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気候風土を無視し、強引にねじ伏せてゆくような”アクティブ”な建築デザインは無駄な費用と労力を要し、そして次第に住まい手も建築自体も疲労してゆきます。 2020/10/23

 夏休みをもらった。明け方目が覚めたので、朝湯しながら本読んで、風呂上りに冷たいハイボールでさっぱり、そこからダラダラ飲みながら読む。妻から収納、片付け関連本を読めとドサリと渡され、ざっと読んだら片付けたくなって、洗面台とか洗濯機周りの収納を見直したら、今の家がとても使い勝手よくできていることに今更気がついた⋯⋯。この家、とてもよくできている。

 堀部安嗣『住まいの基本を考える』を読んだ。

 一方で、料理と建築は似ているところがあります。刺激的で濃い味はたまに食べれば美味しいのですが、日常的に継続して食べることはできません。住宅はまさしく毎日、そして何十年間にわたって食べても飽きないような料理のようでなくてはならないのは明日でしょう。そこには強い刺激や濃い表現といった強くはっきりした味付けは必要ないのです。ときにそのことが退屈でつまらないものと捉えられてしまうかもしれませんが、住宅設計には、淡々とした表現を粘り強く長いスパンで持続して考えてゆかなければならない難しさがあり、確かさが求められるのです。
堀部安嗣『住まいの基本を考える』P.15

 なんとなく住宅というのは病める時も健やかなる時も共にあるものとしてハレの日のテンションで考えない方が良さそうだということはわかった。イケイケのギンギンなデザインで攻めると疲れそう、ということだな。まぁただでさえ家で過ごすのが好きなので、とにかく居心地の良い落ち着いた空間にすることを考えていきたい。

 それにしても堀部さんの作品を見ていると、どれも窓が魅力的であぁ、窓とはとても良いものであるな、と思った。窓も含めて自由度がきく戸建てという物の魅力にやっと気づいたと言えるかもしれない。今回のマンションリノベでおそらく諦めなくてはいけないのは風呂に窓をつけること。今の家には風呂に窓があり、それが心地よさに大きく寄与していたのだと今更ながらに知った。次のマンションではさすがに風呂を真逆の位置に動かすわけにもいかず、窓は諦めざるを得ないんだろうなぁ、などと思う。

 建築におけるパッシブデザインも似たようなことです。太陽のエネルギーや気候風土といったすでに存在しているものを活かすようにデザインすることで、なるべく少ない労力でその働きを効果的に引き出してゆくのです。反対に太陽が燦々と降り注ぎ、いい風が吹いているのにそれを取り入れることをしないデザイン、大雨が降っているのに素早く雨を受け流さないデザイン 、身近にいい材料や技術があるのにそれをまったく利用しないデザイン、そして冷暖房をフル稼働させなければ室内環境が成立しないデザインはどう考えても合理的とは言えませんし、エネルギー間題が深刻化している現代にまったくふさわしくありません。気候風土を無視し、強引にねじ伏せてゆくような”アクティブ”な建築デザインは無駄な費用と労力を要し、そして次第に住まい手も建築自体も疲労してゆきます。そのような建築は、音が淀んで、実は誰一 人として気持ち良くさせない、まわりにストレスを与えている音楽と同じなのです。
堀部安嗣『住まいの基本を考える』P.43

 自然の力に逆らわずに上手く取り入れることで快適な空間ができるというのはなるほどその通りなのだろうなぁ、という思い。

朝から飲みすぎて寝てないのに二日酔いみたくなった。

自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。