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もしみんなで辿り着きたい世界の在り方があるなら:クレドのこと

クレド【Credo】
私この言葉聞いたことあったんです。ちょうど一年前くらいに初めてこの言葉を目にして、これについて色々考えた時期もあった。でも今日、とあるプロジェクトのミーティングでこの名前を聞くまでふと忘れてしまっていたんです。でもああ〜、まさに今自分たちに必要なのはこれだった〜!!って思い出したので、私が関わったクレドについてのお話を、もう一度忘れないようにまとめておこうと思います。


クレドってなに?

クレドとは、ラテン語で「信条」「志」「約束」を意味する言葉です。企業活動の拠り所となる信条、価値観や行動規範、経営指針を簡潔に表現した文言を指します。

近年企業においても、その精神性や意識の統一にも利用されはじめているというクレド。よくある企業ミッションやビジョンとは異なる役目を持つものだそうです。

◆ミッション
ミッションは、その企業の目的や使命、任務などのこと

◆ビジョン
ビジョンは、その企業がどこへむかっていくのか「あるべき」「ありたい」姿、目標や方向性を言葉にしたもの

◆クレド
クレドは、社員一人ひとりが行動する際の「信条」や「行動指針」

その導入メリットや作成方法なども詳しくはこちらの記事にわかりやすくまとまっているので、ぜひぜひ一度みてみてください。今回の記事では、ちょっと先のお話に進みます。


私のクレドとの出会いは、熊本に冬の間にだけ誕生するクリスマス村

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<クリスマスマーケット熊本2019 Photo by 保田有希>

クリスマスマーケット熊本(略してクリクマ)は、2018年に「次代を生きる子どもたちに、夢や希望を与え、この街に暮らす喜びや幸せを感じてもらいたい」と始まったイベントで、12月にまちの真ん中・花畑広場に突如現れる"クリスマス村" です。

ご縁あって2018年の初回からこちらのプロジェクトのお手伝いをさせていただいていたのですが、クレドに出会ったのは2年目の2019年でした。こちらがその年、関係者のみならず会場に来てくださるみなさんにもお配りしていたクレドです。

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【クリスマスマーケット熊本 CREDO】
〜優しい時間が流れる場所を目指して〜

・笑顔でいる
・優しく親切にする
・譲り合う気持ちを持つ
・親切は、気持ちよく受け取り「ありがとう」を伝える
・ゴミは、自分で片付けクリスマス村(会場)をきれいにする
・子供たちのワクワクを優先させる
・大人も、子どものようにワクワクに素直になる
・自分を大切にする
・今の楽だけを選ばず未来の楽しいを考える
・今、優しい時間が流れていることを意識し、そしてここで自分には何ができるかを考え実践する

初年度2018年の開催時に、車いすの方がいくのをあきらめた、お年寄りが並ぶのは疲れるから行かなかった、ベビーカーでは邪魔になってしまうので諦めた、など様々なお声をいただいたため、この年は【ハートフリー(Heart Free)な空間づくり】をテーマに「様々な障害や壁を超えた自由を、みんなの手でつくろう」という運営目標がありました。

ただし、全ての方に楽しんでいただける空間をハード面だけで実現するのには限界がある。ではそこにいる人たち全ての優しさでそれを実現できないか?運営やキャストだけでなく、クリスマス村に遊びに来る人たちみんながちょっとしたおもいやりや優しさを持つことができたら、その空間は誰にも優しい、誰をも受け入れることのできる空間にすることができるんじゃないか?そんな想いを込めて生まれたのが、この【クレド】でした。



クレド導入のきっかけは、アメリカのアートの奇祭・バーニングマンの世界

クリスマスマーケット熊本の実行委員長でもあり、日本を代表する竹あかり演出家でもある池田親生さんと奇祭バーニングマンとの出会いについては、こちらのnoteに書いてあります。(こちらも書いたのは私です)

「バーニングマン」は、アメリカ各地ほか、世界中から集まった7万人を超える参加者たちが自分たちで街を作り上げ、新たに出会った隣人たちと共同生活を営み、そこでアートや音楽などで自分を表現しながら生き抜いていく。そして一週間後、すべてを無に還すという世界でも非常に有名なアートの祭典です。

「バーニングマン」の開催される1週間の間は、現金を持ち込むこともできず、水道や電気といったインフラも提供されず、携帯電話などの通信機器も通じない。参加者たち(バーナー:burner)は自己責任のもとで、食料や水、テントや車など自分の身を守るものを用意して参加。医療なども自治において供給され、主催側から提供されるのは仮説トイレと食料の鮮度を維持するための氷だけ。

このような究極の状況下で、ブラックロックの市民ともいえる参加者たちはそれぞれにキャンプを組み、新しい知人を作って交友を広げ、隣人たちと協力し合って課題を乗り越え、コミュニティを形成していく。その実験的な地域社会の様相がまるで都市のようであることから、この街を「ブラックロック・シティ」と呼んでいます。街の各所では参加者自身による大小多数のアート・インスタレーションが立ち並び、その会場の中心には街の象徴の人型の造形物「ザ・マン」がおかれ、最終日にこの「ザ・マン」を燃やし尽くすことから「バーニングマン」と名前がつけられました。

そんなバーニングマンにも、示されている10の行動指針・理念があります。それがこちら。

・『どんな者をも受け入れる共同体である』(Radical Inclusion)
・『与えることを喜びとする』(Gifting)
・『商業主義とは決別する』(Decommodification)
・『他人の力をあてにしない』(Radical Self-reliance)
・『本来のあなたを表現する』(Radical Self-expression)
・『隣人と協力する』(Communal Effort)
・『法に従い、市民としての責任を果たす』(Civic Responsibility)
・『跡は何も残さない』(Leaving No Trace) 
・『積極的に社会に参加する』(Participation)
・『「いま」を全力で生きる』(Immediacy)
(Wikipedia「バーニングマン」より抜粋)

このバーニングマンにおける経験の中で、彼が強烈に感じたこと、それが

「世界平和を成し遂げた後の世界はこういう世界なんだな」

ということ。そして、クリスマスマーケット熊本でもそういう優しい世界を実現していくため、クレドを導入していったそうです。



もしみんなで辿り着きたい世界の在り方があるなら


いま私は7000人近いコミュニティの運営を大好きな仲間たちと一緒にチャレンジしています。そして私たちには目指したい未来の姿があります。どう伝えたらその想いをしっかりみんなに届けられるだろうか?またどうやったらそういった未来を一緒に考えていくことができるだろうか?そんなことをミーティングでみんなでうんうん言いながら考えていたところに、メンバーの一人から、

「私たちの会社も今まで色々な分岐に差し掛かった時、いろんな意見をもつ社員でわかれて議論になったこともたくさんありました。でもやっと全員で話し合って、意思決定の指針をクレドの形でまとめてから、個人としての意思決定も会社としての意思決定もものすごくやりやすくなって、またブレることもなくなったんですが、クレドを作ってみるっていうのはどうですか?」

と。それを聞いて私はもう

それじゃーーーーーーーーーーーん!!!!!!
私クレド知ってたじゃん!!!!!
なんで思いつかなかったんだろ!??!

と。メンバー全員でクレド制作に納得。これから全員で自分たちが目指すありたい姿、描く未来を言葉に丁寧に落としていこうと思っています。

バーニングマンやクリスマスマーケット熊本の事例は、もしかしたらクレドの事例としてはかなり珍しいものかもしれません(笑) でも私は彼らが本気であたたかい世界の在り方をこの世に実現しようとしていることを知っています。

もしあなたが、ひとりではなくみんなで辿り着きたい世界の在り方があるなら、もしかしたらクレドを作ってみるなんていうのもひとつの手かもしれません^ ^

私たちもまだまだこれからです。

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