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今日も、読書。 |本を読み続ける日々が、いつか実を結ぶ——

2022.4.3 Sun

カラ兄:中巻 53ページ

最近は、「文豪ストレイドッグス」というアニメを観ている。

以前から、このアニメの存在は知っていた。「文豪」というワードに脳が反応していた。角川文庫に、文豪ストレイドッグスのキャラクターが表紙のコラボシリーズがあり、どんな絵柄や雰囲気のアニメなのかは、なんとなくわかっているつもりだった。

観始めて驚いたのだが、まさかの異能バトルものだった。

もっとこう、時代や場所の制約を超えた文豪たちの交流とか、創作するうえでの苦悩とか、常軌を逸した逸話とか、そういうテーマの作品かと思っていた。

しかし、これはこれで面白い。キャラクターの名前が実在した文豪の名前になっているだけで、異能バトルアニメがこんなにも面白くなるのか、と感動すらした。

太宰治と芥川龍之介が戦うとか、想像しただけで面白い。中島敦が、山月記にちなんで虎に変身する異能力を持っているのも良いし、一方で宮沢賢治はシンプル怪力能力の持ち主で、それはそれで好きだった。



2022.4.4 Mon

236日目。

カラ兄:中巻 53ページ

夜眠る前に、30分から1時間くらい、布団に入って読書をするのが習慣である。寝る直前はスマホをなるべく見ないように気をつけていて、スマホを見たいという誘惑を紛らわせるために、読書をするようにしている。

この「夜の読書時間」を、ほんの少しだけ快適にすること。このところは、そんな取り組みを行っている。

まずは、「香り」だった。

MARKS&WEBのアロマウッド。アロマオイルは、もともと持っていた無印良品のエッセンシャルオイル。これらを導入した。

アロマウッドの良いところは、オイルを数滴垂らすだけで、良い香りが楽しめるという手軽さだ。アロマディフューザーのように水を用意したり、電源をつけたりする必要がないし、お香のように、火を取り扱うリスクもない。唯一、底面にオイルが染み出してしまうことにさえ気をつければ、これほど楽なものはない。

枕元の小さな空間が、ほんのりと良い香りに包まれる。この、ごくわずかな空間だけが幸せに包まれる感覚が好きだ。リラックスしながら読書ができるし、眠くなったらそのまま、香りに包まれながら夢の世界へ行くことができる。

香りを変えると、生活の質が大きく向上すると思う。アロマウッドは、手軽に生活に香りを取り入れられる、最適解だ。



2022.4.5 Tue

237日目。

カラ兄:中巻 53ページ

荻原浩さんの『明日の記憶』。会社に勤める身としては、読み進めるのが結構辛い、鬼気迫るようなリアルさを持つ小説だった。

主題は、アルツハイマーの闘病。広告会社の営業部長として働く主人公の男は、日に日に物忘れが増え、満足に仕事ができなくなっていく。初めは楽観視していたが徐々に深刻度が増していき、若年性のアルツハイマーであることがわかる。

自分はまだまだ働ける、社員やお客様に迷惑はかけないと懸命に努力するのだが、病は容赦なく彼を苛んでいく。じわじわ病状が悪化し、周囲の人に責められ、呆れられる様が、とにかく辛かった。アルツハイマーが少しずつ進行していく過程が、物凄くリアルに、事細かく描かれている。彼を取り巻き、支えてくれる人々との、付き合い方についても描かれている。

記憶を失うこと。それはすなわち、死を意味するのではないか。

主人公は闘病生活の中で、「記憶の死」について考える。彼のアルツハイマーに対する捉え方は、物語を通じて少しずつ変化し、記憶を失う病とどう付き合っていくべきなのか、その答えを探し求める。

社会人として、彼の境遇や考え方が、痛いほど理解できた。ある日突然重い病にかかった時、自分はどう行動すべきなのだろう。そんなことを深く考えさせられた作品だった。



2022.4.6 Wed

238日目。

カラ兄:中巻 53ページ

この読書日記は、基本的にはスマホで文章を打ち込んでいて、日常の隙間時間で、少しずつ書いている。

初めの頃は、その日にあったことをその日のうちに、リアルタイムで書いていた。しかし、次第に下書きが溜まっていき、未来の日付の日記を先んじて書くようになった。今では、2週間程の乖離が生じてしまっている。

たとえば、この文章を書いている今は、実は3月24日の木曜日だ。皆さんがこの読書日記を読んでいて違和感を覚えたら、それはこの、執筆時期のズレに起因しているのかもしれない。

正直、日記は手書きで書いた方が良い。

スマホで日記を書いていると、なんというか、頭で思い浮かべたことと画面に打ち込んだ文章の間に、フィルターがあるような気がする。フィルターを通して言語化した文章は、うまく言えないけれど、余所行きで、洗練されすぎているように感じる。

手書きで書く文章であれば、もっと正直になれる気がするのだ。言葉を打ち出す媒体の問題なのか、自分の心の持ちようの問題なのかわからないけれど、日記として書くのであれば、私は手書きが良い。

そんなわけで、私はこの読書日記と並行して、不定期ではあるものの、手書きの日記も書いている。それが世の中に公開されることは、絶対にないけれど……。



2022.4.7 Thu

239日目。

カラ兄:中巻 53ページ

『仕事と人生に効く 教養としての映画』を読む。

注目は、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を取り上げた第7講。最近「ボヘミアン・ラプソディ」を観たばかりだったので、タイムリーで大変面白かった。

映画のラスト、「ライブ・エイド」のシーンでフレディ(演じるラミ・マレック)が見せた、圧巻のライブパフォーマンス。あのシーンに、いくつもの映画的な潤色が施されていたのだと、本書は分析している。

映画を観ていたときは特に違和感なく受け入れていたが、確かに実際のライブではあり得ない映像、演出が数多く取り入れられていた。この演出によって、私たち観客は、大きな没入感や満足感を感じられるのだ。映画を純粋に楽しむのも良いが、このように作り手の目線で、どのように鑑賞者を惹きつけているのかについて、映画を分析するのも面白いと思った。

また、本書には何か創作に触れた後にアウトプットすることに関する、良い言葉があった。私も日々、こんなことを思いながら、面倒な読書日記を続けている。

映画について書く暇があれば、映画を見に行ったほうがよいというひとがいるかもしれない。しかしわたしは映画をもう一度見るために書く。書くことは、よりよく見ることだからである。
          ——p125-126より引用。映画研究者・加藤幹郎の言葉



2022.4.8 Fri

240日目。

カラ兄:中巻 53ページ

週末は美術館へ。「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を鑑賞に行く。

上野公園、東京都美術館。ゴッホ展以来の来館。上野公園には桜が咲いていて、春の訪れを告げていた。

こちらの企画展の目玉は、ヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」という絵画だ。

窓から差し込む光の表現、室内で手紙を読む女性像など、フェルメールが自身のスタイルを確立したといわれる初期の傑作です。
                       —―展覧会HPより引用

この作品、1979年のX線調査で、壁面にキューピッドが描かれた画中画が、塗り潰されていることが判明した。それまで無地だと思われていた部屋の壁に、キューピッドの絵が隠されていたというのだ。

長年、そのキューピッドは、作者のフェルメール自身が消したと考えられてきた。しかし2019年、なんとそのキューピッドは、フェルメールの死後、別の何者かによって消されていたということがわかった。2021年にはキューピッドの修復作業が完了し、本来の姿の「窓辺で手紙を読む女」が、東京都美術館にやってきたというわけだった。

私はこのストーリーを聞いて、原田マハさんの小説の世界を思い浮かべずにはいられなかった。ていうか、こういう筋書きの話、既に原田さんはお書きになっているのではないか。事実は小説より奇なり。その言葉がこれほどふさわしい事例があるだろうか。

キューピッドの画中画は、誰がいつ、どんな目的で塗りつぶしたのだろう。そこには、何かしらの事件が、物語があったのではないだろうか——。

たとえば……長年「窓辺で手紙を読む女」を所蔵し続けてきた美術コレクターが、その絵を悪者から守るためにやむを得ず、壁をまっさらに塗り潰し、贋作としてどこかに隠した——いつか、本物の価値を見抜く真の美術コレクターが、再び見つけ出す日が来ると信じて。

そんなストーリーがあったのか、それとも単に絵の持ち主が、キューピッドが気に入らなくて消してしまったのか。私は案外、修復される前のシンプルな「窓辺で手紙を読む女」も、好きなのだ。ふたつのバージョンを比べるために、私は2枚のポストカードを買って、美術館を後にした。



2022.4.9 Sat

カラ兄:中巻 84ページ

このところ仕事が忙しく、プライベートにかけられる時間が減っている。つまり、本を読む時間が減っている。

大学時代から仲の良い先輩が、東京での仕事を辞めて、地元に帰ることになった。仕事中心の生活に疲れ、1度人生をリセットするのだと、どこかすっきりとした表情で話をしてくれた。

人生で何を大切にしたいか。それを自身に問い続けることを、忘れずに生きていきたい。仕事は生きていくうえで必要だけれど、私が大切にしたいのは間違いなく、ゆっくりと本を読む時間であり、こうして文章を書く時間であり、大切な人と過ごす時間だ。それはもう、いつ何時問われたって揺らぐことのない、絶対的な答えだ。

新しい本を購入し、最初の1ページを開くときの感動が、本当に好きだ。読み進めてきた本の最後の1ページを読み、余韻を味わいつつページを閉じるときの感動が、心から好きだ。

本を読むために、仕事を早く終えたっていい。私が人生で大切にしたいのは、仕事よりも読書なのだから。本を読むときの動作ひとつひとつが愛おしくなるくらい、読書が好きなのだから、これはもう仕方ないのだ。

この本をひたすら読み続ける日々が、好きなことを突き詰めていく日々が、いつか実を結ぶ。そう信じて、生きている。



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