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第116話 透明な愛の在り処



 ツインレイとの道のりを進めて行く中で、避けては通れないもの。今までで縁のあった異性との、エネルギー的な清算。
 旦那であったりヤマタ先生であったり、それから結婚する前にお付き合いしてきた男性たち。
 その人たち一人一人に向けて、感謝の念を送っていく。

 幸い付き合ってきた男の人たちとは、不思議と良好な関係のままで終わりを迎えたものが多く、恨みや憎しみは殆どないようだった。
 そんな彼らに対して一番強く出てきたのは『執着』ではあったけど、スサナル先生という人の前ではその執着心すら霞んでしまいそうだった。

 それから意を決して、旦那とヤマタ先生にも感謝をしてみる。

「卒業したから。」「離婚したから。」
今となってはそんなものは物理的世界に限った現象で、本当はその何倍もの執念が、あれからずっと鎖のように絡んでいることに気づいていた。

 だからこそ、手強い(てごわい)彼ら二人の前では感謝するにもかなりの勇気が必要で、毎回及び腰と呼んだらいいのか、へっぴり腰と呼んだらいいのか、とにかく恐る恐る“繋がる”のが精一杯だった。
 だけどその限界を超えるように、今でき得るだけの感謝の気持ちを丁寧に送ることにした。


……なーんだ。

 ふわっと気持ちが軽くなった。思わぬところからの気づきがやってきたのだ。

 ご縁があった男の人たちにしても、学校や職場などで関わりのあった男の人たちにしても、彼らと対面する時はなんとなく、無自覚に自分を下げていたことがわかった。

 力がある振りをする者と、それを崇めて情けを乞う振りをする者。……均衡を欠いた権力に対する自己犠牲精神、『我慢』のようなものを、自分の中に発見した。
 男性に対して『無知で無価値な自分』を装うと、いわゆる“愛され彼女”のできあがり。かつての私は頑張って、“そっち”でいることを目指していたらしい。

 だけど時々どうしても、剣対剣としての顔が出てしまうことがあった。
「どうして私のほうが視野が効くような時にまで、彼らの肩を持ったり花を持たせたりしなければならないんだろう。」と、そんな本音を隠していたのだ。
 それは剣の反対側、『受容』という女性性の、歪んでしまった側面でもあった。

 そのせいだからなのか、自分が女であることが時々きつかった。でも、かつての男性たちはそんな私の本心を、鏡となって見せてくれていたんだと気がついた。
 そして彼らはまた、スサナル先生という男性との“明確な違い”も浮き彫りにして見せてくれた。
 あの先生だけは深いところで、私が格下だからとか自分が上に立てるからとか、そういう理由で私に愛を与えたい訳ではないのだと、なぜだかわかってしまった。

 私はただ、きっと私であればいいんだ。あの人が与えたい愛を、そのまま受け取ればいいんだ。

 だからこの日は長い長い観察のあと、私は生まれて初めてほんの少し、自分の性を認められた気がした。
 ようやく気づいた時には泣き笑いになって、椅子に座った体勢のままで、はしゃいで足をバタバタさせて。

 私、女の子だったー女性なんだー!すごいすごい!私ってこんなにも女だったんだー!私は女でよかったんだー!

……

 その日の真夜中。
透明で真っ直ぐな、スサナル先生が現れた。高次元体、クリスタルボディで裸体の先生の背後には、燃えるような赤く大きな太陽があって、私を見つめる彼の瞳も負けないくらいに燃えていた。

 今この人を目の前に、私の魂そのものは、一体何を願ってる?
自分に正直になってみて。
本当は何を願ってる?


「抱いていい?」

 そんな声が聞こえた気がした。
「うん。」と私も答えると、たくさんの惑星や月が見えた。

 返事と共に、僅かながら全身に微細な圧が流れてきた。たどたどしく覚束ないエネルギーの交流は、ほんの少しの間だけ、いつもは冷たいおへその真下を微かな程度温めた。

 その間、頭の中にこんな言葉が入ってきて、溢れた涙が目の横を伝って耳の中へと入ってしまい、ちょっとだけ困った。


響かせよ

轟け鳴らせよ俺の鼓動

鳴らせよすべて あなたの中で




written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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←今までのお話はこちら

→第117話 記憶の音を奪還しに行く

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