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大事なものをずっと大事にしておくには

「花束みたいな恋をした」って、映画が公開された時に
ツイッターで話題になっていて、でもその内容が

「元彼、元カノを思いだす」とか「今付き合ってる人といくと詰む」とか
なんだが不穏なものも多かったので避けてたんですが、
土曜日に「プラダを着た悪魔」をアマプラで観てから
普段映画とかあんまりみないこともあって、なんか勢いづいてそのまま日曜日に観た。

ものすごく簡素に言ってしまうと、
驚くほど趣味など好みが合う男女が出会って、幸せな日々を過ごして、
でも彼氏が社会に出ることになって(フリーターやったけど、彼女とずっと一緒にいたいのでお金の心配がないように正社員になることを決める)
でも社会に出て次第に彼氏は忙しくなって、すれ違いが起きて別れるという。

事実だけ書いたらよくある話なんですが、
序盤のあまりにも幸せな日々のシーンのところから、
「な、なんかバッドエンドの下地を延々とみているのでは…」と思い始め、
映画を家で見るときに禁じられている(知らんけど)、途中で観るのをやめて別の作業をするという行為に出てしまった。

それにしても、初詣に一緒に家の近くの神社でお詣りするとか、クリスマスにプレゼント交換するとか、一緒に漫画を読むとか、
恋人とするという行為だけで、ここまで美しくて儚いものに表現するのってすごいな。
いかに当人たちにとって何気ない行動が、第三者だったり、写し方(演出もあるが)で美しくなるのかということを感じる。

この映画でわたしがテーマとして感じたのは、
「時間の有限性と、別れの必然。また、今を維持するためには努力しなければいけない」ということだった。
主人公の女の子の絹ちゃんは、麦くんと付き合った当初、よく読んでいたブログの筆者が自殺したことを知る。
そのブログの筆者が書いていたテーマは、「始まりは終わりの始まり」「出会いは常に別れを内在する」ということ。
でもそんな筆者にも恋人ができて、その恋をそういうひと時のものにしたくないといったようなことを伝える。でも結局亡くなってしまうので、その恋がもしかしたら終わってしまったものなのかもしれないという(そのショックで自殺したのかもしれないと匂わせる)

大人になると、そりゃ別れというのはあるだろうと思うんだけど、
それを維持するためにはどうすべきか、という意識を持つか持たないかというのは結構大きなことだと思っている。

一旦わかりやすい例で言うと、購買行動とかもそうだと思っている。
わたし一人の力ではささいかもしれないけれど、「なくなってほしくないから買う。この人(会社)のものだから買う」。

この友人とはずっと仲良くしていきたい、と思ったら、頻度は決して高くなくていいけど、連絡はとるとか。人と人が会うことって、当たり前だけど双方が「会いたい」と思わない限り、会えないものだったりしますし。
普遍的なものほど、案外あっさり手を離れてしまったりして、
だからこそ、それを維持する努力が求められるんだな。
努力をして、それでもなお離れてしまったら、それはそれで仕方なかったことだと。努力したのだからと、そう思えるように、大事なものは見失わないようにしたいね。

何というか、自分にとって大事なものを大事にし続けるには
できることはできるだけ、していきたいなあと思いました。

話は変わりますが、
この映画は時間の有限性も真正面からガンガン描いていく。
主人公の麦くんと絹ちゃんは、2人でいればそれでいいと思っていたけど、
否応なしに時の変化を感じていく。

よく通っていた老いた夫婦が経営するパン屋さんは閉店してしまうし、
ファミレスの店員さんは、華々しい歌手への成功へと階段を登っていく。
「なぜか不思議と、時の流れを感じることが続いて」、麦くんはフリーターじゃなくて社会に出ることを決める。

途中、双方の両親が社会に出ろと諭すシーンがあるんですが、
あそこではあんまり何も感じない。社会にでろと、直接言われてというよりかは、むしろ、日々の中でどうしても目を背けることができない上記の変化の方が刺さってくる。(麦くんにも、視聴者の私にも)

お金の心配をせずに、絹ちゃんと一緒にいるために社会人になったはずなのに、
社会の厳しさを感じて、フリーターのまま好きな音楽やゲームを楽しむ絹ちゃんを「学生気分のままだ」とみなしてしまったり、
忙しくなって、趣味を共有していたゲームも本も楽しめなくなってしまう。

2人が衝突するシーンがあって、「わかる〜〜!」となったのが、
一緒に行く予定を立てていたイベントに、麦くんが出張で行けなくなってしまって
絹ちゃんは全然納得してないけど、でも物分かりのいいように「出張にいってきて良いよ。仕事だから仕方ない」と返答する。
でも、全然納得してなさそうな絹ちゃんの様子を見て「じゃあ行くよ」みたいなことを麦くんは言うんだけど、その後の絹ちゃんのセリフが
「じゃあ、の数が多いんだよ、最近」と。

〜〜〜!!(言葉にならない)

気を遣われて、相手も全然納得言ってないけどこちらに合わせてくるみたいなことをされた時の悲しみって、こういう時に感じるよね、、。
わりと最後らへんからは、「やるせなさ」がずどんとのしかかってくる映画だったので笑、心が元気なときに視聴しないと悶々とはしそうです。

それにしても、カラオケのシーンが2回ほど出てくるんですが、
その選曲がなんともエモかった。

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