Junko Medine

うた・え・おはなし メディシャン 陰陽調整 主婦

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  • 小説「ステルラハイツ」

    田舎暮らし ゲストハウス スローライフ  アラサー アラフォー アラフィフ 恋愛 男女 ゲイレズ エログロ 結局のところ落ち着きたいだけ。

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どーでもえーだらーぼっちの 話

今は昔 あるところに どーでもえーだらーぼっち という 山のように大きな 女の子がいました。 女の子は ひろい海の まんなかで生まれました。 あたりを見まわしても 陸地らしきものは何も見当たらなかったので おひさまの出てくる方へ 歩いてみることにしました。 イルカの群れに会ったときは 一緒に行こうよ と誘われて ちょっと足を止めました。 イルカとうたうのは 楽しいですものね だけど イルカのように上手には 泳げないので やめました。 足を止めて 休んでいると うみねこた

    • Big giant runs in the storm.

      • 今この世を生きる誰かへ2

        こんにちわ。 また あなたとお会いできるとは まことに心ふるえます。 ********************** 「体の振動を整える」 今日はこれを伝えます。 前に 身体内部感覚 の おはなしをしました。 少しだけ その つづき です。 内部感覚がとぎ澄まされて 今 わたしにあるもの と そうでないものと を 常にわかっている状態 そこにつながれば こわいものなし。 わたしたち 人類が 生きてきた途上で 今 というのは 少なくとも 5次元 energ

        • ステルラハイツ6438

           星雄は、チェックインを済ませて駆け込んだトイレの中で、またたまこのことを思い浮かべる。  あいつは。    すると可笑しくてたまらなくなって、個室の中ひとりで笑い出す。    熱烈に求め合った3日目の夜、星雄は裸のまま伏せをしてハーハー息を切らすたまこを見て、昔迷い込んできた犬を思い出した。この女は裸の時だけ身動きが素早い。 「犬みたいだな。」  星雄の胸や脇に鼻を押し付けて匂いを嗅いでいたたまこにそう言うと、一瞬の間の後、 「初めては、犬だったから」  たまこ

        どーでもえーだらーぼっちの 話

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        • 小説「ステルラハイツ」
          32本

        記事

          ステルラハイツ6418

           星雄と空は当たり前のようにステルラハイツに住みついて、また久々にステルラハイツは満室となった。といっても、星雄はいつもリビングにいるか、たまこの部屋で寝ていたし、どうやら空とJINちゃんも、いつしかオレンジの部屋で寝起きを共にするようになっていた。    星雄より6つ年上の空は、JINちゃんより十五歳若い。それでも二人は一緒にいると、長年連れ添った老夫婦のような趣があった。JINちゃんは、どうも口数の少ない男に弱い、と冗談めかして言う。 「わたし、ニューヨーク行かないこと

          ステルラハイツ6418

          ステルラハイツ6417

           なんでこんなことになったんだろう。    たまこは隣で口を開けて眠る星雄の顔を見ながら、記憶の糸をたどる。  おぼろげではない、はっきりとつながった記憶の中で、たまこは、自分の上にまたがった、星雄の口から出た言葉を反芻する。 「こんなつもりじゃなかったのに」  ああー、とうなって星雄は頭を抱えた。  二人とも酔っていたとはいえ、事を成し終えた直後にそんなことを言うなんて、どこまでひどく身勝手な男なんだ、とたまこは無言で呆れる。ただ、怒る気などはなく、淡々と、どこかで

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          ステルラハイツ6416

          「この絵は俺のだ。」  ある日、いつものようにリビングの壁にかかっている青い絵を見ながら星雄がそう言った時、たまこは「へぇ」と咎めもせずに聞き流した。  その絵はたまこが実家から持ってきてそこに掲げたもので、さかのぼれば随分と昔のことになるが、高校生だったたまこ宛に突然ミーコおばさんから届いたもの。 「あの人がそう言ってた。」  星雄はミーコおばさんのことを「あの人」と呼ぶ。その呼び方を耳にする時、たまこの胸は少しだけざわつく。  ここにもまた自分の知らないミーコおばさ

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          ステルラハイツ6437

           たまこは広いリビングの床に寝そべっている。屋根を打つ雨の音が、さっきから強くなったり弱くなったりを繰り返している。どうやら巨大な台風が接近しているらしい。朝方、母から電話があった。 「超大型台風25号、日本列島を縦断するって。浸水の被害も出てる。キケン。家から出ないで。」  今日は朝から空がどんより重たく垂れ下がっていたから洗濯はお休み。ひと通り部屋の掃除を終え、テラスに舞い落ちる枯れ葉を掃き出すと、待っていたかのようにザーッと雨が降り出した。  近頃の雨は、南の国のス

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          今この世を生きる誰かへ

          こんにちわ。 これは、多くの人に向けて、その中の誰かに、お届けする話です。 あなたに読んでいただいて、光栄です。 ******************************** 「身体内部感覚をとぎすます」 一番始めに言いますが、それこそ、今、個人そして人類が直面している様々な問題の、最もプライベートな側面であり、今まさに個々人の内側で起こっている出来事です。 わたしは、様々な支援のもとに、国から薬剤師の免状をいただき、医師より処方された医薬品を調合して、患者にお

          今この世を生きる誰かへ

          ステルラハイツ6393

           明け方から降り出した雨で街はしっとりと濡らされて気温は上がらず、朝目を覚ますと肌寒さに身が震えた。  たまこは硬く絞った雑巾でリビングの床を拭く。板目に沿って丁寧に拭いているうちに額に汗がにじむ。ふーっと息を吐いて身体を起こすと、テラスから吹き込む風がひんやりと汗を乾かした。 「おはよう。」  いつの間にかミミ子がリビングに降りてきていた。この時間に起きてくるのは珍しいことだが、きっと興奮してほとんど眠れなかったのだろう。潤みながらも光を放つ目が物語る。 「お茶でも入れ

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          ステルラハイツ6391

           ステルラハイツのある街の近くに、大きな湖を湛えた歴史深い街がある。  山岳地帯を越え、たまこを乗せた列車がその街を通ったのはちょうど夕暮れ時だった。湖に差し込む夕陽の美しさにたまこを含めた多くの乗客が歓声を上げると、間もなく最寄りの駅に到着した。  幼年の浅黒い子どもを連れ、愛想のいいおばさんを載せた車椅子を押して降車しようとする男性客がいたので、近くにいたたまこが「手伝いましょうか」と声をかけると「駅員さんが手伝ってくれますから」と会釈をして通り過ぎようとする、その男

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          ステルラハイツ6392

           予想もしない出来事をはさんで、ステルラハイツに帰りついた頃にはすっかり日も暮れ、たまこは疲れ果てていた。  屋敷の前には数台の見慣れない車が止まっている。たまこは足早にその間を通り抜け、玄関に辿り着く。  戸を開けると、中からはムッとこもった熱気と人々の話す声が流れ出た。三和土には、住民のものに加えて、あまり目にしない紳士用の革靴と趣味の悪い色のハイヒールが脱ぎ捨てられている。注意深く下足入れをのぞくと、あの日以来そのままになっていたダリアのブーツやサンダルなどが、一切姿

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           たまこはまた夢の中にいる。  青い碧いどこまでも続く、空のような海のような空間を、両腕で懸命に掻き分けながらひたすら先へと進んでいる。  不意に、あっこれはこないだの夢の続きだ、とわかる。  その瞬間に隣をまたイルカが並走しているのを感じる。目で確認しなくても、イルカが幸せな表情を浮かべているのがわかる。そしてたまこもまた心から滲み出る幸せに、微笑まずにはいられない。    からだ全体に伝わる幸せの感覚に思わず寝返りを打つように身を翻し、並走する存在に目をやると、なんとそ

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           たまこは夢の中にいる。  青い碧い海、それとも空だろうか、両腕いっぱいに掻き分けながらその中を進んでいる。聞き覚えのある声が呼びかける。帰ってらっしゃい、戻っておいで、それでもそのまま進み続ける。その先には明るい光が見えているけど、どこまでいっても青の中にいる。  呼吸は苦しくないから、やはり空を進んでいるのかな。そう思った瞬間、隣を生き物が並走するうねりを感じた。いつの間にか、イルカの群れに囲まれている。イルカたちはたまこの周りを交互にぐるぐると回りながら、頭の奥に響

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           この街の夏は短く、あっという間に朝晩の冷え込みから次の季節を意識するようになる。  たまこはまた洗濯物を干していた。今朝は寒さでいつもより早く目を覚ますと、隣で眠っている其奴に掛け布団をほぼ奪われていた。窓の外ではちょうど雲ひとつない空に太陽が昇り明るくなり出した頃で、そのまま起きて掃除や洗濯を始めることにした。いつも通り女物のカラフルな服や下着に加えて、いつの間にか見覚えのある男物のトランクスとTシャツが紛れ込んでいる。彼奴のものだ。たまこはこんな時に少しだけ苛立ちを覚

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           夕陽は赤い。それが当たり前のことだと誰が決めたのか。この世に当たり前なことなどない。この夕陽だって、隣で見ている此奴にはブルーに見えているかもしれない。水田に囲まれた道の途中で足を止め、見事な夕陽を見つめながら、たまこがそんなことを思って其奴をチラリと見ると、 「火星では、ピンクの空にブルーの夕陽が沈むそうです。」 其奴は夕陽を見つめたままでそんなことを言う。たまこは別に驚かない。此奴が人の心を読めるとかいう訳じゃないし、単なる偶然というわけでもない、今日はまだしばらく

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