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【残穢/小野不由美】思いつきで購入した当時の自分を殴りたくなるほどの怖さ

 子供の頃、「零」というホラーゲームをしたことがある。
 内容を簡単に言うと悪霊を写真に収めることで退治するというもので、プレイしている際に子供ながらに度々思っていた。
 

なんでこんな怖い思いしてゲームせなあかんねんと。


 普通、幽霊が出てきたら目を背けたくなるもんやないかと。なんでわざわざビビりながら写真撮らなあかんねん。

綺麗な姉ちゃんのジャケットに騙されました/零(PS2のゲーム)



 今まさに当時と同じことを思っている。というのも今更ではあるが小野不由美先生「残穢」を読んでいる最中なのだ。

思いつきで購入した当時の自分を殴りたい



 こちらの内容を簡単に説明すると、マンションで一人暮らしをする女性に降りかかる怪異を解き明かしていくというストーリーだ。
大筋を説明してしまうとこれだけの話ではあるのだが、作中の女性と同じくマンション住まいの私にとってこれほど恐ろしいことはない。本来安心して過ごせるはずの家が、読み進めれば読み進めるほど暗く恐ろしいものに感じてしまえて敵わないのだから。

 そもそも就業中に本なんて読めないので、必然的に読書をするには家で読むしかない。
もっと言うと子供が起きている最中は読む暇もないので、嫁子供が寝静まった深夜にスマホのライトを頼りに読み進めている。
 今読み始めてから2日目だが、正直初日に1時間ほど読んだ時点で気付いていた。

俺なんでこんなことせなあかんねんと。


 たとえばこれが同じく小野先生の「東京異聞」であればこんな思いは抱かなかった。
 しかしながら現代のしかもマンションを舞台としたホラー小説は、読書中ちょっとした家鳴りでさえ金玉を縮み上がらせる。
 当然寝つきも悪くなる。寝つきが悪くなると朝が辛く仕事に支障が出てくる。
 でも読んでしまう。読み進めてしまう。
 
さながら不幸な未来しか待っていないのに自分達ではどうすることも出来ず深みへはまる不倫カップルのように自制が効かない。それもこれも小野不由美先生の魅力的な文章が成す技なのだろう。

個人的に小野先生の作品の中で一番好き
東京が帝都と呼ばれていた時代の怪異にまつわるお話



 と、ここまで「残穢」に関する所感を記したが決して怖さだけに特化した小説ではない。
 私には考えられないが、考え方次第では一人暮らしの寂しさを紛らわせるハートウォーミングストーリーと取れなくも無いことも無い。ですので、是非皆様におすすめしたい。とりわけ一人暮らしの女子大生、OLの皆様には強くおすすめしたい!
騙されたと思って読んでみなはれ、騙してるから。


ざまあみやがれ!震えて眠れ。


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