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ホンダアツシの【読むべし!】vol.4 『ほんとうの道徳』著・苫野一徳

読むべき必読の文章や記事、書籍をご紹介する、
ホンダアツシの【読むべし!】vol.4

第4回の今回、お届けするのは、

『ほんとうの道徳』著・苫野一徳


すでに義務教育課程においては道徳の授業が行われています。
かなり賛否を生んだ道徳の授業ですが、僕はこの授業に恐怖さえ覚えています。


この本では、道徳とは何か?そして、なぜ道徳教育を学校がしてはならないのか?を、哲学者の立場からわかりやすく説明されています。

もちろん、すでに道徳教育が始まってしまっていますから、今後どこに向かうべきか?の提案も書かれています。

この書籍でもっとも肝心な部分を引用します。


評価云々の前に、実は原理的に言って、「道徳教育」は本来学校がやるべきではないのです。


はじめに、からの引用ですが、この一文を読むだけでも価値は十分あるはずです。

続けて、解決策はこうです。


代わりにやるべきは、「市民教育」です。


非常に簡潔ですね。

さすがに哲学の本流をいく著者だけあって、これまで様々な哲学者がどのような主張をして来たかが紹介されており、納得がいく内容になっているばかりか、哲学についても学びを深めていくことができます。


僕も子どもたちから道徳の授業の内容についてはよく耳にしています。
その内容を聞くたびに、まともに道徳教育を行うことはほとんど無理だと感じています。
この本にもあるように、まずは「自由」について言及する必要があるはずなのですが、果たして、学校の先生でそこに言及している方がどれほどいるでしょうか。
さらに「人権」にも話しは及ばざるを得ません。さて、実際現場ではどうでしょうか。

もし、道徳授業をこのまま有意義なものに昇華していくとすれば、やはりアカデミックな領域から専門家を連れてくるしかないと考えています。


僕のいる地域の話をすると、自分は「道徳授業のプロ」だと自信満々に述べる教師もいるようですが、もうそれが怖い。
先の「はじめに」を読めば分かる通り、道徳の意味を本当に理解しているとしたら、学校でそれを行なっていること自体に畏れを抱いている方がまともな姿勢であるはずで、意気揚々と、道徳のプロと口にはできないはずなのです。やはり怖い。


現場レベルで言えば、素人でまともに行うことは困難であり、ひとつ誤れば憲法違反なのではないかと思ってしまいます。多くの場合、先生が「心の問題」に言及してしまうからです。「こう思うべき」「こう感じるべき」と子どもたちの心に規制をかけてしまう。公の機関やそこに勤める者が、踏み入ってはならない領域のはずです。

僕は普段から社会学からのアプローチで子どもたちと話をし、議論の場作りもしています。その立場からも学校の道徳授業については非常に怖さを感じるのです。


ということで、みなさんも是非、この本を通じて、学校での道徳授業についていろいろと考えてみてくださいね。
  



(終わり)









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