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実際には十秒も経っていなかったが、数十分揺れていたような感覚だった。幾度となく経験して…
「こんにちは」入江田と目が合ったからなのか、楽しくもなさそうな明るい声で、その女性は入江…
入江田は、一瞬何の話をしているのか分からなかったが、すぐにアンバーの事だと思い至った。…
マテオは自分の首の後を入江田にみせながら言った。そこには黒い筋のような血管が網目のよう…
入江田は、クアオルトの窓ガラスに目をやった。平面的な虚像にボコボコした山肌が映っていた…
食堂にはマテオがいた。彼は、テーブルの上にトレイを置いて食事をしていた。入江田達が近づ…
「第二十五歩兵師団」男が口を開いた。 「今、何と言った?」 「イリエダと私が所属していた師団です」 「は? ネットで調べただけだろ?」 「いえ。違います。私の記憶です。正確には、私の記憶ではありません。私の脳にあるデータを参照しただけです」 「何を言っているんだ?」入江田がそう言うと、アンバーが我慢できないというように、声を出して笑った。 「ホント、佐吉は無防備で、何も知らないのだね」彼女はマテオを指さして「つまり、この肉体はマテオ・クティのものだけど、彼の人格は別のところに
「大丈夫です」と入江田は答えた。そして、彼女が自分から目を離さないことに彼は気がついた…
「あぁ。大丈夫です。少し休めば良くなると思います」 「それならいいんですけど。無理しない…
やはり何も起こらなかった。入江田が食堂に戻ると、すでに清掃員の姿はなく、食器類は全て片…
「あの、単刀直入に聞くんですけど」 「はい」 「入江田さんは、軍人さんですか?」 「えぇ。…