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短編小説30「Z」(企画参加/KAさん)

 それはこの基地から始まった。後に《Z》と呼ばれるゾンビウィルスに罹患した隊員がでたのだ。

「ヘイ、ジャズ! 銃は使うなナイフだ!」
「よしてくれよラッキーG! 怪物に素手で相手しろって?」

 ジャズは銃を構えたまま、向かってくるゾンビから後ずさりをした。

「モンスター以外に当たっちまうだろ!」
「くそったれぇ!」

 ジャズは悪態をつきながらナイフに持ち直し、

「俺はスパイダーマンじゃねぇ! 噛まれたら怪物になっちまうんだぞ!」

 ゾンビの手を切り落とし叫ぶ。
 ジャズとラッキーG。二人の軍人は言い争いながらゾンビを倒していた。

「噛まれたら!? おいジャズ」
「そうさ、この状況、ゾンビ映画みたいだろ! ぜってぇ噛まれたらああなる! 俺にはわかるぜラッキーG!」

 ジャズは、ナイフでゾンビの頭を刺し、ラッキーGに向かって言った。

「あぶねぇジャズ!」

 ラッキーGはジャズの死角からくるゾンビに向かって発砲する。使うなと言った銃を取り出したラッキーGを見てジャズが

「サンキュー、シグ」
「ヘェイ、俺に礼はねぇのかよジャズ!」
「あぁ助かったよラッキーG」

 基地の廊下を一掃した二人は、足音を聞き分け、その反対側に向かう。道中、基地に警報と共に指令が流された。
 足音はその放送で掻き消されてしまい、二人は一旦足を止め、ランドリーに身を隠す。

『研究中の細菌に感染した隊員を排除せよ! 奴らを基地から外に絶対に出すな!』

 かなりの危機的状況らしく、基地全体で対処することになったらしい。

「そんなやべぇのかよ」

 ラッキーGはドアの隙間から廊下を覗き呟いた。ジャズは大人しくマガジンに弾を詰め直している。そして、ランドリーに置いてあるシーツを取り自分の腕に巻く。

「ラッキーG、腕に巻いとけ」
「ん、ああ、ナイスアイディア」

 両腕にシーツを巻き、噛まれた時の防御を作ったところで廊下に飛び出そう。とした時、突如放送が入った。

『感染者が判明した! 両名分隊長! ジャズ! ラッキーG! 感染者に遠慮はいらん!』

 感染者判明の放送をした司令官エディ。目を見開いて研究員を問いただしている。

「ウィルスの効果は、幻覚です…相手への殺意を増長させるための幻覚を見せるウィルスです。おそらく彼らに我々は怪物となって見えているのかと。外に出たら…この世界は殺戮が止まらなくなります…」
「クソッ、俺は終わりだ」

 エディは深く椅子に腰を下ろした。


おわり

今回はNNさんの「ゾンビ1000」企画に参加してみました。
1,000文字以内で完結させる短編を作るんですね。
他にもいっぱい参加作があるようなので、見てみてください。


最後まで読んで頂きありがとうございます。
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😲他にもいろいろ創っているので、遊んでいってくださいね😲

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