ハリネズミ

脆く儚くも美しいそんな心情を紡ぎたい❦ 心の赴くままにつらつらと❦小説❦

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最近の記事

【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

エピローグ 莉子、元気ですか? あれから12年••• 私達27歳になったんだね。 SNSでも何でも繋がる方法はあるのに、別れてから1度も試した事はなかった。何度か莉子を見かけた事もあったけど、声をかける勇気もなかったよ。 女性同士の恋愛ドラマを見た時、心の中に封印していた箱の蓋がいきなり開いた。ずっとずっと心の奥底深くにしまいこんできた箱なのに。 中3での莉子との恋は私には刺激的すぎたし、今思えば未熟で子供だった。だからこそのめり込んだしそれ故に忘れられない。 あれ

    • 【 パンドラの箱が開く時 】vol.6 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

      莉子へ 心に焼き付けてる写真は 沢山あるのに スマホにはたった1枚 あなたの後ろ姿 写真に写し出せない愛が 痛みに似た痺れとなり 今も疼く あなたが望んでくれたように 今の私は輝けていますか? お互い子供だったねと あなたは笑いますか? エレン 莉子と一夜を共にした私は幸せでいっぱいだった。朝目冷めたら私の横に莉子がいる。あったかい体温が伝わってくる。まだ寝てる莉子を優しく包むようにしながら柔らかなマシュマロのような口付けをした。 「莉子、おはよぉ。」 「うぅ

      • 【 パンドラの箱が開く時 】vol.5 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

        莉子へ 私の初めては全てあなたでした。 あの頃の私達をあなたは後悔していませんか? あなたにとっては記憶の1ページに過ぎませんか? あなたは今、幸せですか? 私の胸の中はあなたへ聞きたいことと、あなたへの愛で溢れています。 エレンより 夏休み最後のイベントは花火大会。 最近少しギクシャクしてたし、夏の終わりに素敵な思い出が作りたかった。 「莉子、花火大会一緒に行かない?それとも、もう先約がある?」 「もちろんエレンと行くよぉ。」 「ホント、嬉しい。浴衣着てくる?」

        • 【 パンドラの箱が開く時 】vol.4 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          エレンへ エレンは眩しく輝く太陽のような人。 太陽が輝けば輝くほど陰が濃くなる。 あなたのその輝きを、私が曇らせることがありませんように。 莉子より ❦この手紙を27歳になった今でも大切に持っている。 季節は夏を迎えていた。 2人の想いが通じあったあの日から、学校に行くのが今まで以上に楽しいものになった。 部活は惜しくも県予選で負けてしまって引退が決まった。 あとは夏を楽しみ、その後の受験に備えるだけだ。 「エレン、プール一緒に行こうよぉ。」 「かわいい水着、着て

        【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          桐島エレン 27歳 私は今でもバレンタインのチョコに添えられた、あのメッセージカードを大切に持っている。 【あなたが私を見つけてくれますように 】 誰がくれたのか分からないチョコに添えられていたメッセージ。 私はその言葉に強く惹かれた。 あの頃の私はあなたに伝えただろうか? 私もあなたをずっと探していました…と。 映画に行った次の日、私は莉子にどんな顔をして会えばいいのかよく分からなかった。しかし、莉子は何事もなかったかのように放課後私を待っていた。 「部活

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.3 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          若葉の季節に エレンは現在27歳。 これから語る恋の後、その想いをかき消すように幾度も恋を重ねてきた。 なのに新緑が芽吹き若葉の季節になる頃、いつも彼女との出会いが胸の奥から顔を覗かせる。 若き日のあまりにも幼い恋。 これからどれだけ新しい恋を重ねても、彼女を忘れる事は無いのだろうか? 「ねぇ、私と一緒にやらない?」 「あ。うん。」 私の名は桐島絵恋(エレン) 若草中学3年6組。身長167センチ。 雰囲気的には本田翼ちゃんににてるらしい。総勢60人いるバレー部員の中

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.2 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.1 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【⠀プロローグ⠀】 皆さんには忘れられない恋がありますか? 心の奥底に閉じ込め固く蓋をし、顔を出さないように封印した恋。 飛び出したならまた心の傷が疼き出しそうで。 それがまさか、何気なくみてしまった1つのドラマがきっかけでいとも簡単に開いてしまうとは思ってもみなかった。 そこから飛び出したものは⋯。 いくつもの恋愛を楽しんできた主人公、絵恋(エレン)のたった一つ忘れられない恋。 初めての恋愛が 初めての本気が 初めての経験が 女性だった。 女同士。 ただそ

          【 パンドラの箱が開く時 】vol.1 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

          【チェイサーゲームW】小説風を欅坂46→櫻坂46元キャプテンゆっかーに捧ぐ

          私は欅坂46の大ファン。 改名して櫻坂46になってからも暫くは追っていたけど、欅坂46のメンバーが卒業していくにつれ次第に離れてしまった。 欅坂46には絶対的センターの平手友梨奈ちゃんがいた。すべての楽曲でセンターを務め、そのためチーム内での軋轢も色々あったことだろう。 そんな欅坂46のキャプテンを務めていたのがゆっかーこと菅井友香ちゃん。育ちの良さからか、おっとりして穏やかでいじられキャラのキャプテンだった。しかし今回のチェイサーゲームWの樹と同じで、正義感や責任感を

          【チェイサーゲームW】小説風を欅坂46→櫻坂46元キャプテンゆっかーに捧ぐ

          【 チェイサーゲームW 】第7話 小説風にしてみた

          チーム内にいたスパイはなんと「小松莉沙」だった。しかもヴィンセント本社の社員に正式採用されたらしい。 いつものカフェで冬雨はその事を樹に報告していた。アイスティーを一気に飲み干した樹は、ストローに怒りをぶつけるようにガジガジ噛んだ。 「莉沙がスパイだなんて」 「私も驚いている。1番ノーマークだったから」 「それでこれからどうなるの?」 「本社からはゲーム化を再考したいと言ってきてる。」 「DD社が天女世界をゲーム化する話がなくなるかもってこと?」 「かもじゃなく

          【 チェイサーゲームW 】第7話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第6話 小説風にしてみた

          冬雨は慣れないエプロン姿で台所に立っていた。 レシピを書くから、月ちゃんも大好きなクリームシチューを作ってあげてとわざわざ樹が書いてくれた。 可愛い樹自身のイラストも添えてある。 初めてうちに来た日に作ってくれたクリームシチュー。浩宇が帰ってこなくなり、毎日私達の日常の世話をしてくれた樹。わだかまりはあったものの少しずつ私達の距離は近づいていった。青山くんと浮気してなかったって分かった時、凍りついていた私の心が一気に溶けていくのがわかった。 「私は今でも冬雨の事が好きなの

          【 チェイサーゲームW 】第6話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第5話 小説風にしてみた

          樹と冬雨は一度すれ違った想いが一つに重なり遂に結ばれた。 冬雨はこれでもかってくらい激甘な声で聞いた。 「泊まってく?」 「泊まってって欲しい?」 冬雨のもっと甘えた顔が見たくなった樹は、質問に質問で返した。 「うんっっ。」 予想通り甘えた冬雨の声に樹の声も甘くなる。 「いいよぉぉぉ」 互いに愛しさが募りどちらからともなく顔を近づけ、キスをしようとしたその時 ガチャ!! 「あっ」 浩宇は数日ぶりに帰ってきた我が家を見て驚いた。物が散乱した部屋を想像し、僕が

          【 チェイサーゲームW 】第5話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第4話 小説風にしてみた

          「お邪魔しまーす。」 冬雨の家の前で思いがけず冬雨に出くわしてしまった樹は、家にお邪魔する事になった。 「月、手を洗いに行こう。」 冬雨が月ちゃんと手を洗いに行ったので、樹は所在なげに部屋を見回していた。 ( 冬雨はここで家族と暮してるんだ。 月ちゃんって言ったっけ?赤ちゃんの頃からの家族写真が何枚も飾ってある。冬雨と離れて5年。ここには私の知らない冬雨が沢山詰まってるんだね。) 冬雨がお腹を空かせた月ちゃんに、コンビニおにぎりを食べさせようとするのを見た樹は 「

          【 チェイサーゲームW 】第4話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第3話 小説風にしてみた

          石井輝義の事務所に行った春本樹と七瀬ふたば。気難しい先生かと思いきや、ふたばのお色気パワーで仕事の依頼を難なく引き受けてもらった。 その帰り道、2人してカフェでお茶しているとふたばが言った。 「樹さんセクハラ耐性弱そうですよね。樹さんって潔癖っぽいから。きっと冬雨さんもですよ。2人ちょっと似てます。」 似てる?冬雨と私が? 樹はムキになって全然似てないと否定した。ふたばは勢いに押され 「そうですよね。違います。違う」 と謝ったが、樹さん、何であんなにムキになってんだ

          【 チェイサーゲームW 】第3話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第2話 小説風にしてみた

          【 裏切りと執着⠀】 冬雨は娘の月の頭を優しく撫でながら夫の浩宇に聞いた。 「熱は?」 「もう大丈夫。保育園からの電話に出られなくてごめん。ご飯食べたなら牛乳を温めるね。」 浩宇は甲斐甲斐しく世話をやいた。 椅子にぐったり座り疲れきった表情を浮かべ頭を抱える冬雨。 考え事をしてるのに、何度も話しかけてくる浩宇にイラつき 「明日でいい?!」 自然に強い口調になってしまう。 冬雨は洗面所で手を洗いながら右頬が痛むことに気づき手をあてた。 初めて樹にビンタされちゃ

          【 チェイサーゲームW 】第2話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲームW 】第1話 小説風にしてみた

          「浮気する奴は地獄へ落ちればいい。」 高く掲げたシャンパンを土下座した女に躊躇なくぶちまける女。 その目には愛と憎悪の激しい炎の色が浮かんでいた。 屈折した感情の向かう先は...。 彼女たちの過去に一体何があったのか? その12時間前 Dynamic Drem社 「天女世界のゲーム化かぁ、緊張するなぁ。」 「マンガ最高でしたよねぇ。元恋人同士の2人が戦うって切ないですよねぇ。」 「女同士の禁断の恋愛ってのがいいんですよねぇ。」 「別に女だから禁断って訳じゃないんだけ

          【 チェイサーゲームW 】第1話 小説風にしてみた

          【 チェイサーゲーム W 】最終話 小説風にしてみた

          「君は春本さんのことを愛してるの」 浩宇は静かに目を逸らすなと言わんばかりの視線を私に向けている。 私は突然の問いに戸惑いながらも自分に嘘をつくことは出来なかった。 少しの沈黙の後、覚悟を決めた。 「はい…私はレズビアンです。」 「君がこれまで僕に冷たかったのは、それが原因だったんだね。」 「貴方を傷つけて、本当にごめんなさい。」 この言葉に嘘はなかった。 浩宇には申し訳ないと思っているし、家族として大事にしたい気持ちはある。 でも男として愛する事は出来なかった。

          【 チェイサーゲーム W 】最終話 小説風にしてみた