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オーディオブックってどうなの?

オーディオブック。

数年間の読書生活で、なんとなく興味はありつつも、実は一度も利用したことがなかった。

試しに使ってみたら、新しい読書の世界が開けるのかもしれない——そんな思いを抱き、遂にオーディオブックを利用してみた。


この記事は、私がオーディオブックを使ってみて感じたことを、ざっくばらんに書いたものだ。

以下の感想は、ひとりの読書好きの、個人的な意見であることをご了承いただけると嬉しい。



Audibleに登録してみる


オーディオブックと聞いて真っ先に思い浮かんだのが「Audible」だったので、勢いそのまま、Audibleに登録してみた。

私が登録したときは「1ヶ月無料キャンペーン」を開催していたため、お試し感覚で、気軽に始められるのが嬉しかった。


Audibleについて簡単に紹介させていただく。

月額1,500円で、12万冊以上(2023年2月現在)の本が聴き放題になる、Amazonのオーディオブックサービスである。

会員登録してアプリをダウンロードすれば、その場ですぐに12万冊の本が読める(聴ける)ようになる。そう考えると、ものすごくお得なサービスではないだろうか。

後述するが、アプリの操作は非常にシンプルで、一般的な音楽再生アプリとほぼ同じUIで使いやすい。バックグラウンド再生機能もあり、移動中や作業中にも本が読めて便利だった。


本の種類が12万冊もあるので非常に悩ましかったが、私は試しに、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』を読むことにした。

図書館でかれこれ1年以上予約待ちしているのだが、まだ私の前に100人近く待っている状態なので、痺れを切らしてしまった。



逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』を読む


逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』は、言わずと知れた2022年本屋大賞受賞作。

受賞会見での、逢坂さんのスピーチが非常に印象に残っている。以来ずっと気になってはいたが、図書館の順番が一向に回って来ず、読めていなかった。


Audibleアプリの画面はこのような感じ。見慣れた音楽再生アプリの画面とほぼ同じである。

巻き戻しと早送りは30秒ごと。前後のチャプターへの切り替えも容易で、再生速度も細かく変更することができる。

寝落ちしても安心なタイマー機能もあるし、しおりとしてのクリップ機能もある。オーディオブックを聞くうえで、欲しいと感じる機能は備わっているという感じだ。


右上の車マークはなんだろうと思い押してみると、より簡略化されたUIに切り替わった。

車の運転中にオーディオブックを聴く場合を想定して、操作しやすいように配慮された設計である。



メリットとデメリット


最後に、1ヶ月間オーディオブックで『同志少女よ、敵を撃て』を読んでみて、私が感じたメリットとデメリットを挙げてみる。


メリット

①楽

オーディオブックは、とにかく楽だ。

「本を読む」という行為をすることなく、スマホで音声を再生すれば、あとは何もしなくても、本が読める。「読む」アクションがないことが、こんなにも楽だとは思わなかった。

個人的には、夜布団に入ってから眠りにつくまでの間に、横になりながら本を読めるのが嬉しかった。

仰向けで本を読んでいて、顔に本を落とし、痛い思いをしたことがあるのは私だけではないはずだ。オーディオブックならそんな心配はないし、腕が疲れることもない。

音声を聴いているだけなので、ブルーライトで眼が冴えてしまう心配もない。オーディオブックは、寝る前の読書と結構親和性があるように思う。


②両手が使える

先ほどの「楽」と似ているのだが、本を読みながら「両手が使える」ことには、かなり感動した。

掃除や料理などの家事や、事務的な作業をしていて、「この間に本が読めたら……!」と何度思ったことだろう。

オーディオブックは、そんな願望を叶えてくれた。ながら作業ができるのが、オーディオブックの利点である。


③目が疲れない

私は、仕事も休日もパソコン作業をしていることが多いため、常時目が疲れている。いつの間にか、目薬がないと生きていけない身体になってしまった。

そんな生活をしていると、紙書籍や電子書籍を読むのが、きつい時もある。特に仕事終わりの読書は、小さな活字を目で追うことが苦痛に感じられて、悩みの種だった。

オーディオブックは、目を閉じていても本が読めるため、目を休めながら読書ができる。まさに夢のような環境を授けてくれた。


デメリット

①時間がかかる

個人的には、これがオーディオブック最大のデメリットだと感じた。オーディオブックは、本を読むのに時間がかかる。

文章を黙読するのと、声に出して読むのとでは、後者の方が、圧倒的に時間がかかるのだ。

例として『同志少女よ、敵を撃て』を読み終えるためには、10時間以上もの時間が必要だった。普通に読むより、おそらく2倍以上はかかっていると思う。

結局、お試し期間の1ヶ月で、私は『同志少女よ、敵を撃て』を読み終えることができなかった。

再生速度を早めれば良いのかもしれないが、そうすると、音声の聞き心地に違和感が生じて馴染めなかった。熱のこもった肉声を聴けるのがオーディオブックの魅力だが、再生速度を変えると、その魅力が損なわれてしまうような感じがした。


②ジャンプができない

オーディオブックは基本的に、開始から終了まで、一方向的に流れる音声データである。

そのため、紙書籍のように、特定のページにすぐにジャンプしたり、離れたページ間をスピーディに行き来したりするのが難しかった。

久しぶりに登場したキャラクターに対して、「これは誰だったっけ?」と思っても、それより前にその人物が登場した場面に、ささっと戻るのが難しい。

普段紙書籍を読んでいる時には感じないが、オーディオブックを体験して初めて、私は普段、結構ページを行きつ戻りつしながら本を読んでいるのだと気づいた。ページ間の移動がスムーズに行えることは、離れてみて初めてわかる、紙書籍の便利な点だった。


上で挙げたのは、オーディオブックで小説を読んだ場合のメリット・デメリットだ。

もしかしたら、ビジネス書など違うジャンルの本を読むと、また違った感想になるかもしれない。きっとそれぞれに、適した利用手段があるはずだ。



オーディオブックを利用していて感じたのは、「いつか、ページをパラパラとめくりながら読む紙書籍の読み方が、古いとされる時代が来るのかもしれない」ということだった。

大きなパラダイムシフトが起きて、手を使ってページをめくり、目を使って活字を追う読書が、もしかしたらガラリと変わってしまうかもしれない。

私は紙書籍を読むのが好きだ。

でも、仮に新しい読書様式が世の中に現れたとき、迷わずに試すような挑戦心も持っていたいと思う。合うか合わないかを判断するのは、試してからにすればいい。

私がオーディオブックを利用していて感じたのは、だいたいそのようなことだった。これから読書はどう変わっていくのだろう……と想像を膨らませてみる。



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