逃げる選択。やめる勇気。
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『仕事やめようか迷ってる』
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そんな文章だったと思う。
飲み会を抜け出した私は、トイレでLINEを開いた。
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『どちらか迷ったら辛い方を選べ』
なんて誰が言ったかもわからない言葉もあるけれど、その友達は、まるっきりこの言葉だけで形作られてるような人だった。
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彼女はなんでもストイックに頑張る人だった。勉強も部活も、なにに対しても100%で、サボっている私を見ると叱責してくれる。
私はそんな彼女を心底尊敬していた。
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そんな彼女からのLINEに驚き、体の中のアルコールなんてどこかへ飛んで行った。
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あの日以来、時間が許す限りLINEも付き合い、電話もした。
『仕事をやめて後悔するのが怖い』
そう呟く彼女に、私はこう言ったのを覚えている。
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『究極、どんな選択をしても
"あの時こっちを選択してよかった"って思えるぐらい に頑張れる道を選んだ方がいい。
辛い道を選ぶのが必ずしも正しいとは限らないと私は思う。』
『生きている限り、後悔なんて取り戻せるから』
自分自身、後悔し悩んだ時、
例え後悔しても、その後悔を超えるだけ今幸せだって言えればいいなと。数年後に笑えてればいいなと。
そのために頑張れる方を選ぼう。
そう決意した日が私にもあったからだ。
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そんな話をした数日後、彼女は仕事をやめた。
"鬱病"だった。
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あれから時が経ち、ピロンと通知が鳴った。
『あの時言ってくれた逃げてもいい理由、もう一回言ってくれない?』
正直、あの時どんな言葉を選んで話したかは覚えていない。だから、今の私が言うなら、とこう続けた。
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『自分の人生が一つのRPGゲームだとして。
あなたはその主人公。
辛い道にはバカ強い敵がウヨウヨいて、
簡単な道にはザコい敵が1匹。
HPが10しかないあなたは、辛い道を選びました。
結果、自分の力が及ばず、
一発でやられて、ゲームオーバー。
そんな時は、
自分が強くなってから戦うのが定石じゃない?
だから強い敵がいたら、自分が負けて死ぬ前に
逃げるのも一つの手。』
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もちろん力業でクリアすることもできる。そうやって意地になって頑張ることも時には大切。
でも、頑張り続けないで時には力を抜いて
"むりやーめた!"って
逃げることも必要なのかな、と私は思う。
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あの時かけた言葉が正しかったのかはわからない。
でも確実に言えることは、
今日会った彼女はとても楽しそうにアイスを選び、"美味しい"と笑っていた。
新しく始めた仕事が楽しいと資格試験に前向きだった。
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逃げる人が弱いなんて私は思わない。
なにかを"やめる勇気"を持つ人は強い。
大人になったばかりの22歳と23歳のお話。
あなたならどう考えますか?
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