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異世界へ迷い込んでしまった話−2



0.前回のまでのあらすじ

 原宿駅にて待ち合わせをしていた私は、待ちぼうけを食らっていた。約2時間待たされたがそこには大都会でブイブイ言わせてるいる魅力的な人ばかりで心はなんとか満たされていた。そしてついに約束の人が来るのである、、、

1.漢の中の漢

 このあと出会う女性も都会の波に飲まれて、アイドルのような風貌をして目一杯オシャレをして私に会いに来てくれるのだろうか。それとも原宿系女子のようなイケイケな女性が目の前に現れてくるのかと胸を高らかに踊らせ、ルンルンな気分で駅周辺をうろついていた。その後も。そして待ち合わせ時間から一時間半遅れて、待ち人はやってきた。イかした絵柄の板だけのスケボと女性とは思えない風貌で言う成れば下北系と呼ばれる類のどちらかといえば漢だった。中国の四川から来たと言っていたので正真正銘の漢(民族)ではあるのだ。そう、り◯こ28さんという大物YouTuberが巷ではfemale of male ではなく漢の中の漢と呼ばれているが、今私の目の前にいる女性は正真正銘の漢(民族)の中の漢(民族)なのである。

心の中のLil May Leeは思わず笑ってしまった

"May Lee114です、今日もよろしくお願いしまぁぁぁす。んと今日ははねぇ"

等のテンプレートが思わず喉から出てしまいそうだったがなんとか持ちこたえて、"上記"のような挨拶は一切しなかった。断じて。

2.異文化交流へ向けて

 外見に多少なりの違和感は感じたが日本語が通じるかわからないのでHello! Nice to meet you!などというありきたりなイングリッシュを発した。だがしかしこちらの思惑は見事に外れて、向こうは片言の日本語で

オニイサンカワイイネ、ワタシスキヨと明らさまに好意を示してきた。

流石に面を食らってしまった。と同時に、外見で優位に立つのはこんなにも気持ちが良いのかと夢見心地になってしまった。何より、大陸からきた異文化を持つ人とたくさんお話しができることが嬉しくてたまらなかった。

3.芸能人に例えると

 芸能人で例えると彼女はゆりやんレトリィバァ似の超絶美人である。
以下ではKと呼ぶこととする。Kは最近このようにして私のような若い男とお茶をするのが日課のようだ。片言の日本語はこのようにして培ってきたのかと合点がいった。私個人としてはKに関してなんの恋愛感情も抱けず、ただ異邦人としての興味しかなかった。大陸では今何が起こってるのかと。

4.麻痺していた危機感

 ちょうど某ウイルスで豪華客船が横浜港に寄港しており、Kの国はパンデミックに陥っていて相当の危機感をKから感じた。中国ではその頃バンバン人が亡くなって、行動規制をかけられ自宅待機を強いられているようだった。私は他人事のように、はたまたファンタジーをきくかの如く聞き流した。加えて彼女の父親が経営する会社は某ウイルスの影響で赤字に転じてしまったため、Kへの仕送りも減額されているようだった。日本円にすると数億の借金を背負ったことがあるような父親らしい。言い換えればそれほど大きな経済力があるからこそ、こうしてKは日本で若い男を連れて遊んでいられるのだなと妙に納得してしまった。

5.Kからの好意

 ナンデマスクツケナイノ?コロナコワイミンナシヌ。コレツケテ!と緊迫した様子でKは私に個包装のマスクをくれた。私自身マスクをするという意識は全く無かったが、各地では買い占めや転売が問題となりはじめてる時期だった。とはいえ電車は満員電車とは言えないものの人混みでごった返していたイメージがある。私はこの頃未知のウイルスに関して楽観的な観測を抱いていた。少し休みが長くなるだけでラッキーとさえ錯覚していた。街中の視線も片言の日本語を話すKに対しては冷たかった。3歩あるけば、コロナじゃん!みたいな言葉を耳にした。丸で人種差別のようであった。SNSを開いても中華系の人々を無条件に蔑む投稿が散見された。およそ二ヶ月後この国にもパンデミックが訪れるとは知らずに。軽く自己紹介をしたあと我々男女二人組はとあるべき場所へと向かった。さも必然的な事であったかのように、、、、

つづく

慈悲をください、、、!