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「侍タイムスリッパー」が面白い!都内一館上映なんて信じられない

きっかけは、安田淳一監督から直々にチラシをもらったこと

カメ止めの6周年記念上映の舞台挨拶後、池袋シネマロサの入口でチラシを配る人が。思わず手に取ると「侍タイムスリッパー」の監督その人だという。監督が自らチラシを配るって?とびっくりしつつも、その後、予告編を観てこれは絶対面白い!!という直感が働いた。そう思った人が多かったのか初日は満席!2日目に鑑賞。直感大正解。

それにしても「侍タイムスリッパー」ってキャッチ―なタイトルですよね。一言でどんな作品かが伝わる。作中でも雷と共にタイトルが出て、印象的な出方だなと。

主人公がご飯を食べる場面で泣けるとかある?

侍が現代にタイムスリップして来たらどうなるか?一度は考えたことのある人もいるのではないでしょうか?題材としては色々ありそうです。ですが、タイムスリップして来た場所があろうことか時代劇のセットの中で、しかも撮影中って!凄く設定としてユニークですが、一歩間違えばわざとらしくなり一気に世界観の魔法が溶けそうですが、高坂新左衛門役の山口馬木也さんのかなり説得力ある姿で本物の侍にしか見えない。撮影現場で歩いていても違和感がない。(笑) 

何が面白いって、観客側は彼が江戸時代から来た侍と知っている。撮影所の人は知らないからエキストラか何かと誤解する。当のタイムスリップして来た新左衛門は、自身が「過去から来た」とは言わない点。あるがままを受け入れ、そこでどのように生きていけばいいのかを考える。
※私は、あの寺に再度辿り着いた時の表情で、切腹するのでは?とヒヤヒヤしていましたが。

好きな場面を挙げればきりがないですが、空腹の中で初めて口にする🍙に涙ぐむ様子にこちらも涙する。まだ序盤なのに。ショートケーキの場面はもう泣いたり笑ったりで観ている私も忙しかった。

そして、何といっても殺陣の稽古場面。殺陣師関本役の峰蘭太郎さん。優し気な雰囲気と殺陣の緊張感があって迫力が凄かったのと、斬られ役の練習のはずが斬ってしまう新左衛門相手のリアクションと、律儀に斬られるアクションをする関本さんの掛け合いで映画館が爆笑の渦。

「斬られ役」と言えば時代劇を観ない私でも知っている故福本清三さん。彼に代わり、殺陣師役として白羽の矢が立ったという。

中盤、冨家ノリマサさんが出て来た時は、大スターの貫禄でガラリと作品の空気が変わりました。彼の秘密は劇中で観て欲しい。

声が聴き取りやすいから没入感がある

これまで邦画には若干苦手意識があって。それはボソボソ話すから。うまく聴き取れず日本語字幕が欲しいと思ったことがあり。いわゆる自然な演技をすればするほど聴き取りづらい。普通に会話をするときに滑舌良くハキハキとなんて話さないので、むしろそれが普通。でもBGMとのバランスでさらに聴き取れないなんてことも。この作品はそんなことがなく、音声は別で録っているのか普通に声が聞こえる。昔言葉&会津藩士の方言があるのに不思議。また、彼が居候するお寺のご夫婦もお互いの耳の聴こえやすさの関係か、大きな声で話すので助かる。聞き取れないストレスが皆無で没入感ありな点も好きなところ。

インディーズにしては面白いのではなく、ただただ凄く面白い

今作は、カナダ・モントリオールで開催された、ファンタジア国際映画祭 2024 で観客賞最優秀アジア映画賞を獲得したそうで、日本よりも先に
海外の方に魅力が伝わったようでうれしいけれども複雑。
【金賞】 侍タイムスリッパー(A SAMURAI IN TIME)
銀賞:Twilight of the Warriors: Walled In
銅賞:ペナルティループ(PENALTY LOOP)

この作品は、インディーズ映画で低予算で作られた割に面白いのではなく、ただただ一つの作品として凄く面白い!!

20240818現在 公式サイトの劇場部分から引用

都内一館だけで上映というのが信じられない!

いかんせん観られる場所が少なすぎる。もうちょっと増えたらこの面白さが広がるのではないか。予告を観て気になったら池袋シネマ・ロサへ!8月30日からは川崎チネチッタで上映です!

おまけ:なぜガラケー?=iPhone登場=黒船来航とかけている?

侍タイムスリッパ―、中の人達は皆当たり前のようにガラケーを利用している。新左衛門が黒船来航から140年と話していることから逆算して、2000年代初頭あたりが舞台だとすると、その頃初代iPhone(2007年6月29日発売)が日本にやっと上陸していた頃だから、まだまだガラケー全盛期で、あれはある意味黒船来航。それにかけてあえてのあの時代なのだろうかと思ったり。

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