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やまがた里みちサイクリング

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低山あり、高山あり、森や盆地、温泉、味のある町や村、それらを縫って流れる何本もの川。じつは山形県は東北のドイツと呼ぶべきサイクリング天国なのだ。ふだんゆるい感じで走っている田園ラ…
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山形市街 夏のおすすめ緑陰めぐりポタリングルート

山形市街 夏のおすすめ緑陰めぐりポタリングルート

去年の当地の夏は格別に暑かった。5月から梅雨入りまでを初夏と呼ぶならば、梅雨明け以降の死人が出る暑さは「厳夏」とか「猛夏」とか別な名前で呼びたい気になったものだ。今年はどうなるだろうか。

そんな激夏のサイクリングは、適宜クールダウンが必要だ。陽射しの下をちょっと走ったら木陰でひと休み、そのあとまた次の木陰までちょっと走る。そんなアフリカ人の知恵みたいな走り方が適切だ。
山形市街の随所には神社仏閣

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あじさい寺と蔵王ラーメンを賞するポタリング

あじさい寺と蔵王ラーメンを賞するポタリング

(A day in the life 10 2016.6 )
あじさい寺というのは日本中にあって、どこも境内に紫陽花の花が咲き誇るさまを見物しようと善男善女が集まる。山形の場合は市街の西にある出塩文殊堂のことだ。
梅雨も一休みの夏空、あまり人の集まるところには行きたくないわたしだが、たまにはよかろうと出かけてみた。ビアンキのクロモリロードLupo久々の稼働である。
山形盆地の西側はのどかな農村風景

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銀山温泉で嘆いたりその背後の山をe-bikeで走ったり

銀山温泉で嘆いたりその背後の山をe-bikeで走ったり

山形の観光界では今や山寺立石寺と並ぶ人気の銀山温泉。
古い造りの旅館が谷あいの川沿いに建ち並ぶ風景はすこぶるフォトジェニックであり、民は我も我もとSNSに投稿するために訪れる。加えて近年ではインバウンドなんたらで海外の観光客も我も我もに加わってどっと押し寄せ、オーバーツーリズムも憂慮されるテーマパーク状態になっているとも聞く。

山形市民であるわたしはといえばしかし、銀山を最後に訪れたのはもはや2

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山形の街の詩情を伝える写真サイト「山形の街並み」

山形の街の詩情を伝える写真サイト「山形の街並み」

山形の町には、なんともいえない詩情がある。
空襲で焼かれなかったので、古い建物が多く残っていたり、町割が昔のままだったりする。そのことに由来する前時代的ノスタルジアが漂うのはもとより、昭和末期から平成はじめ、わたしが学生時代を過ごした時期のこの町の空気の抒情感もまた変わらずに在る。あちこちの建物は建て替わって新しくなっても、それは変わらないのだ。
大学を出て以来、いろんな町に住んだし、仕事で東北中

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長井市と南陽市(山形) e-bikeで廃村、廃寺、廃キャンプ場を巡る廃なポタ

長井市と南陽市(山形) e-bikeで廃村、廃寺、廃キャンプ場を巡る廃なポタ

はじめに

さきに長井周辺をポタリングした際に訪れた伊佐沢地区。
交差点にある標識には大石という集落が記されていた。

しかしGoogleマップで見ると大石という地名は見当たらない。付近には洞雲寺跡という謎の史跡が記されているのみだ。
不思議に思って手もとの昭文社県別マップルを見てみる。2010年版の古いやつだ。そこには上下ふたつの大石集落に加え、杢ノ沢、須刈田というGoogleマップに記載されて

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春のちょっとポタシリーズ7 長井と最上川とレトロ駅舎と(山形)

春のちょっとポタシリーズ7 長井と最上川とレトロ駅舎と(山形)

はじめに

山形置賜、最上川のほとりにある長井は好きな町のひとつだ。その周辺の田園風景も自転車向きで、これまで何度も訪れてはポタっている。
しかしこれまではついつい市街の西側に偏ってしまうきらいがあった。そこでたまには最上川の東側の一帯を探索してバランスをとろうと思い立ったのである。
その辺りを走るのは初めてではないが、前回走ってからはもう何年も経っている。ずいぶん久しぶりな気がする。

大まかな

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春の小一時間ポタシリーズ3 : 村山でいろいろ集めて囃し最上川

春の小一時間ポタシリーズ3 : 村山でいろいろ集めて囃し最上川

先だって碁点温泉から村山市西部の高原地帯をポタったわれわれであったが、この一帯のよさをさらに深く味わおうと考えてふたたびこの付近に降り立った。

このあたりの風景の重要な役者はなんといっても最上川である。古くはかの芭蕉もああ最上川最上川とか、そんな句は残っていないが、たぶん詠んだに違いない。古来からの雄大な眺めを成す実力はその辺の川が束になってもかなわない。

前回は高原地帯の風景と花見を主眼に据

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春の小一時間ポタシリーズ2 : 山形 ・ 西川町のひそやか桜めぐりと寒河江川

春の小一時間ポタシリーズ2 : 山形 ・ 西川町のひそやか桜めぐりと寒河江川

春になると寒河江川は月山連峰の雪解け水が滔々と流れ出し、ビアンキの自転車を思わせるチェレステカラーを呈する。
その上流にある西川町では例年5月近くなっても桜が楽しめるが、今年は全県的に花の盛りが早まったので同地も例外ではない。
4月半ば、庄内に所用があって向かう途中の小一時間、早まった桜を追ってふたたびショートポタに出かけるのだった。

いつもは寒河江の道の駅チェリーランドから走り出してさくらんぼ

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春の小一時間ポタシリーズ1: 村山市 ・ 碁点からプチ北海道をめぐる (山形)

春の小一時間ポタシリーズ1: 村山市 ・ 碁点からプチ北海道をめぐる (山形)

これまで半日を当てるイベントであったサイクリングも、そんなに構えなくても行った先やその途中の空いた時間でちょっと乗ればそれなりに楽しいし身体にもいいじゃないか、というテーゼに至った話はさきに記したところである。

クルマで山形から秋田県南に向かう用事があった。2時間以上を要するから半日をサイクリングに費やしては余裕がない。しかし途中で小一時間寄り道してのポタリングならば可能だ。
そこでわれわれは、

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冬眠から覚めたブロンプトン〜山形市街花見ポタ

冬眠から覚めたブロンプトン〜山形市街花見ポタ

当地が雪に閉ざされている冬季も、かつては関東だ台湾だと連れ出されていたブロンプトンであったが、コ口ナ禍にあってはそれもままならない数年が続いている。
今シーズンもまたそのようにして過ぎたが、ようやく当地にも春がおとずれて自転車たちも眠りから覚めるのである。

今年は桜の満開と週末がぴったり重なり、当地の良民が挙って桜の名所にどっと繰り出す阿鼻叫喚が予想された。よってそのような場所に足を向けるのは避

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チェコのサイクルマップアプリ「mapy.cz」が日本で使っても楽しい件

チェコのサイクルマップアプリ「mapy.cz」が日本で使っても楽しい件

チェコ全土のサイクリングルートを手軽に見たいと思って見つけたのがこのウェブマップ。

(縮尺を上げていくとサイクルルートが表示されてくる。番号は現地のあの黄色い標識に出てるやつ)

これにはアプリ版もあるのだが、驚いたことに世界中の国の地図がDLできて、日本の地図も見ることができる。それだけならあまり使い道はないのだが、アプリだと面白い機能が付いている。
それは「選んだ距離でサイクリングルートを作

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ブロンプトンで上山フルーツラインから楢下宿をポタった話 (やまがた里みちサイクリング)

ブロンプトンで上山フルーツラインから楢下宿をポタった話 (やまがた里みちサイクリング)

はじめに

ここ一、二年、もっぱら県外のあっちこっちを走り回っていることが多く、相対的にわが山形県内のサイクリングの頻度が少なくなっている。
しかし他県を走る度に、山形の道と風景のよいところを再認識することしきりなので、事あるごとに山形に戻って走り、その認識を確認する要があると常々感じていたところだ。

そんなわけで、田んぼに水も張られた5月、いくつかあるお気に入りの中から、上山市の農道フルーツラ

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二口峠をTern Vektronでラクに登った話(2021.10)

二口峠をTern Vektronでラクに登った話(2021.10)

#Ternvektron

山形と宮城の間に立ちはだかる山を越える古道、旧二口街道。
県境の二口峠に至る九十九折の道は両県のヒルクライマーに人気であり、健脚自慢のガチムチローディ兄貴達がオッス連呼で登り合うルートだ。
しかし峠に至る林道が全線通行可能なのは一年のうち3か月ほどしかない。この機会を活かし、ガチムチでも健脚でないわたしも電アシの力を借りてスルッと峠に至ってみたい。そう考えて10月のある

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山形・長井をブロンプトンでゆるくポタる話

山形・長井をブロンプトンでゆるくポタる話


長井よいとこ

山形置賜の長井はかつて最上川の舟運で大いに栄えた町だ。
しかし荷物を川舟で運ぼうと誰も思わない時代になってからは、地味で凡庸な田舎町として年月を重ねている。とりたてて観光資源があるわけでもないし、よそから長井を目指して観光に来たり泊まったりという人もあまりいない。
しかしこの辺りは、地味ながらも味わい深い地方小都市ネタがいくつも詰まっており、自転車で巡ってみるとなかなか楽しいので

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