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今月読んだ本まとめ【3月編】

毎月色んな本を読むので、せっかくだからまとめてみる。
人のおすすめ本を知るのも好きだし、人に本を薦めるのも好き。どんな本を読むのか聞くと、その人の心の内が分かる、鏡のようだなと思う。本当は本棚を見せてもらいたいくらい。

『国宝 上 青春篇』
『国宝 下 花道篇』
吉田修一

吉田修一さんのこれまでの作品とは全く違う語りにまず驚く。
歌舞伎を題材にした、いわゆる大河小説で、誰かモデルがいるのかと思うくらいに鮮明に仔細に描かれている。中村鴈治郎さんのもとでどうやら黒衣として舞台裏について、取材(観察?)していたそうで、羨ましい限り。

長崎の料亭で起きた悲劇、歌舞伎の舞台、全ての情景が目に浮かぶ。
最近、歌舞伎にハマっているので登場する演目のあらすじや特徴を調べては、その世界にうっとりと浸るという、少し違った角度からも楽しめた。これを読んだら必ず歌舞伎を観たくなる。特に『阿古屋』はいつか生で観てみたい。

『歌舞伎の解剖図鑑』
『歌舞伎の101演目解剖図鑑』
辻和子 

全ページ、写真では絵で描かれているの大きな魅力。パラパラ眺めているだけでもワクワクする。手書きの温かみもあり、作者の歌舞伎愛が随所に込められているのを感じられる。わたしのような新参者は、歌舞伎座そのもののハードルの高さに思わず尻込みしてしまうものだが、この図鑑はそんなわたしたちを手招きしてくれているような優しさに溢れている。
初心者はもちろん、歌舞伎にすでに親しんでいる人もきっと楽しめる一冊。
最初に挙げた『国宝』に出てくる演目をこの図鑑で調べて読むという、参考書のような役割を果たしてくれた。

『食べて 祈って 恋をして』
エリザベスギルバート

イタリア、インド、インドネシアの3部構成。かなりボリュームがあり、どの章にも学びが多い。
前に別の記事でも同じことを書いたように思うけれど、わたしはインドのアシュラムでの修行の話が一番好き。
特に、毎日明け方の瞑想の時間が苦手で堪らない著者がある日の瞑想の時間に寝坊し、ルームメイトに外から施錠されて部屋に軟禁状態になってしまった時、部屋の窓から数メートル落下して怪我をしてまで、瞑想に向かうくだりが好き。
何かに突き動かされて行動するってこういう時のことを言うのかもしれないと思う。

『八月の銀の雪』
伊与原新

「科学揺るがない真実が、傷ついた心に希望を灯りをともす」という作品紹介に書かれた一文に惹かれて購入した。
読みやすい短編でどれも「傷ついた心に希望の灯りをともす」の通りに、登場人物の心情と自分を重ねて、あたたかな気持ちになれる。
偶然の誰かとの出会いや、何気ない出来事が物事を少しずつ好転させていく。凝り固まった心をほぐしてくれる。
読み進めるうちになんとなく、自分の生きる世界も明るく彩られるような気がする。
今のこの時代に出会えて良かった本。

『あなたの愛人の名前は』
島本理生

こちらも短編集。先月買って積読していたもの。
愛人と聞くと、ベタな不倫ものや恋愛ものを思い浮かべるけれど、現代らしいさまざまな愛の形が描かれている。
こちらの短編集はよくあるそれぞれが独立しているようで、リンクしている部分もあるので、フィクションながらも「それぞれの登場人物がそれぞれの世界で生きているんだな」と、物語に厚みを出している。
「足跡」はかなり独特で好き嫌い分かれそうだけれど、わたしは好きな世界観。

『あぶない法哲学 常識に楯突く思考のレッスン』
住吉雅美

普段のわたしなら絶対に手に取らないジャンルの本。父が「間違えて2冊買ってしまったから」と言ってくれたもの。

青山学院で講義をされているそうで、学生向けの話に慣れているからなのか、難しいジャンルながら、分かりやすく、時に砕けた書き方なのでとても読みやすい。
大学時代の教授の専門が哲学だったので、少しかじったことはあるものの、「法哲学」という言葉(学問)は恥ずかしながら初めて知った。
普段の生活で、自分が当たり前に持つ権利や、自分を守る法律について深く考えることはないけれど、「無知でい続けることは恐ろしいかもしれない」気づくきっかけになった。
この本の中でいくつか、薦められている法哲学についての別の書籍も読んでみたいし、この本についても何度か読んで、もっとインプットしたいと思えた。

まとめ

今月は図鑑も入れて合計8冊。
Kindleを導入してから、通勤時間や仕事の休憩中はKindleを、家では紙の本を、というように一度に複数の本を同時進行で読んでいるせいで元々読書スピードは速かったが、さらに読書量が増えている(暴読気味なところもある)。

積読も溜まっているので、新しく本を買うのは控えて(無理) 、来月も読書を楽しみたい。

紹介した本(リンクの付け方が分からない)

『国宝 上 青春篇』
『国宝 下 花道篇』

『歌舞伎の解剖図鑑』
『歌舞伎の101演目解剖図鑑』

『食べて 祈って 恋をして』

『八月の銀の雪』

『あなたの愛人の名前は』

『あぶない法哲学 常識に楯突く思考のレッスン』

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