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「転職市場」と「市場価値」という違和感ワードについて ~深夜のキャリアデザイナー's ポエム

キャリアを扱う仕事について15年近くたちます。まずまず永くやっているほうなんじゃないかなと。リーマンショックや東日本大震災などもなんとか生き延び、20代後半から40代となるまでずっとキャリアと向き合ってきたわけですが、要所要所で違和感を覚えてきたこともあるわけです。今日はそんな違和感の一つをポエム的にまとめてみました。

さぁ深夜の誰得オジサン’s ポエムのスタートです。


「転職市場」という言葉への違和感を考える


自分は仕事柄「転職市場」という言葉に触れる機会が多くあるんですが、とくにここ数年、この「転職市場」という言葉にちょっとした違和感を覚え続けてきていました。モヤモヤと。

「最近の転職市場ってどんな感じですか?」

そう問われることも少なくはないです。いや、結構な頻度で問われますね。

「こんにちは、最近の転職市場ってどんな感じなんですか?」
「いや~暑くなってきたね。最近の転職市場ってどんな感じ?」
「おー久しぶり!って、最近の転職市場ってどんな感じよ?」

うーん、挨拶とセットでめっちゃ聞かれてるじゃないですか・・。

なんだかね、それっぽく答えはするんですよ。プロとして質問にはちゃんと答えなければ、という意識ってやつで。でもなんとなく胸に残る違和感があるわけです。この違和感、これまで正体をしっかり言語化はしてきませんでした。

今回はこの違和感についてあらためて考えてみます。あくまでポエム的に。

市場とはなにか?

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市場(マーケット)とは、シンプルに言うと、「需要」と「供給」のバランスによって「価格」が決まるシステムのことですね。

※あ、「転職市場」と似た言葉で「労働市場」というものもあります。これは資本主義下おいて、労働者と使用者により、需要・供給の法則に従って労働力を取引商品として形成される抽象的な市場のことを指しますが、この言葉には勿論なんら違和感はないです。い、一応、、、経済学部出身ですので。

では、「転職」の「市場」とはなんなんでしょうか?

需要が、求人側の採用したいニーズで、供給が、求職者側の転職したいニーズ。そのバランスによって、自動的に「何か」が決まる市場ということ・・・なのかな? で、この「何か」というのは、アレですかね、これまた違和感ワードの筆頭に並びますが、「市場価値」というやつですかね。そして、「市場価値」というのは、給与のことなんでしょうかね?

仮にそうだとした場合、そもそも世の中の人々は、給与を高くすること”だけ”を目的として転職を考えるものなんでしょうか。そういうスキルや経験の取引の場が「転職市場」ってやつなんでしょうか。

前述した質問、

「おー久しぶり!って、最近の転職市場ってどんな感じよ?」

これって、つまり

「おー久しぶり!って、いま売り時?買い時?どうよ?」

って聞きたいということなのでしょうか?

変化・多様化・ゲームチェンジの時代において


例えば、スポーツのようにルールが一定である世界であれば、実力や実績によって報酬が決まるという見方は正しくなります。しかし、現在の社会はどうでしょうか。特にこの数年はAI、IoT、ロボティクス、ストリーミングなどなど次々と新たな業態、そして新たな職種が生まれてくるような変化と多様化の時代となっていることは生活者の視点からみてもよくわかる状況です。

特にこの直近数か月では、強制的な業態転換を迫られたり、予期せぬゲームチェンジが発生しているような業種すらあります。そして、この先がどうなっていくのかを正確に見通すことは極めて困難となっていますね。予測するのが大好きな方々はいつの時代もたくさんいらっしゃいますが。。

同競技でもルールが変わったり、競技そのものが別の種目に変化してしまうなら求められる能力やスキルも当然ながら変わってきます。

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つまり、需要と供給のバランスで市場価値(=仮に給与としましょう)が決まるのが「転職市場」だと考えた場合、このように予測不能な市場のなかに身を置き、予測不能なものに右往左往して、給与がどうなるかわからないままに生きていく人生を想像すると・・・、これはちょっと不安がすぎるんじゃないですか? 

きっと自分の感じる違和感は、そんなふうには生きていきたくないな、そんなふうに考えて生きていかないほうが良いんじゃない?というある種の拒否反応だったように感じます。

予測不能の市場のなか、自分の価値がいつ陳腐化するかもわからず、常にいまどちらを選択するのが得なのかを考え続ける生き方への違和感。
これだったんですね~。いや、すっきりしました。


じゃあ折角なので、違和感の正体がわかったところで、自分なりに「転職市場」を再定義してみようと思います。ポエム的にですよ。

「転職市場」の再定義

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自分なりの解釈と期待と妄想を込めて、「転職市場」の再定義について考えてみました。といってもなかなか難しかったんですが、ある瞬間に一気に視界がクリアになったんです。これ凄いですよ。自分の体を貫かんばかりの衝撃が走りました。ダイにライデインくらった感じです。黒焦げです( ゚Д゚)

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それはですね~、いきますよ~、これが目に入ったときでした。

LIFE WITH FARM - 野良を目指して -

Culture(文化)の語源は Cultivate(農耕)にあると言います。
都市に暮らす私たちにとって、食べものは一番身近な自然。
何を、誰と、どう食べるのか。
それが個人の心と身体をつくるのはもちろん、ひいては社会を形づくっています。
何かを選ぶ際に、価格を大事にするのか見た目なのか、それとも味わいを大事にするのか。
つくり手、食べ手、届け手・・・様々な想いやシステムが交錯し、
たった一個のリンゴにも社会が反映されていると考えています。
ファーマーズマーケットは、農家さんを中心に、
料理人、職人、そして都市に暮らす人々が参加するコミュニティです。
新鮮で、心のこもった美味しい食べものに人が集まり
そのつながりから未来をつくるクリエイティブな状況が生まれると信じています。
http://farmersmarkets.jp/concept/ より引用


こちら何かわかりますでしょうか?最近こそ休業中ですが、青山の国連大学前で10年以上にわたり週末に開催されている、ファーマーズマーケットのマーケットコンセプトなんです。

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市場を「しじょう」ではなく「いちば」と捉える。そうすると、このコンセプトってそっくりそのままこれからの不確実な時代においてのキャリアを考えるときにフィットする考え方だと心にズドーンと響きました。

そこは様々な想いが交錯する場である。大事にするものはそれぞれで良い。人が集まり、そこでのつながりから未来をつくるクリエイティブな状況が生まれてくる。
どうでしょう?まさにそんな生き方が出来たらめちゃくちゃ幸せじゃないでしょうか。

ファーマーズマーケットはとにかく歩いているだけでも楽しいんですよね。人が自然と笑顔になれる場所だなと。そこには色々なコミュニティがあって、ストーリーがあって、みな何か(味なのか、デザインなのか、品質なのか、珍しさなのか、こだわりなのか・・・)を表現しあっています。

決して、需要と供給で価格だけが自動的に決まっていくという機械的な場所ではなく。

あぁ・・これです。僕の理想とするのは。まさに「転職いちば」。「キャリアのいちば」と呼んでもいいかと思います。「キャリアーズマーケット」かな。しつこい。。

自分という存在はなんなのか。モノやコトを選ぶ基準が人それぞれであるように、世の中には数多くのニーズが存在します。さぁ自分はどんなニーズに応えたい存在であるのかそれはなぜか。そのためにいま必要な能力は何なのかを追求して磨く。自分の腕を磨き上げ、自分という存在をクラフトする。想いは様々人それぞれであっていい。みんな違ってみんないいってことです。

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DoingよりもBeingを大事にする生き方で


自分の理想とする「転職市場」とは、競争原理のなかで一番の高値で自分のスキル(=Doing)を売る=転職先を決めるという行為だけをする場ではなく、ファーマーズマーケットのように、自分自身のこだわりや「在り方=Being」を表現する場所であり、出会いが発生する共生の場であってほしいと考えます。それぞれのこだわりや「在り方=Being」と触れ合い、うろうろするだけで笑顔になれる。そんな「幸せ」を感じるプロセスそのものを享受しあえる場が、マーケットのあってほしい姿です。

また、「市場価値」という言葉もありますが、「市場価値」とは給与の額やその時代におけるスキルのレアさなどを指すのではなく、それぞれ個々人の中にあるこだわりや「在り方=Being」であり、ユニークさオリジナリティを含んだ「ストーリー」を努力で磨き上げたときに表現される「輝きの強さ」のことではないか、そんなふうに考えています。

えー、「輝きの強さ」という我ながら深夜のテンションっぽいワードが飛び出したことはスッと横に置かせていただき・・

色んな輝き(=Being)がそこかしこで表現され、新たな出合いや繋がりがおこり、クリエイティブな未来に繋がっていく。子供たちが羽ばたいていく未来はそんな共生の世であってほしいなと願いながら今宵はペンを置かせていただきます。


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はい。妄想が溢れすぎて、記事の終盤抽象度がMax値を叩き出してしまいましたがどうかご勘弁ください。イメージとして伝わったら嬉しいなと。

そして、そうこうしている間に0時を回ってしまいました。

深夜の抽象度Maxのキャリアデザイナー’s ポエム、お付き合いいただきありがとうございました。公開するかどうかは朝冷静に読み直してからにしたいと思います。



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