松原史明

物やサービスを調達する仕事をしています。最近は海外事業のお手伝いも始めました。日本、シンガポール、インド、ドイツ、チェコで勤務経験あり。IE Business School (スペイン) のExecutive MBA修了。趣味はクラシック音楽と料理です。よろしくお願いします。

松原史明

物やサービスを調達する仕事をしています。最近は海外事業のお手伝いも始めました。日本、シンガポール、インド、ドイツ、チェコで勤務経験あり。IE Business School (スペイン) のExecutive MBA修了。趣味はクラシック音楽と料理です。よろしくお願いします。

    最近の記事

    現地法人の社長のコンピテンシー

    人事・勤労部門での経験の長い友人が、「現地法人の社長止まりの人材」について語り始めたとき、わたしは差別的な言辞にぎくりとすると共に、脳裏に複数の「現地法人の社長」や現地法人出身のGenral ManagerやDirectorの顔が浮かべた。一昔前の現地法人は、投資や幹部人事や事業展開に関する権限は本社に握られ、現地法人が自ら決定できないことが多かった。現地法人の社長は、何かにつけ本社のお伺いをしたり、本社の方針を上意下達することの多い仕事なので、巧言令色ではあるが経営能力のな

      • One Page Talent Management

        友人が、年末に会った折に、「ビジネス書は自己満足だ」というのを聞いて、友人の言いたいことも理解できる一方で、彼はよいビジネス書に出会っていないな、とも感じた。友人の言いたいことは、「ビジネス書には、根拠が薄弱な、常識や思い付きや試みが書かれていて、ビジネスの指針となるのか不明」ということである。他方で、世間には経営学、経済学、社会学、心理学などの専門家が広く認めた論文を基に実務的な指針を示したビジネス書も確かに存在する。タレント・マネジメントの方法論を紹介した Marc Ef

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        • バイヤにミクロ経済学は必要か

          筆者は大学時代に中国思想を専攻し、その後、15年間バイヤとして働いている。これはヨーロッパの会社員の間ではちょっと珍しいことのようだ。ドイツ赴任時に、筆者の大学時代の専攻を聞いたドイツ人上司は「ということは、君は経済学を勉強していないのか。あなたは独占という言葉を知っているか?寡占という言葉はどう?」と馬鹿にしたように言った。この経験が一因となって、ヨーロッパ企業ではMBAを取らないと相手にされない、と考えた筆者は、ビジネス・スクールで受けたコーチングで、スペイン人のコーチに

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          • ソフトウェア業界における購買の役割

            わたしの今年の抱負は、ソフトウェア業界における購買の役割について、考えを纏めることである。メーカの購買部門に在籍して15年間、企業内異動に伴い、IT機器、自動車部品、ソフトウェア業界などの業界で資材やサービスを調達する仕事に携わってきた。ここ数年の業務経験を振り返って、日本は次第に製造業が成立しない国になってきた、と感じる。日本の製造業は、半導体、家電、コンピュータ、高機能材料など、嘗て世界のトップを走っていた分野で、今や市場シェアでも技術でも中国、韓国、台湾の後塵を拝してい

            • Kitaraのニューイヤー (2022.01.08)

              2022年1月8日 (土) に、札幌コンサートホールKitara大ホールで開かれた、札幌交響楽団のKitaraのニューイヤーを聴いた。齋藤友香理が指揮し、冨平安希子がソプラノを歌い、宮里直樹がテノールを歌った。 先ず、プログラムが、新年にこんな曲を聴きたかった、と思うような最高のプログラムであった。第1曲がドレスデンゆかりのウェーバーのオベロン序曲で始まったのは、ドレスデンで学んだ齋藤友香理らしい選曲である。その後、チャイコフスキーの白鳥の湖の抜粋、レハールの微笑みの国の抜

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              • ベテラン指揮者による大味な演奏

                あるベテラン指揮者とベテラン・オケによる交響曲を2曲聴いてきた (これから批判めいたことを書くので、固有名詞は省略する)。わたしにとって、日本の指揮者コンクールで審査員も務める、そのベテラン指揮者の演奏会に足を運ぶのは初めてだったので、彼の音楽の魅力を深く味わおう、と思い、同じプログラムに2日連続で通った。それが、2日とも大味な演奏でがっかりした。何が大味だったのかというと、 ・第一に、曲想が大雑把である。音量を鳴らすか抑えるか、テンポを速めるか遅くするか、どのパートを聴か

                • 子供の頃に自分を重ねてみた物語の人物

                  子供の頃、物語の登場人物に憧れて自分を重ねてみる、ということは多くの人が経験することだと思う。三国志演技の曹操や諸葛亮に憧れる人もいれば、探偵小説のシャーロック・ホームズや明智小五郎に憧れる人もいる。ドリトル先生のように動物と会話できることを夢見たり、未来少年コナンのように異性の友人と冒険することを願ったりする。わたしも色々な物語の登場人物に自己を重ねてみたことがあるけれども、その中に、何と、聖徳太子がいた。 聖徳太子に関する情報は、子供向けの伝記や歴史漫画から学んだ。どの

                  • 知識は水平に蓄積する

                    ハーバード大学のInternational Political Economyの教授であるDani Rodrik氏による <<Eocnomics Rules. The Rights and Wrongs of the Dismal Science>> (W. W. Norton & Company, 2015) を読んでいたら、「経済学においては、知識は垂直に、より優れたモデルが劣ったモデルを置き換えることで、積み重なることはない。むしろ、水平に、新しいモデルが、以前は見過ご

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                    • 2つの叙事詩

                      Stanley Kublick監督の映画『2001年宇宙の旅』を久しぶりに見た。設定はサイエンス・フィクションだが、物語の構造は400万年まえに設置されたモノリスの謎に突き動かされて人間が木星とその先を旅するという叙事詩である。2時間半の映画の中で色々なことは起きるが、わたしは唯々、音楽の美しさと、宇宙船や宇宙空間を動き回る俳優たちの制限された動きとモノトーンな衣装、現実的というよりは象徴的な天体の公転に魅入っていた。この映画で用いられる音楽は、ヘルベルト・フォン・カラヤンと

                      • 皆どうやって測るつもりなの?

                        2020年の10月に、日本の菅首相が、2050年までに日本もカーボンニュートラルを目指す、との所信を表明した。その後、多くの企業がカーボンニュートラルやネットゼロの目標を掲げている。目標の達成度合いを見える化し、温暖化ガスの排出を抑制する為には、どの排出源からどれだけの温暖化ガスが排出されているかを定期的に算出することが不可欠である。皆どうやって算出するつもりなのだろう。 排出源の分類は、一般に、Green Gas Protocolのものが使われる。この分類は、環境省のウェ

                        • ロボット・コンテストとデジタル化

                          ロボット・コンテストと言えば、ロボットが戦ったり、走ったりするものだとばかり思っていた。ところが2020年には、実機なしのシミュレーションのみでロボット・コンテストが戦われたという [1]。確かに、戦ったり、走ったりは人間の振る舞いであり、ロボットが人間同様、戦い、走ることを競う必然性はない。ロボットはロボットなりに振る舞いがデジタルにプログラムされるのであるから、そのプログラムのありさまや、プログラムされた結果の振る舞いを競うのが自然である。勿論、振る舞いの一つとして、質量

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                          • Attacking a straw man

                            英語に attacking a straw man という表現がある。自分が本当に批判したい命題を批判する代わりに、(より批判が容易な) 似て非なる命題を批判し、あたかも元の命題を批判したかのような印象を与えることを言う。WikipediaのStraw manの項目に「非常に感情的な主題を巡る論争で使われる」と書かれている [1] 通り、attacking a straw man が使われる場面では、人々は強い感情に駆られ2つの異なる命題を同一視してしまう。ソーシャル・メディ

                            • 三段論法と契約と規則 (後半)

                              (前半から続く) このように法律や契約、規則を通じて、わたしたちの生活と仕事を縛っている三段論法であるが、わたしたちが法律や契約、規則のお陰で仕事や生活の面倒を軽減したり、逆に面倒が増えたりするのも、三段論法と関係があるのだろうか。契約や会社規則の作成・審査を仕事としてきた経験からすると、関係は大有りである。 まずは規則や契約が仕事や生活の面倒を軽減してくれる側面から考えてみよう。規則や契約のありがたい点は、大前提と小前提が成立すれば結論に至る、という結論の予測のし易さであ

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                              • 三段論法と契約と規則 (前半)

                                昨日9月12日にアリストテレスのエトス、パトス、ロゴスの話をしたついでに、今日は同じアリストテレスの三段論法がわたしたちの仕事と生活を縛っていて、三段論法との付き合い方次第で仕事や生活が楽にも苦しくもなるということを実践的に論じてみたいと思う。実践的にというのは、会社で契約書や会社規則を作成・説明しながら経験したことを踏まえて、という意味である。 まず三段論法とは何かをおさらいしよう。Wikipediaに詳しい説明が載っているけれども[1]、簡単に言うと、大前提と小前提から

                                • 会社の仕事とアリストテレス

                                  好きな音楽家のWikipedia記事を書いていたり、新しいタスクに向けた勉強に追われ、noteにご無沙汰していました。その間にも、書きたいことが色々とでてきたので、記事の作成を再開します。 フリーランスの友人と話していると、彼(女)らが、わたしのような勤め人と比べ、自分の信用や、自他の感情、仕事のスキームの確からしさなどに鋭い注意を向けていることに気づかされる。これは、普段、勤め人の列に伍して働いているわたしからすると、とても新鮮な感覚だ。勿論、会社勤めにだって、「一度失っ

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                                  • 旅客需要の回復は客席利用率の向上が鍵

                                    ビジネス・スクールで、物事の変化には、一時的なものと持続的なものがあることを教わった。物事には、物理学と同様、慣性の法則が働くので、表面的に変化しているように見えて本質はなかなか変化しない。しかし、消費者の好みや、社会構造の変動があると、変化は持続的なものとなる。持続的な変化に備えなさい、と。 新型コロナ感染症の流行により、航空便の数が減っている。例えば、米国Bureau of Transportationが発表している米国の旅客数 (下図) を見ると、米国の国内便は201

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