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会議で『本当に言いたいこと』に気づく

心理的安全性を高めるためには、嫌われることを恐れずに言いたいことを言う必要があります。

しかし、『自分が本当に言いたいことは何か』という問いは難しいものです。常に自分が本当に言いたいことはこれであると言えるほど、人の感情や思考は単純ではなく、複雑で曖昧です。
特に、会社で働く時など、自らの意思だけではない外的圧力に従わざるを得ない状況下においては、『自分が本当に言いたいことは何なのか』はより複雑に感じられるでしょう。今回の記事では、『会議』という状況を想定し、『自分が本当に言いたいことは何か』に気づくためのエッセンスについて対話していきたいと思います。

この記事は三人の登場人物の対話形式で進めていきます。
りお:若手人事担当
持続的に繁栄できる強い組織になるべく、あらゆることを探求し、人事活動に活かしていきたい若手人事。少し捻くれている。
としぞう:精神科医
個人の行動変容や組織全体の行動に詳しい精神科医
わたるん:仙人
複雑な事象を整理し正確に言語化してくれる。たまにしか出てこない。

りお>
先日、社内で会議をしている時にふと思ったんです。会議において、心理的安全性は大事なのか、と。今日は、以下の三つのパターンの会議について、
心理的安全性の観点から、いろいろ対話していきたいと思います!
としぞうさん、よろしくお願いします!
①進捗・KPI達成率確認の会議
②新しいアイデアをもとに何かを作る会議
③その他の目的を持つ会議
まず、一番どの会社でもある会議は、進捗・KPI達成率確認の会議ですよね。
週に1回などで設定されていたりして、無機質な会議になりがちで、達成したかどうかのみを問われて、それに答えるというものが多いと思いますが、そもそも、このタイプの会議で心理的安全性は必要なのでしょうか。

としぞう>
結論から話しますと、心理的安全性は必要です。達成確認の会議において心理的安全性がないと、リーダーのちょっとした言動を見て、「これ言ったら怒られそうだな」と(無意識で)思うと、KPIの達成を無意識に甘めに報告したり、言いたくないことを隠したりします。その結果、判断に影響を及ぼすことがあります。ただ、KPIの会議でなんとか心理的安全性を高めようと思っても時間は限られていますし、難しいことが多いです。
KPI会議の心理的安全性を高めよう!とするよりは、KPIの会議で感触を忖度なく報告してもらうために、普段の心理的安全性を高めておこう!という意識が必要だと思います。

りお>
なるほど、普段から心理的安全性を高める意識は、心理的安全性実践入門で学んでいくとして、
普段の職場での心理的安全性は高いけど、会議では低いという状況もあるんじゃないかなと思います。何か意見あるか〜と議事進行者が言った時に、目を合わせあって何も出てこないとか、下を向いてしまって言わないとか、ヘラヘラしてるとか、聞かないと何も言わないとか。。。

としぞう>
ですよね。その時に意見がでてこないと不安になってきますよね。まさしく、その時に「心理的安全性を高めなくては!」と思って「意見はない?」としつこく聞いてしまうと、逆に心理的安全性を高めるチャンスをなくしてしまいます。
そんな時こそ、少し落ち着いて、心理的安全性を高めよう!とするのではなく、なんで意見が言いにくいのかな?と考えてみて下さい。
ただ単に何も意見がないのかもしれません。長引いているから意見を言わない方が…と思ってるかもしれません。意見が言いたいけど言えない人がいるのかもしれません。
意見がいいたそうな人がいればその人に聞いてみてもいいかもしれません。特に意見がなければ、心理的安全性の原則として、自分がその時に思ったことをなるべくそのまま言葉にしてみて下さい。
「意見がなくて、心理的安全性低いのかな?って不安になったんだけど、何が引っ掛かることある?」など。
まずは、意見が出なくて自分は不安なんだなと気づくことか、始めるのがコツです。

りお>
大大大前提として、議事進行者が心理的安全性を高めようとしていなければ、こういう行動にはならないですよね。
なるほど、特に意見がない時は思ったことをなるべくそのまま言葉にする….
なるべくということは、言いたくないなと思ったことは言わなくてもいいということですかね。
例えば、『今、この状況、すごくイライラするんだよね』とか、『会議の時、発言しないのって存在意義なくない?って思ってるんだよね』とかは心理的安全性を下げる気がするけど、自分が言えないということは、心理的安全性が低いということだから、それをそのまま言おうという選択はありなんでしょうか。

としぞう>
イライラ感はよく出てきますよね。大原則として自分が思ったことを伝えるのは大事ですが、なんでもかんでもその場で言わなくてはいけないわけではありません。本音に関しても様々な本音があり、『本音』と一括りにしてもその実態は複雑で曖昧です。どう話すと自分の本音が伝わるのか?は意識する必要があります。
イライラする、存在意義なくない?と言われると相手にどう伝わるでしょうか?その時に伝わった本音は本当に自分が伝えたい、わかってほしい本音でしょうか?その場は望ましい方向に向かって進むでしょうか?イライラするのは、なぜ?イライラしてしまうのでしょうか?存在意義なくない?と思い浮かんだ背景にはどういう感情があるだろうか?を考えてみてください。
イライラの裏にはプロジェクトを成功させないとという思いがあるのかもしれません。存在意義の裏には、少しでもこのプロジェクトの役に立ちたいという思いがあるのかもしれません。この本音に気づくと、「プロジェクトにかける思いが強くて少しでも前に進めたいと思ったけど、意見が出なくて焦っている。」になります。勿論、これがあなたの本音とも限りません。
自分が伝えたい本音は何なのか?どうやったらそれが伝わるか?を意識してみて下さい。

りお>
なるほど、まとめると以下のことを発言の前に考えてみるという習慣が大切ということですね!
心理的安全性(=嫌われることを恐れずに言いたいことをお互いに言い合える雰囲気)を高めようとするという前提があり、思ったことは基本的に口に出そうとするという意識があるからこそ生まれた議論なのだろうと思いました!

としぞう>
そうですね。言いたいことをお互いに言い合える=その場の感情に支配されて話すと言うわけではなく、且つ、もちろん感情的にならずに言いたいことを我慢してしまうわけでもありません。まずはその時に生じた感情に対する本音は共有した方が長期的に見ると本音は伝わる、という前提の元に、自分自身が相手に伝えたい本音が何か?に気づいて、それをどのタイミングでどう話せば伝わるか?が重要です。中にはうちの上司がパワハラしている!や、実は会社の経営がやばくみんなで必死にならないとまずい!など、めちゃくちゃ伝えにくいこともあるかも、しれません。このことについて今すぐ話さないといけないわけではありません。自分が伝えたい本音に気づき、可能であれば話しやすい人には話して相談しながら、まずは言いやすい他のことから伝えながら、どうやってどのタイミングでどう話したら伝わるだろう?と考え続けてみてください。


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