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「坂の下り方と人口推移」「地方存続の根本問題とは何か」

その1「坂の下り方と人口推移」

坂の下り方を考えなければならない時代である。
これは地方の小さなまちの、大変重要で深刻な話である。

すでに坂の上の雲など遠い幻想に過ぎないことは明らかで、
それどころか、その存続すら危うい、

つまり自身が遠い幻想にならないように、何ができるのかを考えねばならないときを迎えているのである。

我がまち周南市の人口は、現在、137,059人。(R5.4月現在)

ちょっと見ない間に、え、そんなに減ったの?と思われる方が多いのではないか。

僕は業界ではレアな成功例として、全国から塾の先生が山ほど見学に来る変人なのだが、
ひと昔前、訪れる教育関係者には、「15万くらいの小さなまちで」と紹介をしていたのをよく覚えている。

データを見ると

2005年 152,387人
2010年 149,487人
2015年 144,842人

そして、現在が、137,059人である。

もはや、「およそ15万人」なんて、言えなくなっているのである。

それでまあ、どうも話を聞くと、
まちを支えて来られた多くの年配の方々は、
「人口増加を」とひたすら叫ばれているようであるが、
ちとそんなことが非現実的であろうことは、わかりそうなものでもある。

人口統計とその予測は、数あるデータのなかで最も信頼性の高いものなのだ。

現実路線でいえば、
坂道の下り方を考える方が良さそうではある。

右肩上がりの時代しか知らず、それしか想定できない方々には、この先のまちの行く末を任せることはできないのではないか、と思っている。

その2「地方存続の根本問題とは何か」

移住ブームと地域おこし協力隊なるものの存在もまた、一過性のものに留まるであろうことも、予測するに容易い。

その地域ごとに事情は異なるとは言え、地域の根底の問題、根本的な問いに答えを出すことは容易ではない。

どこかの家族が例えば、二家族が移住してきたとする。
受け入れる側としてはそのわずか一歩でも喜ばしいことではある。

しかし、地域の根源的な問題を解決することは、これとは別の問題だと言える。

ここでは、3つほど、その根源と思われる問題を挙げておく。

・文化と歴史(文化度と社会関係資本に関係する)
・産業(仕事がそもそもあるかないか)
・教育(人材育成まで含めた諸々)

この大きな3つの問題(テーマ)に、アプローチできるのは誰か?ということを考えなければならない。

この大きな問いを、移住者並びに地域おこし協力隊に丸投げする、なんてことは実質不可能なのは最初から分かることだ。

協力隊が、隊と呼ぶだけあって、百とか千とかの部隊なら別だが、そんなはずもない。

しかも、外部からのそれらに、根本問題を押し付けるなんてことが、発想としては貧弱であることは明白なのだ。

文化も歴史も、私たちは生まれ育ち、また長く住んで初めて理解しうることは山ほどあろう。

とりわけ、ここで言及したいのは教育に関してだ。

教育によるまちの復興(あえて復興と呼ぶ)は、すでに全国でも事例がある。

教育がまちおこしになるだとか、移住を促進するだとかいったことは、
教育が手間も時間も要する点、および、聖域として政治サイドが関わり難かった点から、
全国スケールで展開されては来ていない。

気づいている人たちだけが取り組んでいるというのが、全国的な現状だろうと思う。

しかし、教育があらゆる問題の、起点であり、基盤となっていることは、考えれば、自ずと気付けることでもある。

先に、文化や歴史、産業を挙げた。当然のことながらこれらの根底をなすのは、教育なのである。

教育が機能しなければ、まちの文化度も民度も上がるはずもない。
また産業も生まれず、衰退するのみであろう。

「いやあ、もう学校あるし、十分でしょ」なんて声があるかもしれない。

しかしながら、実際の子育て世代はそうは受け止めないだろう。

残念ながら、公教育は崩壊の一途を辿っているのだ。
仕組みとして存立はしていても、教育として機能しているかというのは別問題である。
その点で、現在の公教育は、疲弊し過ぎていることも含め、部が悪い。

少なくとも、現場にいる者として声を聞くと、今が満足だと思われている子育て世代の方はあまり多くはない。

で、どういう振る舞いをするかというと、
教育を重視されている方々は、市外県外に頼ることとなる。

実際に、公立高校入学に際して、上位層が県外に出てしまうために、その対策を県は打っている。
そういうことだ。

裏を返せば、教育について真面目に考えておられる子育て世帯は、教育の充実によって、地方に引き戻せるのである。

さて、色々書いた。

これらを踏まえると、
教育が決定的な、人口対策やまちの存続のための一手であることが見えてくる。

当然のことながら、ここへの集中的な税金投入ということを議論せねばなるまい。

時勢を読めず、世界の潮流、日本社会のありようを読めない自治体は、ここから脱落していくことになる。

どうぞ、我がまちがそういう自治体にならないことを願うばかり、だが。

その教育の打ち手を、僕らはすでに仮設・検証しながら蓄えてきた。

関わってくださる皆様には伝わっていると思うが、僕らはそういうNPOなのである。
そして今後もデータや検証結果がますます蓄積されていくことになるだろう。

意味のわかる自治体の方とは、ぜひ連携をしながら取り組んでいく心算である。

なお、近い方が僕らは楽だが(笑)、本質的には全国のどこでも問題はない。

(おわり)



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