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キャリアサバイバル~転職編その1 転職後の企業内キャリア形成プロセス~

みなさんはじめまして、McKENキャリアコンサルタンツの竹内上人です。

私は長年、企業内人事、転職支援のキャリアコンサルティングの現場でキャリアを積んできました。

noteでは「人事の実務家による人事解体新書」として、人事の実務の視点から、そして大学でのキャリア理論の講座を積み重ねながら感じてきたことをお伝えしていきたいと思います。

まず取り上げるテーマは「キャリアサバイバル 転職編」。

転職して間もない方から、新しい職場での出来事を伺うことが多く、一生懸命に仕事に向きあう気持ちが強い人ほど新しい職場に自らを適合させようと格闘されているように思います。今回は、組織で採用した大切な中途採用人材の方々に、入社後どのように企業内で立ち居ふるまっていければ、それぞれの方の経験や見識が最大限生かせるかを人事屋の目線で5つの観点から紐解きます。

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本ページでは、その1「転職後の企業内キャリア形成プロセス」について、お伝えします。是非自分の立ち位置を確かめてみてください。

1.転職後の企業内キャリア形成プロセス

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Step1.「入社後の信頼関係構築期」

まずはじめに訪れるのは仕事を進める上での良い人間関係を構築する期間。会社がどのような背景で事業成長をたどってきたかということを会社の内側の空気を敏感に感じ取りながら理解を深めていく期間です。入社後◯◯日間が目安と言えるでしょう。

様々なルールや職場慣行に戸惑うことが多くある中、転職の人たちを受け入れる企業は新しい考え方や価値、改革を期待し、評価して採用を試みています。同時に、現職のマネジメントに携わる人たちは既存の業務プロセスを進めていくことに自信と誇りを持っています。

それぞれのやり方や職場のルールというものが、新しい人から見ると違和感があり、特に着任後しばらくすると、職場の雰囲気にも慣れてくるので気になってくることがあります。このとき焦ってはいけません。

一見、理不尽に映る職場の慣行やルールにはその会社や職場が経てきた歴史的な背景があると理解した方が良いでしょう。微妙な職場構成員の関係の中で仕事のスタイルが出来上がっているかもしれません。冷静に客観的に現状を整理し出来る限りそのいきさつを調べあげることが大切です。

創業経営者の会社であれば、より丁寧にその会社の生い立ちであるとか、経営者がどのような気持ちでその会社を立ち上げ、苦労して今日に至ったのか、経営者の目線で考えてみることが助けになるでしょう。

Step2.「自律的な活動に向けての定着期」

うまく入社後の信頼関係を構築して新しい職場に仲間として、受け入れられることを実感できたら、入社後から整理していた現場把握に基づき「問題」や「課題」の整理と重要性を評価しましょう。入社後◯◯日間が目安です。もし、不幸にもその実感が得られなければ、もう一度、最初の「信頼関係構築期」でやるべき信頼づくりをはじめからやり直せば良いのです。

この期間での現状把握の過程もできれば単独で行うのではなく、入社後築き上げた人間関係を土台にして一緒に取り組めるように相談をしていくことが肝要です。その相談のプロセスを通じて、新しい発見も得られるでしょうし、相談をすることによって、同僚や上司、部下に対して敬意を払うことに繋がるでしょう。敬意を払う人に対して、人は決して軽んじません。

この要因分析のプロセスを通じて、概ね、取り組み課題が明らかになってきます。心強いのはこの取り組み課題の明確化に同僚や上司、部下の共同意識が醸成されているという事実に他なりません。出来る限り自分の手柄ではなく、軽口を慎み、共同で考えてきたという意識になりきることです。

Step3.「主体的な活動期」

何とか組織の戦力として今後もやっていけそうだと実感を得られる時期。この頃には、深い人間理解に基づいた会社、事業、職場の問題・課題の明確化と、なぜそのような解決すべき問題と、達成すべき課題に至ったのかという要因分析に基づいた取り組み施策の着手段階に組織活動として入っていることが望ましいでしょう入社後◯◯日間が目安です。

極端に遠慮する必要はありませんが、組織においては同僚や上司、部下との協働意識をもった姿勢や立ち居振る舞いを意識して過ごしていくことが肝要です。焦る気持ちをひたすら抑え、ひとつひとつの事象について、組織として取り組める環境を作ることができれば、その後の数年はきっと充実した時間が積み上がっていくことでしょう。その過程を通じて、その人の風格を際立たせ、職場にその人の風味を醸し出すことができるのです。

『・・・焦ってはいけません、頭を悪くしてはいけません、根気づくでお出なさい。世の中は根気の前に頭を下げることを知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません・・・』

苦闘した受験生時代に現代国語の問題集の裏表紙に掲載された芥川龍之介に送った夏目漱石の手紙の一文が蘇ります。昔も今も正しい人間理解はそんなに変わらないのでしょう。

次回は「2.行動原則の醸成 企業内でのオリジナルキャリアデザインプロセス」についてお伝えできればと思います。

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