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読書記録#3(2022.11.21-11.27)

読書記録を毎週月曜日から火曜日に移動させてみました。

・小川哲「地図と拳」(第七章から)

先週はあまり時間がない中でしたが、その前の週から読み始めていた「地図と拳」が終わりました。640ページあり「鈍器本」と呼ばれる厚さですが、これは面白かったです!今年一番の本かもしれません。

第六章まででも細川はかっこよかったですが、年齢を重ねても生きる事へのエナジーが溢れる姿はとても魅力的でした。

他にも濃厚なキャラクターがたくさん出て、それぞれの人物のエピソードに話は飛びますが、各章が西暦ごとに分かれていながらも時系列に並んでいるので、ボリュームはありますが読みやすいです。

タイトルにある「地図」だけでなく「建築」も重要なポイントになっていて、建物のデザインの描写で時代や人の思いなど、様々な情報が伝わってきます。

デザインと言えば少し前の新聞にこんな記事がありました。

満州国設立1周年の「現世楽園」(33年)の5人の子どもたちの構図は、グリム童話を題材にして米国で作られたポスターに似る。元ネタにある大人を割愛し、子どもたちは「五族協和」を体現すべく5種類の衣装に着替えを施された。

この満州国のポスターデザインがアメリカのものに似ているというのが「ポスター万歳 百窃百笑」に載っているそうです。この子供たちが進んでいく絵が、プロパガンダのひとつとして使われたのでしょうか。「五族協和」の子供に「現世楽園」の文字。この小説を読んで、改めてこの「王道楽土」満州とは、「拳」である戦争とは何だったのかと改めて思いました。

冒頭に出てくる「燃えない土」というものがどう扱われるのか、「軍刀」は戦争が終わってからどうなるのか、アイテムの行く末も注目してください。

読書記録#2で「満洲国グランドホテル」を読んだ事を書きましたが、今年は結構満州に少し関連するものが多かった気がします。

三津田信三さんの物理波矢多シリーズ。物理は満州にあった建国大学で学んだという設定になっています。

地図と拳でも名前が出てくる甘粕正彦。最期に「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」と詠んだその甘粕に殺害された伊藤野枝(いわゆる甘粕事件)の本を読みました。

ものすごく本を読む方ではないですが、それでもいろいろなところで満州とそれに関する人物が出てきたので、来年は引き続き満州関連を読んでみたいと思います。

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