暴食・破壊・自己批判

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記事一覧

VR、現実の強度

はじめに 昨今、アメリカのメタ社におけるVRゴーグルの新製品の発表、それに対応するゲームソフトなどの開発、VR技術を用いたゲームセンターが秋葉原に出店するなど、VR技…

夢の種1

並行世界への憧れはどこから来るのだろうか。 加藤夢三は東浩紀のクォンタム・ファミリーズから 「さまざまに張り巡らされたコンピュータネットワークの中に「この私」の…

デカカブトムシと、バトル

私は乗用車ほどの大きな藍色のカブトムシと戦っている。これは自転車で10分ほどの近所の公園に置いてあるオブジェクトであるのだが、突如として私に襲いかかってきた。いや…

夜の確定記述

「夜の話をしよう」 誰かがそう言った途端に私の世界は夜になっていた。 「夜は固く、暗い。」 詩的に呟いたものがいた。その言葉を認識した途端、ほとんど暗黒と言って…

シャンプーと時間旅行

時間旅行、英語にするとタイムトラベル。相対性理論に基けば、光の速さを超えた時に過去へと行けるらしい。現時点ではそんなタイムマシンなんて開発されておらず、これから…

帰省と感情

私は学生でそこそこの頻度で実家に帰るのだが、実家までは鈍行の電車にちんたらと揺られるのだ。関東平野を縦断するような形で列車に乗る。一応、下宿先の最寄り駅は電車が…

VR、現実の強度

はじめに

昨今、アメリカのメタ社におけるVRゴーグルの新製品の発表、それに対応するゲームソフトなどの開発、VR技術を用いたゲームセンターが秋葉原に出店するなど、VR技術を用いた製品、サービスの市場は伸びていると言えるだろう。そこで、こんなVR技術があれば良いという想像における、その展開とその技術・製品がこの現実世界に及ぼしうる可能性についてメタクエストにおいて考察する。

VR技術

そもそもV

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夢の種1

並行世界への憧れはどこから来るのだろうか。

加藤夢三は東浩紀のクォンタム・ファミリーズから

「さまざまに張り巡らされたコンピュータネットワークの中に「この私」のアイデンティティが無数に拡散する情報社会において「私」はほんとうに〈いま・ここ〉に存在しているのだろうかという問いは、きわめて切実なアクチュアリティを喚起するものとなっている。」

と論じた。これは実生活でも確かに確認できる事であろう。

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デカカブトムシと、バトル

私は乗用車ほどの大きな藍色のカブトムシと戦っている。これは自転車で10分ほどの近所の公園に置いてあるオブジェクトであるのだが、突如として私に襲いかかってきた。いや、襲いかかってきたという表現はこのカブトムシに対して不誠実だろう。私がこれの縄張りに入ってしまったために、排除されようとしているだけなのだから。

一つ断るとするならば、これは現実である。現実であるが私にとっての、私だけの現実であり、他者

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夜の確定記述

「夜の話をしよう」

誰かがそう言った途端に私の世界は夜になっていた。

「夜は固く、暗い。」

詩的に呟いたものがいた。その言葉を認識した途端、ほとんど暗黒と言って差し支えない暗さにあった。ただ暗いだけではない、和気藹々としているような、それまで私はどのように過ごしていたかわからないが、空気ではない。張り詰めたような緊張感に包まれている。理解を超えた状態に戸惑いながらも私は場の雰囲気に呑まれ黙る

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シャンプーと時間旅行

時間旅行、英語にするとタイムトラベル。相対性理論に基けば、光の速さを超えた時に過去へと行けるらしい。現時点ではそんなタイムマシンなんて開発されておらず、これからも現れるとは思えないが。とはいえ、未来へ行くための方法はすでにいくつかある。その中の一つが宇宙へ行くことだ。例えば、光速の90%で動くことができれば、観測者の側で一年経っていても、移動者は0.4年ほどしか経過していないという。この例えもほと

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帰省と感情

私は学生でそこそこの頻度で実家に帰るのだが、実家までは鈍行の電車にちんたらと揺られるのだ。関東平野を縦断するような形で列車に乗る。一応、下宿先の最寄り駅は電車が始発で出るので、15両編成の14号車か15号車のボックス席に決まって座り、乗客が少ないのをいいことに隣に荷物を置いてパーソナルスペースを確保するのである。とはいえ、靴を脱いで対面の座席に足を投げ出すほどの勇気はなく、中途半端に結界な張ってい

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