見出し画像

PMに最も必要な資質は、しつこさである理由

PMの重要な役割:関係者間の情報格差を埋める

プロジェクトマネージャー(PM)の仕事は、多岐に渡ります。でもその中でも最も重要な役割の一つが、関係者間の情報格差を埋めることなんです。PMには、関係者の情報をフラットにして、物事を前に進める調整力が求められます。

PMは上下左右、様々な方向との調整が必要です。自社事業内だけでなく、クライアントワークの場合はクライアントとの調整も重要になってきます。プロジェクトが上手く進まない原因を探ると、多くの場合、関係者間の情報格差が問題だったりするんですよね。

経営陣から現場のメンバー、ディレクターからエンジニア、デザイナーに至るまで、必要な情報を共有し、全員の情報量をフラットにすることが大切です。特に意思決定を行うプロジェクトメンバーに関しては、全員が同じ情報量を持っていなければ、有意義な議論や決議はできないんです。

PMの重要な任務:情報格差の把握と解消

PMの最も重要な仕事の一つは、関係者それぞれが今何を把握し、何を把握していないのかを認識すること。そして、それぞれの情報格差を丁寧に埋めていくことなんですよ。自社事業でも難しい作業ですが、自社事業ではなくクライアントワークともなれば、この作業の重要性は数段増すんです。

PMが丁寧に情報を伝え、一つずつ決定を積み上げていかなければ、後々になって「こうだと思っていたのに話が違う」という不満が双方から噴出する恐れがあります。これは、プロジェクトの進行を大きく妨げる要因となりかねないんですよね。
では、丁寧に情報格差を埋めて意思決定を促すというのは、具体的にどういうことなのでしょうか。次回は、この点について、好ましくない例を挙げながら詳しく説明していきます

誰しもが経験する同じ議題、ぐるぐる回る会議

プロジェクトの定例会議。開発中のプロダクトについて、いくつかの意思決定をするために議題を乗せます。経営陣も現場のメンバーも意見を出し合い、その場で意見を集約して結論を導き出す。「よし、これで一歩前進だ」と思って会議を終えるんですよね。

ところが、翌週の定例会議。なんと、先週決まったはずの議題がまた持ち出されて、再び議論が始まる。「あれ?おかしいな。先週決まったはずなのに」と思いつつ、また一定の結論を出す。「これで本当に決まった」と思って会議を終える。

そして、次の定例会議。またもや同じ議題が議論されている...。
こんな風に、いつまでも同じ議題について議論が交わされ、まったく事態が前に進まない。プロジェクトに参加したことのある人なら、一度は目にしたことがある光景じゃないでしょうか。

なぜこんな事態になってしまうのか?

その原因は、PMが丁寧に情報格差を埋めて意思決定に導いていないからなんです。つまり、そのためのしつこさが足りないんですよ。
関係各位の情報格差をフラットにした上で、意思決定をしたという既成事実を全員に飲み込んでもらうには、これでもかというくらいのしつこいコミュニケーションが必要になるんです。
PMの仕事って、時には「うるさいなぁ」と思われるくらいのしつこさが求められるんですよね。でも、それこそがプロジェクトを前に進める原動力になるんです。次回は、このしつこいコミュニケーションの具体例を見ていきましょう。

PMの仕事は伝える、伝える、そしてまた伝える

プロジェクトが同じ議題で堂々巡りするのを避けるには、PMの「しつこさ」が重要です。では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

まず、会議の準備段階から始まります。PMは検討すべき議題を明確にし、可視化することが大切です。口頭での伝達はNG。ドキュメントに箇条書きにするか、項目が多ければスプレッドシートやタスク管理ツールを使います。今日結論を出すべき項目を明確にし、会議前にメールやチャットで全員に周知します。

会議が始まったら、事前に共有した議題を1つずつ丁寧に議論します。事前共有したからといって説明を省略してはいけません。忙しい経営陣や一部のメンバーは事前資料を見ていないことが多いからです。

結論が出たら、すぐに解散せず、最後の10分程度で本日の決定事項を振り返ります。参加者の中には結論が出たという認識に至っていない人もいるかもしれません。特に経営陣がそうだと、会議が無駄になってしまいます。

この時、次のアクションも列挙します。意思決定に基づいてプロジェクトが次のフェーズに移る際の具体的なアクションを確認し、合意を取ります。これをしないと、次回の会議で同じ議題が蒸し返される可能性があります。ということは、PMはミーティングで意思決定がされた後の次のアクションを、会議前に想定しておく必要があります

グランドスケジュールに照らし合わせ、現在地点での意思決定、次週までの進捗、さらに次週の決定事項など、時間軸で現在位置を周知します。

会議終了後も重要です。決定事項を添えた議事録を全員に共有します。クライアントが関わるプロジェクトでは、これが証跡となるので必ず送りましょう。多忙な経営陣向けには、メッセージやメールの冒頭に決定事項や次のアクションを簡潔に記します。

次の会議では、いきなり次のアクションに入るのではなく、最初の5分は前回のおさらいとスケジュール確認に当てます。議事録を読まずに時間が経ち、前回の決定事項を忘れている人もいるからです。

つまり、前の会議の最後の5分と次の会議の最初の5分で同じ内容を話すことになります。
その上で、次のアクションの議題に移ります。

このように、一つの意思決定のサイクルを通じて、PMは事前整理、次のアクション想定、会議冒頭での前回おさらい、円滑な議論進行と意思決定促進、最後のアクションとスケジュール確認、そして会議後の議事録での念押しと、常に情報を伝え続けます。
これらの作業は全て「伝える」ことに帰結します。口頭で、文書で、リストで、しつこいと思えるほど何度も伝えるのです

議事録を読む人もいれば、読まない人もいます。こうした環境で関係者の情報格差をなくすには、このレベルのしつこさをもって伝えないと、実質的に伝わらないのです(やっても、伝わらないことも少ないないのです)。
結論として、PMに必要なのは、徹底的に伝えて関係者間の情報の差分をなくすための「しつこさ」なのです。これこそが、スムーズなプロジェクト進行の鍵となるのです。

結論:しつこいほどの情報共有が成功への道

つまるところ、PMの仕事は全て「伝える」ことに集約されます。口頭で、文書で、リストで、「もういい加減にしろ」と言われそうなくらいしつこく伝え続けることが大切です。

これを読んでいる人は「さすがにやりすぎじゃないか」と思うかもしれません。でも、決してそんなことはないんです。

なぜそこまでするのか。それは人間の記憶力の弱さを甘く見てはいけないからなんです。PMは主体的に関わっているから決定事項を忘れることはないでしょう。でも、プロジェクトには様々な人が関わっています。特に忙しい経営陣なんかは、数日前に決めたことさえ覚えていないことがほとんどです。
そして、現実的な問題として、議事録を熱心に読む人もいれば、全く読まない人もいるんです。
こんな環境で関係者間の情報格差をなくすには、しつこいと思えるくらい繰り返し伝えないと、実質的に伝わらないんです。
結局のところ、PMに求められるのは「徹底的に伝えて、関係者間の情報の差をなくすためのしつこさ」なんです。これこそが、プロジェクトを成功に導く秘訣になります。


この記事が参加している募集

ご覧くださって大変にありがとうございます。サポートいただけたら、大変に喜びます٩(•౪• ٩)サポートいただけましたらメディアの研究費や活力を出すためのおやつ代に当てて良い記事を書いていきたいと思いますm(_ _)m