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小説:掌編(ショートショート)

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4000字くらいまでの短い作品を格納します。 お気軽にどうぞ。
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#暗い

【掌編】トモビキ

【掌編】トモビキ

 吹き抜け式の待合ロビーには秋の陽射しが満ちていた。縁起でもないことに、俺にはそれが天国の入口みたいに思えた。それくらい幸福そうなムードだったのだ。
 頻繁に病院を訪れていると、そのうち誰が患者で誰が見舞い客か見分けられるようになる。まぁ、服装で判別はつくのだけど、それ以前に表情や仕草ではっきりしている。おおまかに言えば、リラックスしている奴が患者で緊張している奴が見舞い客だ。この差はたぶん、どの

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【掌編】ゴッド・セイヴ

【掌編】ゴッド・セイヴ

 わたしにとって、十七歳という年齢はもっと神聖で眩しいもののはずだったのに、いまこうして十七歳の終わりに振り返ってみると、なんとみすぼらしい一年だったのか、と愕然としてしまう。

 十八歳の誕生日まで、あと五分を切っていた。
 真夜中の時計は普段よりも精確に時を刻んでいる気がする。一秒、二秒、と時間が降り積もっていく様子が、肉眼で見えるかのようだ。それはいつも、火葬場の棺に残された遺灰の山を、わた

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【掌編】栄光のタンバリン

【掌編】栄光のタンバリン

 ロビーで一服つけていると、待合ベンチに見覚えのある男が座っているのに気がついた。飲み終えたコーヒーの紙コップを捨てにいく間に、その男のことをなんとか思い出せた。高校時代の友人だ。
「久しぶり」と声をかけると、彼はぶたれたように目を瞠って俺を見つめ返した。十五年ぶりの再会だったが、どうやら思い出してくれたようだ。「あぁ」と溜息のように漏らしてから、「久しぶり」とひっそり笑った。昔と比べてかなり太っ

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