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これでもかと芍薬が咲き誇る日

勤めているデイサービスのご利用者さん、Mさんが、芍薬の花束を持ってきてくださった。

花づくりで有名な房総民らしく、以前は芍薬を出荷していたのだそう。

赤ん坊の頭ほども大きさのある芍薬が、10輪近く花を咲かせ、同じくらいの数のつぼみもついている。

色も、純白、薄紅、濃いピンクの3種類。
花びらは何十枚も重なり、芯は隠れていて見えないほど。

早速、花瓶に生けてフロアへ持っていくと、利用者さんたちから歓声が上がる。表情が明るくなり、おしゃべりが弾む。香りを楽しむ方もいる。
認知症で、普段は表情に乏しかったり、会話がかみ合わない方も、見事な芍薬を前に笑顔になる。

花のもつ力、自然のもつ力はすごい。

デイの庭では、濃い紫色のアヤメがすっと背を伸ばしている。
千葉県が原産の赤紫色の花「トコナツナデシコ」が、寄せ植えの鉢に咲いている。向こうの民家の庭では、ほぼ野生化したオオデマリがたわわに白い花を咲かせている。その背景には、明るい黄緑色の新芽が芽吹き始めた里山の木々。

そんな初夏の植物たちのエネルギーを、すべて集めたかのような見事な芍薬の束に、職員も利用者さんも、世代や病気の有無を越えて皆で「幸せ」を共有できるのが、今の職場で働き続けている理由の一つかもしれない。



※nanairoさん、華やかでエネルギッシュな芍薬の写真をお借りしました!ありがとうございます。


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