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オススメ短編小説

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自信のある短編小説をどんどんじゃんじゃん追加していきます!
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#作品

短編小説『地面着陸』

短編小説『地面着陸』

月面着陸をなんとなく夢見ていた。
クレーターの真ん中にでっかい旗を刺す奴がやりたかった。

でも正直宇宙飛行士になろうとは思わない。
無重力の生活は怖いし、絶対普通のラーメンとか食べたくなるし。
なにより自分の家以外であんまりトイレに行きたくない。

「…だからビジネス始めてお金持ちになろうって?」
「うん。それならすぐ帰ってこれるじゃん?」
「いやまあ気持ちはわからんでもないけどさ。」
「でしょ

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短編小説「ビタースパーク」

短編小説「ビタースパーク」

「…んぅ。」
だらけた毛布を拾い集め、くるまってやり過ごす冬の不快な朝。
オフタイマーのせいでだんだんと冷え込む室内が億劫になり今日も嫌々目を覚ます。
冬休みが終わってから数日、学園生活にも終わりが告げられそうな高校3年の1月上旬。
ベランダで靴を整える父、夜勤の疲れで寝ている母。
今この家で生きた目をしているのは僕だけだ。

菓子パンをほお張りながら、今日の時間割に教科を入れ替える。
ちゃんとし

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【短編小説】スパイ壊滅作戦

とあるビルの地下一階…
そこには世界を裏で牛耳る秘密結社があると言われていた。
その秘密結社の真相を暴くため、僕ら二人はこの街にやってきたのである。

「それにしても今日は寒いっすね…。」
「だから一枚羽織ってこいとあれほど言っただろう。」
「いやだって出てくるとき暑かったんですもん!」
「全く…。」
先輩の名前はペリウット・ジェルニカ。
僕らの職業上、コードネームである。
なんでこんな長い名前に

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【短編】転は転がるまま

「…はいー!私のかちー!」
彼女は笑顔でこっちを向く。

「いやー強い….。」
「いや拳太が弱すぎるんだって!」
彼女と住み始めて2か月、僕らは結構な頻度でゲームの大会をやっている。

「いやそれにしてもさ、めっちゃレベル上がってない?」
「まぁちょっと練習してるからね~。」
彼女は腰に手を当て自慢げに語る。

2か月前….
「ただいま....。」
「おかえり!ってそれ!」
彼女は僕が右に抱えてた

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