【 パンドラの箱が開く時 】最終回 忘れられない恋 ❦恋愛小説❦

エピローグ

莉子、元気ですか？
あれから12年•••
私達27歳になったんだね。

SNSでも何でも繋がる方法はあるのに、別れてから1度も試した事はなかった。何度か莉子を見かけた事もあったけど、声をかける勇気もなかったよ。

女性同士の恋愛ドラマを見た時、心の中に封印していた箱の蓋がいきなり開いた。ずっとずっと心の奥底深くにしまいこんできた箱なのに。

中3での莉子との恋は私には刺激的すぎたし、今思えば未熟で子供だった。だからこそのめり込んだしそれ故に忘れられない。

あれから何度か恋を重ねたけど、莉子との恋をアップデートする恋には1度も出会えなかった。

封印してきた箱を開けたら、当時の切ない思い出と共に湧き出た疑問。

そもそも莉子のことが忘れられないのは初恋だから？
女の子を好きになったのは思春期特有の一過性の物？

私のセクシャリティ•••
正直よくわからない。

莉子以降の恋はみんな男性だし、莉子以外の女の子を好きになったことは無い。女の子を好きになると辛いことがあるから無意識に心にストッパーをかけてるのかな？

大人になった今は、恋の駆け引きや打算も生まれる。もうあの頃のように不器用ながらも全力で愛情を注ぐような恋は出来ない気がする。純粋だった心は色んな経験を重ねた事で変わってしまったよね、きっと。

これからも莉子の事を忘れる事はないだろうけど、心にしまっていたパンドラの箱を開けた今、前に進んでいけそうな気がするよ。

莉子は今、幸せですか？
あなたの幸せを心から願っています。

エレンより

END