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小生書いてみたよ小説

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何か“降りてきた”ら、書きます、小説。
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頭痛持ち

頭痛持ち

梅雨が明けたというのに
蒸し暑く
また台風まで接近して
どうにも頭が混乱している
頭というか脳というか

我慢しようとしたけれど
痛みは治るどころか
血管をズキズキ浮かせ始めた

黒猫に睨まれたのか?
いや、黒猫に罪はない
あるなら俺にだろうし

外の空気を吸おうと出かけてみた
できるだけ緑の場所が良いと思い
小高い森の中に入ってみた

あ…サンダルで来ちまった
結構石とかあるのに危ない

そう思

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バーの片隅で

バーの片隅で

聞こえる?

私、ここに居るの
そうよ、いつもの所

忙しい?
来れそうかな?

そう
じゃ、また今度

いつも来てくれたのに
大きな会社だから忙しいだろうなって
そう思ってた

次に誘うと来てくれた
気さくな笑い話が得意で
酔うと話が弾んだ

すごく忙しいんだろうなって
会えない間隔が広がってきて
淋しいけれどお互いかなって
そう思ってた

もう1年会えないのは
昇進して忙しくなったからって

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窓越しの恋人を

窓越しの恋人を

雨の時期になると
気が滅入る人が多いけど
私は大丈夫

私の部屋は戸建ての1階で
外には大きめの庇があって
こんな雨の日に
雨宿りするにはもってこいの場所で

すりガラス越しに
ちょっと屈んで外が見えない格好をして
どんな人が居るのか見るのが好き

何だか一人じゃない気がして嬉しくなる
そう、
いっそ、
その人を大好きと思ってしまうと
心がときめいて
白昼夢の世界に飛んでいける

今日は背の高い人

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隠し事

隠し事

今私は隠し事をしている
昨日の夜から夜中にかけて
物凄く力を使った

私は死体を隠している

どうして男はああなんだろう
優しい顔をした狼は本当だ
狼の方が優しいかも知れない

間一髪で頭上から
フライパンを振り下ろした
頭から血が吹き出して倒れた
白い服だった
汚してごめんね

まだ誰にもバレていない
でもどうしようかと悩んでいたら
死ぬ為にお寺等を
お参りするツアーを見つけた

スーツケースに

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夢の続き

夢の続き

「あんた、夢を見るのかい?」

歩道の脇に座り込んでお酒飲んでる
おじさんに声を掛けられた

私はびくんとした
夢と言われて思い出したから

妙な夢を見るんだ
だから
おじさん、何でそんな事聞くの?って
びくんとしたの

少し躊躇して、こくんと頷いた

「だろうー、そんな顔してるさー」
おじさんは夢の内容も知っている様に
当たり前な口調で言った
だから動きたくなくなった

「いかんなー、まだ中学生

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瓶に詰めるのはいつも

瓶に詰めるのはいつも

私の中で瓶はいつも死体を入れる物です

夢野久作先生の『瓶詰めの恋』も
好きです

あれはずいぶん昔、
『りぼん』という雑誌に
汐見朝子先生が『愛のびんづめ』
というお話を書かれました
それを知ったのはいつだったかは
定かではありません

ぶっちゃけ、
サスペンスホラー漫画でした
最初にも書きましたが、
こちらのお話はまさにそれでした

それから何年後でしょうか
その漫画のお話を思い出して
知人に

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外猫、荒野を目指す

外猫、荒野を目指す

その猫は野良の子だった
時々見かけるので気になっていた
母猫のお腹に潜り込むシャイな子だった

その母猫がいなくなって1週間
私とツレは、
帰り道で野良の子に出会う度、
コンビニで買った子猫フードと水を
紙皿に入れてあげていた

どうにも母猫は帰って来そうになかった
家族に何度も飼いたいと相談したが
猫アレルギーの両親は無理だと言った
ツレの家はいいと言った様だが
乗り気ではなさそうで
「うちでは

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植物は地球を侵略しにきたとしたら

植物は地球を侵略しにきたとしたら

雨が降ってゐる

この言葉を見て「あ…」と言った方、
文学好きですかな

それは良いとして

私は湿気が嫌いです
体に不調にきたすこの代物、
今は除湿という機能があるから
何とか…何とかスッキリもできますが、
除湿で冷えるにはまだ早い4月の田舎、
我慢しかないのが虚しいです

今日はずっと雨なので、
ゴミを外にある
ダストボックスに入れるだけでも大変で
ため息ついて2回行ってきました

この湿気、

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亡くした父の年齢+3年

亡くした父の年齢+3年

私の父は癌で死んだ
胃癌、肺癌、
それ以外にも転移が激しく
定年を待たずして病院で亡くなった
3日後が誕生日だった

私は子供の頃から
父と似ていると言われていた
周りのいろんな人から言われた
性格、体格、
その他諸々よく似ていると

私は抵抗していたが
否定出来ない所もあった
胃が悪い所だ
なので、こう思っていた

同じ様に死ぬな
但し、
女は男より狡い分長生きする
そう…父の亡くなった歳+3年

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夢を語れない、一握り以外の俺は

夢を語れない、一握り以外の俺は

この春、もう高校生になる

受験が終わったのは良いけど
志望校に合格できたのは良いけど
ウキウキした気分になれない

SNSを指でなぞれば
ニュースだってすぐわかる

母さんがため息ついてたのが
増税増税増税…の話だろうし
父さんが意気揚々と会社に行ってたのも
昇進があってから2年くらい
何だか疲れていて
いつも何かを考えてる顔だ

子供だってわかる

世の中
道が出来ていて
行く先が見えている

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ホラー短編

ホラー短編

「行ってきまーす!」

まさか家に車が突っ込んでくるなんて
思わなかったわよ

私のみぞおちからバケツ程の血が落ちた

得にならなくても

得にならなくても

損得勘定して生きてますか
悪くないですよ
ある程度の生活水準を保ちたいなら
お買い物だってそう、
仕事だってそう、
これは得になるだろうか?
これは損するんじゃないか?
天秤にかけたりしながら
常に考える事が大事です

でも得にならなくてもいい生き方もありますよね
自分の得にはならなくても
誰かの得になっているかも知れない
自分が辛くて堪らない事もないなら
それでも良いよね
その方が良いよねと思え

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外猫、荒野を目指す

外猫、荒野を目指す

その猫は野良の子だった
時々見かけるので私は少し気にしていた
母猫のお腹に潜り込むシャイな子だった

その母猫がいなくなって1週間
私とツレは、
帰り道で野良の子に出会う度
コンビニで買った子猫フードと水を
紙皿に入れてあげていた

どうにも母猫は帰って来そうになかった
家族に何度も飼いたいと相談したが
猫アレルギーの両親は無理だと言った
ツレの家はいいと言った様だが
乗り気ではなさそうで
「うち

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黒と赤

黒と赤

寒いですね

寒いとあの日の事を
うっすら思い出します
だんだん薄れてはいるものの
忘れならない日の出来事です

…聞きます?

その日の天気予報は
晴れで暖かいと言ってました
だから少し薄着して仕事に行きました

終業時刻になり
落ち着いていた私は
勤務台帳に時間を記入してから
お疲れ様でしたと部屋を出ました

あれ?冷えてる?
そう思ってドアを開けたら
まぁ、寒いこと!
その日の服装を心から後

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