竹内上人(McKEN)

セイコーエプソンで人事・労務業務に従事後、2014年より、マッケン・キャリアコンサルタ…

竹内上人(McKEN)

セイコーエプソンで人事・労務業務に従事後、2014年より、マッケン・キャリアコンサルタンツ株式会社 代表取締役に就任。東北大学 非常勤講師(2015.October -現在)、国立信州大学 特任教授(2021.April-現在) 担当:人事システム、キャリアデザイン

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    • 「『新成人おめでとう』、頑張れ!自分」

      みなさま 「『新成人おめでとう』、頑張れ!自分」 昨年の11月、作家の伊集院静さんが、この世を去った。私だけの感じ方かもしれないが、昨年は私にとって馴染みのある方々の訃報にことさら多く遭遇した印象が強い。ちょうどこうした同世代の接点にかかる人たちの年齢と自分の年齢が交差してきているのかもしれない。伊集院さんの逝去の報道を聞いて、その死を嘆くということ以上に、毎年、新聞を開きながら楽しみにしている1月の成人の日と4月1日の新入社員を歓迎するサントリーの企業広告で添えられるメ

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        みなさま 「Cooperative Career持たざる者の生き残り戦略 キャリアの共同利用の戦略的価値 その3/3」 副題:独占しないことが、独占をもたらす 組織は個々人がもつキャリアを固定的に独占的に所有することの呪縛から解き放たれ、もう少し柔軟に活用していくことに向き合った方がいいと思う。人材の調達方法に関しても、4月の一括での採用でなく、またその応用動作である秋採用などという時期的に固定化したものでなく、通年採用ができる社内システムを構築することに挑み続け

        • 「Cooperative Career 持たざる者の生き残り戦略 キャリアの共同利用の戦略的価値 その2/3」

          みなさま 副題:目標や理念における社会課題の価値は企業にとっても個人にとっても必須要件になる 先週のコラムで触れた共同事業という概念と同様に、事業の「連携」という概念がある。こちらは、共同事業よりも少し一体性が低下する概念かもしれないが、経営資源を相互に活用するという観点では共通化する。この構造体では、社会的理念性の基盤が必要になる。(内本, 2016) ある意味、道徳的に準拠した精神的関与の構想をこの事業連携の参加者に求めていくことにより事業連携の粘度が高まる

          「Cooperative Career 持たざる者の生き残り戦略 キャリアの共同利用の戦略的価値 その1/3」

          「Cooperative Career 持たざる者の生き残り戦略 キャリアの共同利用の戦略的価値 その1/3」みなさま 副題:市場における競争的に弱い立場にいる企業や個人が取るべき戦略 長女は就活を終え、来春から民間企業に就職する。その企業は主として地方都市における中小規模のスーパーの共同購買の仕組みを支える組織である。長野県にも佐久、軽井沢地方に拠点をおく商品陳列がと品ぞろえに定評がある中堅のスーパーがあり、こうしたスーパーの商品棚にもいくつかの商品が並ぶ。製造元を

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          『キャリアにおける好奇心(Curiosity)について』

          HR Essay-2020-008 『キャリアにおける好奇心(Curiosity)について』 【The Spirits of Youth】 少年であることの条件、それは純粋であること 未知なるものへの好奇心、実現に向けてのあくなき希求 私たちは開発型企業として、少年の心をビジネスの基本においています。 このフレーズは、私が大学を卒業し、企業に入ったときに最初に仕事らしい仕事をした会社案内の冒頭に掲載した文章である。新入社員の私が当時会社に抱いた風土として、新しいこ

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          『銭湯にみる高齢化の現場』

          HR Essay-2020-007 『銭湯にみる高齢化の現場』 私の住む長野県の松本市周辺は温泉も沢山あり、温泉巡りも楽しく、かけがえのない環境である。温泉とは異なり、銭湯もまた楽しみ多き場所でもある。時々近隣の銭湯に行くことがある。歩いて100メートル以内なので、気軽な服装でこっそり行くことができる距離。折角の近隣の銭湯なので、夕方の早い時間帯に行くこともある。 銭湯の入浴料は400円。自宅からは500円硬貨をもって出て、番台で支払う。浴槽はさまざまなタイプがあり、大

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          「キャリアにおける寄り道」

          HR Essay-2020-006 「キャリアにおける寄り道」 先日、娘が電子辞書を欲しいと言い出した。妻は高校で教師をしていることもあり、単語を引くのは紙の辞書で慣れ親しむ方が良いとしきりに薦めていたが、娘の抵抗も強固であり、重たい辞書を持ち歩く事の理不尽さと、妻自身も電子辞書を使っているのではないかと言う理にかなった主張を繰り返す。 大学で同じ講師をしている友人との雑談で辞書の話になった。昔私たちが学生だった頃、紙の辞書を引いて勉強した思い出話である。時々引くべき

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          「チームづくりに必要なこと、油断なく感情を読み取ること」

          HR Essay-2020-005 「チームづくりに必要なこと、油断なく感情を読み取ること」 大学の後期講座のひとつに、EQ(心の知能指数)とチームビルディング(良質なチーム構築)の要素を組み合わせた講座がある。どのようなチームが最も理想的な組織であるのかという観点で理解を深める。一般的に良いチームには、メンバー間の良質なコミュニケーションと主体的な相互信頼関係が求められると同時に、組織自体のパフォーマンスの絶対量と効率性も不可欠である。個人が所属する組織が社会に対して

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          「英国 ピトロッホリーのペンキ職人のこと」

          HR Essay-2020-004 「英国 ピトロッホリーのペンキ職人のこと」 ずいぶん昔になるが、イギリスの旅行先のスコットランドの中部のピトロッホリー(Pitlochry)で、今でも鮮明に残る記憶がある。その村の駅で列車を待っていた時に、3人のペンキを塗る仕事をしていた人たちに出会う。駅のホームを側面のブロックに白いペンキを塗っていた。 それが、とても楽しそうなのである。一人はホームの上で、恐らく作業の安全のために、列車の通過を確認する役割、他の2名が、下塗りと本塗

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          影響力を発揮するプロジェクトマネジャーの要件

          プロジェクトマネジメントを担う方に必要な視点を企業人事の視点から整理してみました。 【影響力を発揮するプロジェクトマネジャーの要件】 1.謙虚であること ・既存の業務プロセスの現状と困りごとを共感を持って理解することができる力量が必要になります。 2.大きなビジョンで人を巻き込むこと ・主人公は現場のメンバーになります。公的な大義名分を形成する力量が必要になります。また、親和性のある良い質問を丁寧に重ねることによって現場の主体性を引き出す力量が求められます。 3.継続

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          「6秒間」EQ(心の知能指数)の効用

          HR Essay-2020-003 「6秒間」 大学の後期課程の講座では、キャリア開発やチームビルディングに焦点を絞る。中心主題は、EQ(Emotional Intelligence)という感情能力に重点をおく。人間の持つ感情を、可変的、開発可能な能力として捉え、自分の感情を知り、それをうまく使い使いこなしていく(マネジメント)、さらにその感情を他の人たちの為に捧げていくことの大切さを学ぶプログラムである。 この基本的な感情能力をベースに置きながら、キャリアをどう展開し

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          登山と感情の読解力(感情リテラシー)

          HR Essay-2020-002 登山と感情の読解力(感情リテラシー) 北アルプスの蝶ヶ岳(標高2,677m)は、常念山脈の南側に位置する。日記を振り返ると昨年の今頃、三俣の登山口から登った記録があった。「霧雨、合羽を着こんで登り始める。しばらく、霧の樹林帯を登り続けたが、中腹までいくと、次第に霧の中から抜け出すことができ、ちょうど雲海の上、つまり、雲ひとつない空間に出た。」・・・ 大学での後期授業の2講座の内の一つは、IQ(知能指数)の反対側に対峙するEQ(Emot

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          「劣勢に立つ男子学生、家事労働の対価は・・?」

          HR Essay-2020-001 「劣勢に立つ男子学生、家事労働の対価は・・?」 税制改正にまつわる議論において配偶者控除の話題が、ニュースや新聞などで時々目に留まる。この言葉に触れると、今から35年以上も前の大学時代のゼミの風景が目に浮かぶ。当時のゼミは、クラーク記念館というレンガ造りの古い建物の中で行っていた。当時は、建物の価値になんら関心をもたなかったが、今振り返ると歴史的建造物の中での貴重な体験であった。 大学の専攻は労使関係であった。ゼミの担当教授は、恐ろし

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          キャリアサバイバル~転職編その1 転職後の企業内キャリア形成プロセス~

          みなさんはじめまして、McKENキャリアコンサルタンツの竹内上人です。 私は長年、企業内人事、転職支援のキャリアコンサルティングの現場でキャリアを積んできました。 noteでは「人事の実務家による人事解体新書」として、人事の実務の視点から、そして大学でのキャリア理論の講座を積み重ねながら感じてきたことをお伝えしていきたいと思います。 まず取り上げるテーマは「キャリアサバイバル 転職編」。 転職して間もない方から、新しい職場での出来事を伺うことが多く、一生懸命に仕事に向

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