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今を読み解くためのSF映画「インターステラー」

コロナ騒ぎになり、急にSFが現実味を帯びてきた。SFの中に答えがある気がして、アマゾンプライムの海に潜る。

暇をもてあますならば、映画を見ろ!

毎日一本映画を見るつもりで家に立てこもっているラジオパーソナリティ画家の松岡理恵です。

インターステラー 見ることにした経緯とプチ感想

テレビで滝沢カレンちゃんがおうち生活中に見た映画としておすすめしていたので、俄然見なくてはならない気持ちになる。公開時は辛気臭そうで手が伸びなかったが、まさに今こそという気分であった。

カレンちゃんが「色々あって宇宙に行かなくてはいけなくなった男の話」とまとめていた通りのお話。カレンちゃんが思いのまま語るあの感じは、誰かに伝える前に脳みその中で誰もが考えてるダイレクトな感情に似ている。カレンちゃんについて最初は頭の悪い残念なタレントという目で見ていたくせに、今ではそこに生きる答えや深い洞察があるように感じるのだから、美人と人気は魔物である。最初はおばかな若い子に見えていた、ローラちゃんへの敬意と似ている。

クリストファーノーラン監督の作品なので、ダークナイトが大好物なため、見る前から面白いのは知っていた。しかし、SFとSMが趣味の友人がおすすめしていたので、残酷なシーンが多い気がして中々見れずにいた。

でも、まさに今この時期に見ておいてよかった。ノストラダムスの予言みたいに、世界が滅びる前みたいな感覚で生きているところがあるので、共感がものすごい。

この作品では砂ぼこりがやばくて人類が滅亡の危機にあり、宇宙に新しい土地を求めて旅立つ。よくある設定なのだけど、もしも地球がそうなった時、確かに私たちはそれをすると思える。もうお金なんてただの紙切れになってしまうのだから、宇宙に莫大なG7の国家予算をつぎ込んで、宇宙探索をすべきという世論になるだろう。戦争や株式投資よりもずっと意味のあるお金の使い方だ。

インターステラーを見ると、ドラえもんもバックトゥザフューチャーも全部しっかりと科学的根拠に基づいて作られていたことに愕然とし、心から頭を垂れたくなる。タイムトラベルの問題や未来の価値観について、ハリウッドやアニメに子どもの時から教えてもらっていたので、しみじみとインターステラーの世界に共感し、運命に翻弄され、おうちで熱い冒険ができた。

インターステラー【ネタばれアリのがっつり感想】

※できれば見終わった後にまた読みに来てください

この作品では、時間と空間以外にこの世界を形作る重要な要素として「愛」を選んでいる。これはドラえもんと同じドラマの作り方だ。王道のパターンで仕上げているので、すごく希望をもらえたような気分になれた。ラストシーンまでの30分のわくわくと感動は思い出すだけで、胸がじーんとなる。私はラスト30分を二回見た。

旅立つ前に教授がパイロットに「怒れ」とメッセージを託す。怒っていないと前には進めないと伝える。本当にその通りだ。怒りは厄介な感情だけど、あきらめたり悲しんだりしていると、生み出そうとしない。家でごろごろしちゃうし、他人のせいにして非生産的な自分を責める行為を学生時代の出来事まで掘り起こしてやってしまう。

この映画はなんといってもヒロインがいい。

少女時代のヒロインの男っぽい感じが小児性愛的にセクシー。家の中でパパにだけ見せる不安そうな顔やくつろいだ顔が無防備で最高。異性を意識した言動をする前の少女だけが持つ伸び伸びとした、媚びない表情にやられた。そして、このクールで賢くて美人なヒロインが地球を救ってくれる。しかも!大好きなパパからのメッセージを宇宙から受け取って!なんて素晴らしい展開なんでしょうか。彼氏から彼女へのメッセージで地球を救うパターンもあっただろけれど、親子愛にしたことで、誰もが感情移入しやすい作りにしている。これが母親から息子にバトンを託す話だと、マザコンだなって引いていた。少女が頑なに地球のためにやるところにぐぐっと持っていかれた。なんせ私は乙女が地球を救う話が大好きで、自分の中にいる乙女を死滅させないためにも、こういう少女が強いお話は過呼吸気味に摂取したい。カレンちゃんもこの部分に惹かれたのだと予想する。

未来から過去に時間が流れている。タイムトラベルは過去から未来には行ける(浦島太郎理論:夢の国に行ったら年をとってしまい気づいたらだいぶ未来にしか帰れなかったみたいな感じ)。しかし、未来(現実)から過去には戻れない。という科学的な最近の定説を上手に盛り込んで、未来を予測した映画である。

びっくりしたのは、土地を有効活用するために、縦に田んぼや家を配置していたところだ。平面的に横に建物を配置している2020年の世界と違い、未来では重力を操作して縦に土地を使っていた。

私はもっともっと先を想像したい。

心はブラックホールで無限だから、時間と空間を考える力を人間は与えられている。すごく世界や物語を生み出すヒントをもらった。

ユーレカとヒロインが叫ぶシーンがあるところも哲学好きをつかんで離さない。ユーレカで検索を!

古いロボットが活躍することも笑いがあって見事な緊張と緩和だ。元々は手塚治虫が考えてスターウォーズに踏襲された古いロボットと人間の楽しい会話。いいSFには欠かせない要素と気づかされた。

悪役の効能

パパ宇宙飛行士を殺そうとするマン博士。この人がいなければもっとスムーズに解決したのにと思ってしまうけれど、マン博士が元々この宇宙計画の発起人だから、もし存在していなかったら人類は救えていなかった。だから、自分の人生においてもクズな人間との出会いは必要悪なのだと教えてもらった。マン博士のような藤木くんやスネ夫みたいな行為はたぶん私もやりたくなると思う。ぐさっと来た。

必感のSF!

必感は今思いついた造語。夏目漱石のように造語を作ってみた。障害のある人のことを思えば、映画は見るだけ、聞くだけの人もいるので、「感じる」が最も人間全般にふさわしい推奨用語。必ず感じてほしい映画であった。

忘れてしまうので、感動した映画についてぼちぼち記していきます。

これは過去から未来の私や人類へ向けたメッセージです。この映画の一番のメッセージはこれだと思う。未来を変えるのは、過去の自分であり、未来の自分であり、今の自分である。「俺たちが呼んだんだ」

画像は京都御所で昨年撮影した写真。宇宙っぽいので選びました。この頃はこんなことになっているとは少しも思わず、映える写真を撮ることに気持ちを盗られていた。そろそろ「映え」から解放されて、心の美を耕したい。

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