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野菜嫌いだった私が、野菜をおいしく食べたいと願う自分のために作ったミートソース

物心ついたころから、好き嫌いが多い子だった。私を知る人たちの間では、野菜をほとんど食べなかった私の偏食は有名な話である。だが、我が子の離乳食を作りはじめた28の夏。人が変わったように野菜を食すようになった。

どんな食品でも、初めて赤ちゃんに食べさせるときは、味見をせずには与えられないと思ったからだった。それまでの人生、全力で拒否し続けてきた野菜も例外ではない。28年間、頑なに積み上げてきた偏食アイデンティティが、湧き出ずる母性の前にガラガラと崩れ落ちた瞬間である。

とはいえども、お残し禁止の小学校の給食で、半泣きで食べていたミニトマトを、ある日突然、「おいしい!おいしい!」と言って食べられるようになるはずがない。「食べねばならない」という使命感が、母性によって最大化されているだけである。私は野菜を食すようにはなったが、好きになったわけではなかった。

野菜を全力で拒否していた時代から、私の舌は何も変わっていない。でも本当は、野菜のおいしさを赤ちゃんと共有してみたい。自分がおいしいと感じた食材を赤ちゃんに届けたい。どうすれば、野菜をポジティブに受け入れられるのだろうか。

毎日離乳食を作っては味見をしていると、「離乳食を味見するのは嫌ではないな」ということに気づく。どうやら、繊維をすりつぶしたり、細かく刻んだり、加熱したりすることで、野菜特有の青臭さが軽減されているようだ。

そういえば子どものころ、私の好物はミートソーススパゲッティだった。ファミレスに行けば必ずオーダーしていたし、家でも母がよく作ってくれた覚えがある。成長するにつれ、カルボナーラや、たらこなどのしょっぱい系のちょっと小洒落たパスタを好むようになり、ミートソースはすっかり窓際に追いやられていた。けれども、離乳食作りで日々野菜を刻み、茹でたり煮たりしているうちに、その存在がどんどん大きく感じられるようになった。

(そうか。野菜を均等に小さく刻んでしっかり火を通し、野菜に肉やだしの旨味を吸わせることができれば、おいしく食せるのかもしれない。)

その日から、自分のためにミートソースを手作りするようになった。当時は料理にかなり疎かったので、レシピサイトやテレビ、本などで知った作り方をさまざま試し、息子が3歳になるころには、自分にとってベストなレシピを作り上げることができた。

野菜に関しては、息子と一緒に舌を鍛えてきたと言っても過言ではない。なのでこのミートソースは、大人が好むような本格的なものではない。むしろ、保育園や小学校の給食や、ファミレスのお子様ランチの味わいに近いだろう。いかに青臭さを消し、おいしく野菜を摂るかを第一に考えた、野菜嫌いのためのミートソース。今も変わらず、子どもたちとおいしさを共有しているレシピのひとつである。


*野菜嫌いだった私が、野菜をおいしく食べたいと願う自分のために作ったミートソースレシピ*

【材料】6〜8人分(子ども込)※多めに作って冷凍ストックすべし!
豚挽肉or合挽き肉:500〜600g/にんじん:中1本/玉ねぎ:中〜大1個/ピーマン:大2個(ピーマンの好き具合でお好み量)/なす:2本/カットトマト缶:1缶/にんにく:ひとかけ/コンソメ:2個/トマトケチャップ:味をみながらお好み量/ローリエ:1枚/乾燥バジル:お好み量/オリーブオイル:大さじ1/水:適量/砂糖:適量

①にんじん、玉ねぎはフードプロセッサーで細かく刻む。しかし、ピーマンはフープロ厳禁。苦味が強くなってしまいます。包丁で5〜7ミリ角くらいに刻みましょう。みじん切りも苦くなるので厳禁です。

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なすはヘタをとり、ピーラーで縦に4箇所ほど皮をむき、水を張ったボールに数分つけます。

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その後、2本まとめてラップでぴっちり包み、レンジ600Wで約5分。すると中まで火が通った状態になり、フライパンに投入した際、味が中まで染み込みやすくなります。この下処理をするとフライパンに入れば煮崩れるので、適当な大きさに刻んでおけばOK。

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②フライパン弱火にオリーブオイルをたらし、刻んだにんにくを入れる。にんにくの香りが立ったら、豚挽肉を投入して中火。あまり触らず、表面全体に焼き色が着いたら、にんじん、玉ねぎを投入して挽肉も崩しながら炒めます。水分が上がったところでピーマンとなすを入れて、全体をかき混ぜながら炒めていきます。

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③食材がすべて炒められたところでトマト缶投入。フライパン全体が浸るほどの水も足します。コンソメ、ローリエを入れて、水気がなくなるまでたまにかき混ぜながら煮込みましょう。ローリエをオレガノにしても美味です。ここでケチャップ大さじ2を入れると、トマト味が濃いめに出ます。

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④仕上げに、トマトケチャップと砂糖で味付け。

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⑤乾燥バジルを全体に振りかけて、完成! 粉チーズも適宜でどうぞ。

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※夕食に作りました!写真のアップと同時に加筆修正もさせていただいております。あしからず。



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