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ある社会人司法/予備試験受験生が趣味で答案をアップしています👻

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刑法 48

問題 甲は乙にAの殺害を依頼し、乙はこれを引き受けた。甲は、犯行準備のための資金として乙に現金100万円を手渡し、A殺害後には報酬としてさらに200万円を支払うことを約束した。その後、乙は、その妻丙から「甲なんかのために、危ない橋を渡ることはない。」と説得され、殺害を思いとどまり、丙と二人でその100万円を費消した。そのころ、Aは既に重病にかかっており、しばらくして病死したが、乙はこれに乗じて、甲に対し自分が殺害したように申し向けて約束の報酬を要求し、現金200万円を受け取

    • 刑法 47

      問題 Fは、まとまった現金が必要となったため、自分が持っている美術品を売却することとし、美術品に詳しい知人のXに売却を依頼した。その際、売却の手数料は売却額の15パーセントと定めた。Fが売却を依頼した美術品は①、②、③の3点で、そのうち③は実は2年前に自分が盗んだものであったが、こうした事情をXは知らなかった。3点の美術品のうち、①と②については、美術品愛好家のAに予想以上の高値(合計1000万円)で買い取ってもらったが、借金に追われていたXは現金が欲しくなり、Fには700

      • 刑法 46

        問題 甲はA女を強姦しようと思い、深夜A女宅に侵入し同女の首を絞めるなどして、姦淫した。その後、甲は机の上にA女の財布が置いてあるのを見て、おびえる同女に「これは、もらっていくぞ。」と言い、財布を持って帰った。甲の罪責を論ぜよ。  また、A女が失神してしまっており、甲がそれを見て、死亡したものと誤信し、同女の財布を持ち帰った場合はどうか。 答案第1 設問前段 1 甲が、A宅に侵入した行為は、Aの意思に反する立ち入りといえ、「侵入」にあたり、住居侵入罪(130条前段)が成立

        • 刑法 45

          問題 甲は、かねてより目を付けていた資産家乙宅に深夜忍び込み、金品を物色していたところ、乙の娘丙女に発見された。そこで、甲は所携の包丁を丙女に突き付け、「騒げば殺すぞ。」と吾し、さらに劣情を催して同女を姦淫した後、口封じのためこれを刺殺したが、急に怖くなり金品を何も取らずに逃走した。  甲の罪責を論ぜよ。 答案1 甲が、乙宅に忍び込んだ行為は、乙の意思に反する立ち入りといえ「侵入」にあたり、住居侵入罪(130条前段)が成立する。 2 次に、甲が、包丁を突きつけた行為に事後

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        • 刑法 New
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          刑法 44

          問題 製薬会社の商品開発部長甲は、新薬に関する機密情報をライバル会社に売却して利益を得ようと企て、深夜残業中、自己が管理するロッカー内から新薬に関する自社のフロッピーディスク1枚を取り出した上、同じ部屋にあるパソコンを操作して同ディスク内の機密データを甲所有のフロッピーディスクに複写し、その複写ディスクを社外に持ち出した。その後、甲は、ライバル会社の乙にこの複写ディスクを売却することとし、夜間山中で乙と会ったが、乙は、金を惜しむ余り、「ディスクの中身を車内で確認してから金を

          刑法 43

          問題 甲は、無賃乗車をしようと決意し、乙が運転するタクシーを停車させ、乗車後、乙に対し、A地点までの運転を依頼したので、乙はタクシーを発車させた。同地点の1キロメートル手前に来た時、甲は、逃走するため、「ちょっと電話をかけたい。」と言って停車を指示したので、乙はこれに従って停車した。甲は、タクシーから降りて付近の電話ボックスの方に向かったが、挙動に不審を持った乙が追いかけてきたので、運賃の支払を免れるため、乙を殴り倒して気絶させた。甲は、更に売上金を奪おうと考え、タクシーの

          民法 1

          問題 Aは自己の自転車(甲)をBに貸したが、その際に「甲を売却する代理権を与える」と冗談で伝えた。しかし、それを真に受けたBはAの代理人としてCに甲をを売却し引き渡してしまった。AC間の法律関係について論ぜよ。 答案1 Aは、Cに対して、所有権(206条)に基づき甲の返還を請求することが考えられる。これに対し、Cは、BC間の売買契約(555条)の効果がAに帰属(99条1項)し、自己に甲の所有権が移転していることを主張し、これを拒むことが考えられる。 (1) Aの、Bに対す

          刑法 問題42

           甲は、かねて顔見知りのA女(20歳)を強姦しようと企て、自宅まで送ってやると言って、同女を自分の車に乗せた。途中で方向の違うことに気付いたA女が「降ろして」と頼んだが、甲は、かまわず車を疾走させた。人気のない山中に着くと、甲は、強姦の目的でA女を無理やり車外に引っ張りだし、押し倒そうとした。極度に畏怖したA女は、「お金をあげるから勘弁して」と言って現金3万円入りの財布を差し出した。甲がこの財布をA女から取り上げ、中身を調ぺているすきに、A女は逃げ去った。  甲の罪責について

          刑法 問題41

           暴力団員甲は、密売人Aから覚せい剤を騙し取ろうと考え、Aに対し「400万円で覚せい剤1キロを売ってくれ。代金は10日後に払う。」と嘘をつき、Aから党せい剤1キログラムを受け取った。約束の期日になっても甲が代金を支払わないので、Aは、甲に対し「400万円を払え。払えないなら覚せい剤を返せ。」と強く要求したところ、甲は、この取引を知っているのは自分とAだけであることを奇貨として、Aの要求を封ずるためAを殺害した。  甲の罪責を論ぜよ。 ※旧司法試験 昭和62年度 第2問 1

          刑法 問題40

           甲は、日頃恨みを抱いていたA女を痛めつけようと考え、夜間路上で待ち伏せした上、手拳で同女の顔面を強打したところ、同女は転倒し、後頭部を路面に打ちつけて失神した。これを見た甲は、同女が死んでしまったものと誤信し、強盗による犯行に見せかけるため、同女のハンドバッグを持ち去り、付近の河中に投棄した。甲の罪責を論ぜよ。 ※旧司法試験 昭和63年度 第2問 1 甲の、Aの顔面を手拳で殴打し失神させた行為につき、Aの生理的機能を障害したといえ、「傷害」したといえる。したがって、傷害

          刑法 問題39

           甲は、同じ下宿の隣室に住んでいるAが他から盗んできたカメラを持っているのを知り、これを一泊旅行の記念撮影のため一時借用しようと思い、旅行の前日、Aの留守をねらってその部屋に入った上、右カメラを持ち出し、翌日、これを持って旅行に出かけ、旅行先で写真を撮影し、旅行から戻った日に、右カメラを元の場所に返しておいた。甲の罪責を論ぜよ。 ※旧司法試験 昭和61年度 第2問 1 甲の、Aの部屋に入った行為は、部屋の住居権者Aの意思に反する立ち入りといえ「侵入」にあたり、住居侵入罪(

          刑法 問題38

           甲と乙は、丙から教唆されてA宅に侵入して強盗することを決心し、某夜、共に短刀を持ってA宅に赴いたが、戸締りが厳重なので、A宅への侵入を断念した。甲は、「せっかく来たのだから、別の家に強盗に入ろう。」と乙に言ったが、乙は、これに応ぜず、帰ってしまった。甲は、ひとりでB宅に侵入し、Bに短刀を突きつけ、金品を強取した。  甲、乙及び丙の罪責を論ぜよ。 ※旧司法試験 昭和51年度 第1問 第1 甲の罪責 1 甲の、乙と共に、A宅に侵入しようとした行為は、住居権者Aの意思に反する

          刑法 問題37

           Xは、A宅から現金を盗むこと、家人が抵抗すれば強取することをYと共謀し、Yとともに家人の寝静まった深夜、鍵のかかっていなかった窓から侵入した。現金を物色したが見つからなかったので、現金の在り処を教えさせるためにいざ家人を起こそうとしたところで、Yは怖気づき、Xに中止しようと持ちかけたのだが、Xは「折角ここまで来たのだからやり遂げたい。お前がいやなら自分ひとりでやる。」と言い張るので、Yは「自分は降りる。やりたければ一人でやってくれ。」と言い残し、何も盗らずに逃走した。気を取

          刑法 問題36

           甲は、乙から「強盗に使うのでナイフを貸してくれ。」と依頼され、これに応じてナイフを乙に渡した。その後、乙は、丙·丁に対し、「最近、知り合いのAが多額の保険金を手に入れたので、それぞれがナイフを準備してA宅に強盗に押し入ろう。」と持ち掛け、三名で計画を立てた。ところが、乙は、犯行当日の朝になって高熱を発したため、「おれはこの件から手を引く。」と丙·丁に電話で告げて、両名の了承を得た。しかし、丙・丁は予定どおり強盗に押し入り現金を奪った。  甲及び乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の

          刑法 問題35

           甲は、乙を毒殺しようとして、毒物入りの酒を飲ませたところ、致死量に至らなかったので、殺すことができなかったが、乙の苦しみがあまりに激しいので、かわいそうになり、医師に手当をしてもらおうと思い、医師丙のところに連れていった。ところが、丙が処置を誤ったため、乙は死亡した。  甲の罪責を論ぜよ。  甲が、乙に対して、致死量に満たない毒物入りの酒を飲ませた行為に殺人罪(199条)が成立するか。 1 甲は、毒物入りの酒を乙に飲ませているものの、その毒は致死量に至っていなかった。そこ

          刑法 問題34

           甲は、 軽率にも、 乙が突き掛かってきたものと誤解し、 かねての乙に対する反感もあって、 乙を殴り(ただ、 怪我をさせる意思まではなかった)、 乙がたまたま転倒し舗装道路に頭を強く打ち付け気を失ってからも、 数回乙の腰を蹴飛ばした。  甲の罪責を論じなさい ※中央大学法科大学院 平成16年度  甲が、乙を殴って気を失わせ数回腰を蹴とばした行為に傷害罪(204条)が成立するか。 1 乙を殴って転倒させ気を失わせることは、人の生理的機能を害するものである。したがって、「人