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【転職回数6回の私だから言える】雇う側だけが選考するのはフェアじゃない

先日、『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』 (PHPビジネス新書)を読みました。

この本によるとデンマーク人の平均転職回数7回だとか。18歳〜65歳まで働いたとして、社会に出て働く期間は47年間。47年間を7で割ると約6.7。
つまりデンマーク人は約7年で転職をしていることになります。

私の現時点での転職回数は6回です。
一番長く在籍したところで10年、短くて8か月で転職しています。デンマーク人の生涯の平均転職回数に早くもリーチです。日本人にしてはかなり多いほうではないでしょうか。

そんな転職回数の多い私が今までの転職経験から言えること・言いたいことは、

雇う側だけが選考するのはフェアじゃない

ということです。

なぜなら人が転職を考えるとき、必ずしもその人の都合で転職をするわけではなく、雇っている側に問題がある場合も多いからです。

人が転職を決める理由は様々ありますが、大きく分けると3つに分類できるかと思います。

  1. 子育て、親の介護、パートナーの転勤など家族都合

  2. 新しい環境にチャレンジしたい、経験と専門知識を活かしてキャリアアップしたいなどのポジティブ転職

  3. 上司や同僚のパワハラ、モラハラ、セクハラ、ふきハラ、スメハラetc.、ワークライフバランスの不均衡、人間関係の煩わしさなどネガティブ転職

「雇う側だけが選考するのはフェアじゃない」と言ったのは、3つ目の理由で転職をする場合に関してです。

上司や同僚のパワハラ、モラハラ、セクハラ、ふきハラ、スメハラetc.、ワークライフバランスの不均衡、人間関係の煩わしさ……。

これらはみな、その職場に居続けたくてもそれができない、居続けてしまうと心身に不調をきたす、もしくは不調をきたしてしまった場合の転職です。

転職者の都合というより、雇っている側の組織に問題があっての転職なので、転職者は被害者とも言えます。
(※その本人が原因を作っている場合もあるでしょうが、今回はそれはない前提で話しています)

日本では特に転職回数が多いこと=悪ととらえられますよね。
これは、「転職回数が多い人は忍耐力に欠ける」とか「人間関係でトラブルを起こしがちなのでは」といった、その人自身に欠点があるかのような印象を持たれるからでしょう。

でも待ってください。

これってフェアじゃないと思いませんか?

前述の通り、実際には会社側に原因があって転職を余儀なくされることも多いです。

それにも関わらず、履歴書に転職の履歴が増えるたびに、あたかも転職する人が「飽きっぽいのではないか」とか「忍耐力がたりないのかも」まど、悪い先入観を持たれます。これがフェアではないと考える理由です。

私自身の転職履歴を例にとってみると、「ポジティブ転職」は6回中3回、「ネガティブ転職」も6回中3回です。

つまり6回中半分は会社側に何らかの原因があって「これ以上ここに居られない」と思ったから転職したことになります。

例えば、10年勤めたロジスティック会社を辞めて「海外出張を沢山こなすような仕事につきたい!」と希望を胸に行った次の会社。

70歳の社長が一人で切り盛りする零細企業でしたが、この社長はとんでもないセクハラエロじじいでした。

雇うのは若い女性ばかり。(わたしは例外だったようです……)
気に入った子がいると、意図的にその子と二人きりの外出や出張の機会を作ります。

被害にあった同僚から直接聞きましたが、二人っきりの空間になると手を握られたり、「二人だけの約束だよ」と指切りをさせられたとか。

社員をキャバクラのおねぇちゃんと勘違いしているのでしょうか。気持ち悪いにもほどがあります。

海外出張はみなエコノミーで行っていましたが、エロじじいはその子だけにはビジネスクラスを予約したりしていました。

次に面食らったのは、その会社には「有給休暇」の設定がなかったことです。休みたい時は社長に言って、社長がOKすれば自由に休める制度でした。

有給休暇を設定しないのは法律に反しています。

なぜそれまで、そんな非常識がまかり通っていたかというと、20代の新卒みたいな子ばかりを雇うので、誰もそれがおかしいと指摘しなかったからみたいです。

私が「有給休暇は法に基づく会社の義務だ」と指摘したところ、エロじじいにキレられました。(私が退職後、無事に有給休暇が付与されたらしいですが)

それだけではありません。この会社、社長への不満と、社長のエコひいきが原因で社員同士がたいへんギスギスしていました。

職場の雰囲気はいつも最悪。社長と気の強い20代の女性社員の怒鳴りあいも1度ならず目撃したものです。

結局、私は8か月でこの会社を去りました。こんなアホみたいな会社を辞める決断は正解か不正解かと言えば絶対に「正解」です。今考えると8か月でも長すぎたなと思います。

でも、私にとってみれば、6回の転職のうちの1回。それがのちのち出会う企業にはマイナスに見えてしまうわけです。

もちろん、面接で転職理由を詳しく話せば「それは仕方ないね」とわかってくれるかもしれません。

でもそれは面接まで進んだらできることで、履歴書と職務経歴書を提出した時点で転職回数の多さが原因で落とされる事だってあり得ます。


世の中には肉体的にきつく、労働時間も長い、人間関係もギスギス……そんな職場もたくさん存在します。

そこで精神を病みながら働くくらいなら転職という積極的逃亡を選んだらいいに決まっています。

ブラック企業で自ら命を絶つ人もいますから、そうなる前に自分を守る為に会社を辞めるのは何も悪くないし、むしろその決断力と行動力は賞賛されるべきですよね?

にもかかわらず、その人の転職回数が無駄に1回増えてしまい、次の転職に不利に働く。でも転職原因となった企業には何も✖はつかない。

フェアじゃないなぁ、と思うわけです。


では、私たちにできることはなんでしょうか。

まず、「転職回数が多いのは悪」と自動的に決めつける価値観を私たち一人ひとりが見直すことです。

これを読んでいるあなたも、「転職回数が多いのはきっと本人に問題がある」、もしくは「忍耐ができない人だ」なんて思っていませんか?

実際に飽きっぽかったりトラブルメーカーだったりで、その人自身に転職の理由がある人もいますから、そう考えてしまうのもわかります。

ですが、決めつける前に、少なくとも逆側の視点も同時に持ち合わせてほしいのです。

このままこの会社にいたら自分が壊れる!
このままここに居続けたらいい人生にならない!

そう思って職場を変える決断するのはむしろ、

「自分と合わない会社にさっさと見切りをつけて、自らの手で幸せを掴みに行っている行動力のある人」

ではないでしょうか?
そういった転職をした人が「よくやった!」と賞賛される世の中であってほしいと思いませんか。

また、離職者が企業を評価する制度がもっと整えられるべきだと思います。

「転職会議」などいくつか民間の口コミサイトもありますが、私に言わせたら足りないです。

ここから先は私個人の戯言ですが、例えば、辞める際に退職・転職者は会社に対する評価をつけることを「必須」とするのはどうでしょうか。

そしてその評価は行政に提出される。評価が一定基準を下回る場合、法人税を引き上げるとか、何らかのペナルティーを課すとか?

エロじじいが社長の会社のように「100人いたら99人が辞めるよね」という、誰もが納得するだけの理由が企業側にある場合、その情報は公になった方がいいと思います。

そうしなければ、またそのエロじじいの被害にあう若い女性が生まれてしまいますよ。

会社はよくも悪くも”closed"で、その内部で何がどのように行われてるかの透明性がありません。

面接ではいい話ばかり聞かされで、いざ入社してみたら「聞いていた話と違う」というのはよくあること。

配属された部署にとんでもない老害じじいがいたり、モラハラ上司がいたり、サービス残業こそ会社への忠誠心、みたいな社風だったり、飲みにケーション、接待でプライベートを犠牲にするのが日常茶飯事だったり……。

こういった実情は採用前に聞かされるわけがありません。だからこそ無理やり透明性を持たせる仕組みをつくって欲しいな、と思うわけです。

繰り返しになりますが、個人ばかり損をして悪質な職場が何も痛手を負わないのはフェアじゃないと考えます。

企業は書類選考から複数回にわたっての面接でこちらを選定しているわけですから、こちらも企業「選ぶ」・「評価する」のがフェアではないでしょうか。

夢と希望を抱いて転職したのに、「こんなはずじゃなかった」と落胆する転職者を一人でも減らしたいです。

長々と戯言を語ってしまいました。
最後に世の頭のいい方々にお願いです。

ぜひ一度仕組み作りをご検討願います!

それと、我々も「転職回数が多いのは必ずしも悪じゃない!」声高に叫びましょう!


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