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いま「ピーマンのピラジン」が再び話題になっています

ピラジン(pirazine)は香り成分です。
ピーマンやきゅうり等の青臭さがそれです。

数年前から、香り成分以外にもその健康効果が話題となっていて、久しぶりにピラジンのことを耳にするようになりました。
そこで、この機会に振り返ってみました。

○ピーマンのピラジンと健康効果

ピーマンやきゅうり等、野菜の青臭さがピラジンという香り成分です。
生野菜なら青臭く、高温で炒めると独特な香りに変化して、食欲を増進させてくれます。

とりわけ、ピーマンのピラジンは、身の部分より種やワタに比較的多く含まれています。

その健康効果を見ると、血行を促進し血栓予防や冷え症対策に期待できることがわかっています。

ピーマンのへた、種、ワタは、取り除くと重量比で15%が廃棄量となってしまいます。
できるだけ、種やワタを取り除かずに丸ごと調理して食べることがおすすめです。

例えば、
・ピーマン丸ごと肉詰め料理
・丸ごと焼きピーマン
・ピザに種とワタごと刻んでのせる
・種とワタごと細切りにして、軽く茹でるか塩もみをし、塩こぶでまぶす
・種とワタごと細切りにして油で炒め、醤油を少量回し入れ、焦がししょうゆの風味でいただく

等などです

種が苦手な方は、種だけ取り除いて調理するのも良いでしょう。
丸のピーマンのヘタを包丁の先で小さく切り取ると、種とワタが簡単に外れます。
種を取り除いてからワタと身を一緒に使います。

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とは言え、血液サラサラ効果を期待して、ピーマンの種やワタを毎日大量に食べ続けるわけにはいきません。

ピーマンの注目すべき栄養素は他にもあります。

ピーマンの身の部分には、βカロテン(β-Carotene)やビタミンCが多く含まれています。
特にβカロテンは、食べる部分100g中に400㎍あり、きゅうりの100g中330㎍よりも多く含まれています。

βカロテンは、抗酸化作用、抗発癌作用、免疫を活発化させる免疫賦活作用が研究されています。
意識して料理に取り入れたいものです。

一方、ピーマンの独特な臭みを嫌う人は多くいます。特に子供が嫌う野菜の上位にいます。
そのため、油やみそ、砂糖を利用して、みそ炒め等に調理して、食べやすくすることは大切です。
特に、油を使った料理は、ピーマンのβカロテンの吸収を助ける利点もあることからおすすめです。

○ピーマンの種類と栄養

元々、ピーマンは唐辛子と同じ種類で、古くは辛み調味料として使われていました。
後に多くの品種が作られ、甘唐辛子が甘味ピーマンに改良されて、1950年代以降は一般野菜として広く使われるようになったようです。
ピーマンの歴史はそれほど古くないのですね。

ピーマンは一年中出ていますが、旬は6月から9月です。
特に8月から9月は、みずみずしく甘くて美味しい出回り時期と言えます。

食用の甘味種ピーマンは相当種類あります。
今回は三種類に分類して整理しました。

① 一般的なピーマン
《大型種の緑色ピーマン》

完熟しない大果種は緑色で、普段のピーマンとして食べているものです。
身は軟らかく辛みがほとんどないため、肉の詰め物料理、炒め物料理等に幅広く向いています。

《中型の赤ピーマン》
完熟して赤く成長したピーマンです。
加熱調理に向きますが、辛くも臭くもないので、生でサラダのトッピングにして食べることもできます。

《ジャンボピーマンの色々》
一般に、カラーピーマンと言われている大果種がそれです。
未熟な緑色を完熟させた赤色、黄色系があります。甘みが強いので生食用に向いています。
他にブラックピーマンと言って、表面が黒っぽく加熱すると緑色になる品種もありますが、スーパー等ではほとんど手に入ることができないのが残念です。

② 伏見甘(ふしみあま)
先の尖った10㎝ほどで細長い円錐形の形をしていて、辛みはほとんどありません。
古くから京都方面で出回っていたので、この名がついたと云われています。
丸ごとで食べやすく、煮物や丸焼き、天ぷらにするととても美味しと評判です。

③ 獅子唐(ししとう)
先端がへこみ、その中に小さな突起を持っています。
形が獅子面に似ているため、獅子唐と云われていますが、関西では青トウと呼んでいるようです。
形は大小あって、小を一般に獅子唐と呼んでいます。

獅子唐はピーマンなので、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンをほとんど含んでいません。でも、時々辛い獅子唐に出会うことがありませんか?

栽培時の天候や肥料の影響を受けて、通常よりカプサイシンを多く含む辛い獅子唐ができてしまうことがあるそうです。

適度な辛さは食欲を増進させ食事を美味しくしてくれますが、食べ過ぎると粘膜が傷つき、のどや胃に炎症を起こすことがあるので、注意しなくてはなりません。

丸ごと炒め物や揚げ物にする場合、獅子唐の構造がしっかりしているため、膨張して破裂しやすくなります。
表面に孔をあけてから調理をすると、安全にきれいに仕上がります。

また、丸ごと塩漬けやみそ漬けにして食べるのも人気です。

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○ピラジンは食品添加物の香料でもある

そもそも、ピラジンと聞くと、私は「食品添加物の香料:ピラジン」を思い浮かべてしまいます。
ピラジンは、芳香化合物のアミンの一種で、アミノ酸と糖質が加熱された際に発生する物質です。

食品中にも存在していて、主にコーヒーやナッツのロースト、豚肉、牛肉等の加熱調理によって生成する成分です。

食品添加物としては加工品に使用されています。

添加物の使用を許可されている国では、焼き菓子やキャンディー、製菓材料、冷凍乳製品等の加工食品に香りや風味付けを目的に添加されています。

食品添加物ピラジンの健康への影響は、平成22年に厚生労働省が評価していて、そのことに私も関心があったことを思い出しました。
食品の着香を目的として使用しそれ以外には使用しない、と評価した内容でした。


猛暑で雨の日が多かった今夏、生鮮野菜の品質劣化と高騰が見られますが、そのような中でもピーマンは比較的安定しています。
炒める、揚げる、煮る、蒸す等何にでも合いますので、自然のピラジンを意識しつつ、日々のメニューに取り入れてみてはいかがでしょうか。

今回もありがとうございました。

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