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農耕史で初めて、天候を管理する

植物工場の最大のポイントの一つが、“天候をすべて管理下における”ことだと考えています。つまり栽培環境のコントロールができることです。
Iotやビッグデータの事例として、稲作等の栽培データを取って翌年に活かすと言うようなことをしますが、我々から見るとその意味を感じません。
例えば、気温が18度と言っても晴れが3日続いたときの18度と雨が3日続いた後の18度では意味合いが違ってきます。更に気温だけでなく、風の強さや太陽光の強さ、湿度から土壌まで様々な変数が存在し、1年後に同じ環境が現れることはありません。
せっかくデータを取ったとしても、従来のように農家の肌感覚や経験の呪縛から逃れられることはないのです。

植物工場は、この変数の海を人工的なプールに設定を変えてしまうようなものだと認識しています。
18度はいつでも18度、他のパロメーターは常に一緒で、一つのパロメーターだけど狙って変化させ、そのパロメーターが植物に与える意味などを観察し、それを理解することが可能になります。
ここで、どのような設計思想、運用思想で環境要因を設定しているか、そしてその運用の経験と知識が重要になります。

面白い事例として、以前に北欧に住む知人から「白夜の時にはイチゴがたくさん実をつける」ということを聞きました。
そこで日照時間だけを24時間照射したところ、花が通常の2.5倍ほど多くつける事象が確認できました。
理論上、収量を2.5倍ほど上げられる可能性を示します。がこのままではイチゴの重さによって茎は折れてしまうでしょう。
ここで判ったことは、イチゴは潜在的な能力として通常の2.5倍ほど実をつけられる能力があることで、最大値ではイチゴ自身の身体が持たない可能性が高いが、それまでの間で適切な数値を見い出せば、大幅な増収を得られる可能性が見えました。

植物は、変化する自然環境の中でも、余力を持った繁殖性を持っており、厳しい時にもその能力が発揮できるようになっているのではないでしょうか?
この秘められた植物の能力を最大限に引き出し、それを安定的に維持することを目的としてMD-Farmは研究開発と知見の蓄積を5年上進めて来ています。


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松田祐樹@MD-Farm
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