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私のぽんこつ小学生時代「近所の犬」

私の実家の真裏には公園があった。
すべり台、うんてい、ブランコ、砂場、ジャングルジム、鉄棒…一通りの遊具がそろっていた。私はいつもその公園で遊んでいた。
玄関を出て右に進んでも左に進んでも真裏の公園までは同じくらいの距離だった。でも私はいつも「右ルート」で公園に行った。

なぜなら、左に進んだ角の家が犬を飼っていたからだ。名前は「ミッキー」。
緑内障かなにかの病気で、両目の色が違った。
気性の荒い性格で野生の狼みたいな風貌をしてた。そのお宅の玄関前にはミッキーの小屋があって、鎖(くさり)に繋がれていた。
前の道幅は狭い。にもかかわらず、やや長めの鎖のおかげで、本気でコーフンした時ミッキーは道幅の半分くらいまで侵出してくるのを私は何度か学習して知っていた。だから私は、目的地の公園に限らず、どこへ行くにも「右ルート」が原則だった。

公園までのルートは右。ぜったい右ー😳!

必要がなければミッキーのいる“左ルート”には絶対に行かない😳。小学校も右。お出かけする時も駅は右。目的地が左にあろうとも、断固として左は使うまい😳いつぞやの如く、犬小屋が動きそうほどの力で鎖をガンガン引っ張り、両前足を上げ吠えまくられるのはゴメンだ。心臓がバクバクして寿命が縮む。

どーしても通らなければいけない時はミッキーが目を閉じ伏せている隙を狙い、音を立てないように忍び足で通り過ぎる。
たまに耳がピクッと動く時は、私の気配を察知した証拠だから、少しスピードを上げて小走り。
たまーに、虫の居所が悪い時は一瞬で気づかれて「ワホンワホン」吠えまくられる上、小屋に繋がる鎖を首でガンガン引っ張り私を威嚇する😱
そゆ時はもう音を気にせずダッシュ🏃🌀💨


正直、話そう。私は犬がキライだ😔
ミッキーのおかげで犬ぜんぶが苦手になった。
まぁ犬に限らず、急に大きな音を立てられたり、急に飛びついてきたり、急に動かれたりすると、向こうが動いた瞬間にコチラがビクッとなって、持ってるものを落としてしまったりして、あらゆる二次的な被害を招く😵

むしろ、セントバーナードみたいなドシッと構えた微動だにしない犬のほうがいい。(←いや、やっぱコワイ)
もしくは猫のほうが一定の距離を保てて静かな時間が過ごせそう。。まぁ今でこそ、「生き物は敵じゃないんだ」ということが分かり、穏やかな気持ちで生きとし生ける者を眺められるようになった気がする。
でも、なでなではムリ。犬に足元をクンクンされるくらいならOK😃舐められると鳥肌で全身硬直😃
ジャンプされると後ずさり😃

🌳

ある日のこと。
右ルートで家に帰ろうとしていた。最終コーナーを過ぎ、家が見えたと思ったら、ミッキーが私の家の前をうろついているではないか!😱
へ??? なぜ😱😱😱?? く、鎖は!!? 
遂に食いちぎったのか😱💦(←外れただけだと思う…)
そんなことどーでもいい!帰れないじゃないか😫
状況が正しく掴めず心臓が暴れまくる。
もう少しで家だったのに…(TдT)🌀 絶望感。

そんなことを思っていたら、、ミッキーがこちらに気づいた!その瞬間、目と目が合う😱✨🐺✨
一目散に逃げた🏃💦
そしたら狩猟本能に基づき本気で追いかけてきた😱
背中側で、爪がアスファルトの地面を捉える音🐾が聴こえる😱(←私は耳がいい)
来たーー!!!(TдT)


キャーーーーー死ぬるーーーー!
だーれーかーたーすーけーてーー!!!


私のカラダはいつもの癖で勝手に公園に向かっている。公園をゴールとして、家の手前の角からスタートする私と、私の家の前辺りからスタートするミッキー。

本気見せてやるぅ

当時、運動神経はけっこう良くて50m走は8秒1だった。カラダが勝手に反応し、何も考えず全力疾走で公園に到着した✨ 入り口で周りを見渡す!
犬が登ってこれない遊具はどれだ!!
私は脳をフル回転させ、得意のブランコを選んだ。
今考えると、、うんていの上やすべり台の上とかのほうが安心できたのかもしれないけど私はブランコを選択した!

ひたすら空気を漕ぎまくる😃💦
直後、ミッキー到着😵さすがに速い!
前後のみの穏やかな動き。ふんわり舞い上がった時は確かにミッキーは怯(ひる)んでいる。
しかし!真ん中のところは地面にめちゃくちゃ近いじゃないかーーー😱
私としたことが、痛恨のミスチョイス😱
ミッキーは、そのタイミングに合わせて近寄ってくる!私は地面に近づく時だけ足をバタつかせ、時にキックするフリ😳

「おねがいっ! 諦めてぇー😳」

ふわぁー…
 ↓
バタバタ
 ↓
ふわぁー…
 ↓
キーック&バタバタ

の繰り返し。。
そーこーしてると、なんだかミッキーの表情が変わってきた。疲れたような呆れたような顔になり、ブランコの3mくらい前方に移動し、座り込みを開始。
離れてくれたことで私も少し安心し、足をバタつかせるのはやめた。
そこからどのくらい時間が経ったのかは分からないけど、お互い疲れたんだろうと思う。
ミッキーはその場から離れないものの、私のことを気にする様子もなく“伏せ”をして目をつぶっている。用心深い私は、ミッキーのフェイントかとも勘ぐったけど、私もさすがにブランコを漕ぐのに疲れ、勢いを弱めた。

しばらくするとミッキーは背中を向けてトボトボと帰っていく。私はホッとしたけど完全に帰ってくれたのを見計らってから後に続こうと思い、やや時間を置いて帰途につく。帰り道、角を曲がる時はドロボウみたく顔だけ出してミッキーがいないことを確認しながら帰った。無事に帰宅できた。
はぁー… ぐったり(- -lll)

なんだこれ…。
私ミッキーに遊ばれただけじゃないか😩
まったく…、怖がらせないでよ…。
犬に追い回される恐怖体験をしただけ。。
それから何度か鎖が外れてることもあり、追い回されたり威嚇されたりもした。そのたびビクビク😵💦
ミッキーなんて大キライー😭


月日は流れ、、。
私が大きくなるにつれ、どんどんと年老いていくミッキー。前の道を通っても、威嚇どころか寂しそうにコチラの動きを目線で追うだけになった。
だいぶ年老いたなー。
食いちぎられるかとビクビクしたあの頃が夢か幻のように思える。あの頃が懐かしい…。

それからまた数年。
ミッキーの小屋の前を通ったら、鎖だけが地面に伸びていてミッキーはいなくなってた。母に尋ねると、亡くなったらしい。オトモダチが死んだみたいに、なんとも言えない寂しい気持ちになった。
小屋は長い間そのままにしてあったから、それを見るたびミッキーを思い出した。
小屋がなくなってからも、そこを通るたび私の脳内でミッキーが飛びかかってくる映像が再生される。

怖い思いをしたけど、イヤな思い出ではなかった気がしてくる。。ミッキーがいなくなった後、自分の感情がきちんと帰結する場所を見つけられたからだろうと思う。
「ミッキー、いろいろありがとね。
 バイバイ👋」って。

Ayumi☽

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