に備えるだけだ。 「エレン、プール一緒に行こうよぉ。」 「かわいい水着、着て

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          桐島エレン 27歳 私は今でもバレンタインのチョコに添えられた、あのメッセージカードを大切に持っている。 【あなたが私を見つけてくれますように 】 誰がくれたのか分からないチョコに添えられていたメッセージ。 私はその言葉に強く惹かれた。 あの頃の私はあなたに伝えただろうか? 私もあなたをずっと探していました…と。 映画に行った次の日、私は莉子にどんな顔をして会えばいいのかよく分からなかった。しかし、莉子は何事もなかったかのように放課後私を待っていた。 「部活

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          若葉の季節に エレンは現在27歳。 これから語る恋の後、その想いをかき消すように幾度も恋を重ねてきた。 なのに新緑が芽吹き若葉の季節になる頃、いつも彼女との出会いが胸の奥から顔を覗かせる。 若き日のあまりにも幼い恋。 これからどれだけ新しい恋を重ねても、彼女を忘れる事は無いのだろうか? 「ねぇ、私と一緒にやらない?」 「あ。うん。」 私の名は桐島絵恋(エレン) 若草中学3年6組。身長167センチ。 雰囲気的には本田翼ちゃんににてるらしい。総勢60人いるバレー部員の中

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.1 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【⠀プロローグ⠀】 皆さんには忘れられない恋がありますか? 心の奥底に閉じ込め固く蓋をし封印した密やかな恋。 それがいとも簡単に開いてしまうとは思ってもみなかった。 いくつもの恋愛を楽しんできた主人公、絵恋(エレン)のたった一つ忘れられない恋。 初めての恋愛が 初めての本気が 初めての経験が 女性だった。 ただそれだけのはずなのに。 他の恋と何が違うのか? 答えを出すのが怖くて目を背けて生きてきた。 そんな若き日の、言葉に出来なかった感情を、今なら心と向き

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.1 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【チェイサーゲームW】小説風を欅坂46→櫻坂46元キャプテンゆっかーに捧ぐ

          私は欅坂46の大ファン。 改名して櫻坂46になってからも暫くは追っていたけど、欅坂46のメンバーが卒業していくにつれ次第に離れてしまった。 欅坂46には絶対的センターの平手友梨奈ちゃんがいた。すべての楽曲でセンターを務め、そのためチーム内での軋轢も色々あったことだろう。 そんな欅坂46のキャプテンを務めていたのがゆっかーこと菅井友香ちゃん。育ちの良さからか、おっとりして穏やかでいじられキャラのキャプテンだった。しかし今回のチェイサーゲームWの樹と同じで、正義感や責任感を

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          【 チェイサーゲームW 】第7話 小説風にしてみた

          チーム内にいたスパイはなんと「小松莉沙」だった。しかもヴィンセント本社の社員に正式採用されたらしい。 いつものカフェで冬雨はその事を樹に報告していた。アイスティーを一気に飲み干した樹は、ストローに怒りをぶつけるようにガジガジ噛んだ。 「莉沙がスパイだなんて」 「私も驚いている。1番ノーマークだったから」 「それでこれからどうなるの?」 「本社からはゲーム化を再考したいと言ってきてる。」 「DD社が天女世界をゲーム化する話がなくなるかもってこと?」 「かもじゃなく

          【 チェイサーゲームW 】第7話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第6話 小説風にしてみた

          冬雨は慣れないエプロン姿で台所に立っていた。 レシピを書くから、月ちゃんも大好きなクリームシチューを作ってあげてとわざわざ樹が書いてくれた。 可愛い樹自身のイラストも添えてある。 初めてうちに来た日に作ってくれたクリームシチュー。浩宇が帰ってこなくなり、毎日私達の日常の世話をしてくれた樹。わだかまりはあったものの少しずつ私達の距離は近づいていった。青山くんと浮気してなかったって分かった時、凍りついていた私の心が一気に溶けていくのがわかった。 「私は今でも冬雨の事が好きなの

          【 チェイサーゲームW 】第6話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第5話 小説風にしてみた

          樹と冬雨は一度すれ違った想いが一つに重なり遂に結ばれた。 冬雨はこれでもかってくらい激甘な声で聞いた。 「泊まってく?」 「泊まってって欲しい?」 冬雨のもっと甘えた顔が見たくなった樹は、質問に質問で返した。 「うんっっ。」 予想通り甘えた冬雨の声に樹の声も甘くなる。 「いいよぉぉぉ」 互いに愛しさが募りどちらからともなく顔を近づけ、キスをしようとしたその時 ガチャ!! 「あっ」 浩宇は数日ぶりに帰ってきた我が家を見て驚いた。物が散乱した部屋を想像し、僕が

          【 チェイサーゲームW 】第5話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第4話 小説風にしてみた

          「お邪魔しまーす。」 冬雨の家の前で思いがけず冬雨に出くわしてしまった樹は、家にお邪魔する事になった。 「月、手を洗いに行こう。」 冬雨が月ちゃんと手を洗いに行ったので、樹は所在なげに部屋を見回していた。 ( 冬雨はここで家族と暮してるんだ。 月ちゃんって言ったっけ?赤ちゃんの頃からの家族写真が何枚も飾ってある。冬雨と離れて5年。ここには私の知らない冬雨が沢山詰まってるんだね。) 冬雨がお腹を空かせた月ちゃんに、コンビニおにぎりを食べさせようとするのを見た樹は 「

          【 チェイサーゲームW 】第4話 小説風にしてみた