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自分の周りの見えない食品ロス問題について考えてみた

皆さんは「食品ロス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは皆さんに関わる現代問題だ。この問題について、目に見えない現実や、僕なりの問題に対する具体的な行動を調べて実践した結果を書いてみた。書いたことを忘れないように活かして、少しでもいい社会になったら嬉しい。


スーパーで目が覚めた僕

スーパーで買い物中に「食品への知識を捨てるな」という声が耳に入った。周りに誰もいないのに、どこからだろう。その時、ある方向から視線を感じた。野菜たちだ。じっと動かずこちらを見つめ、何かを訴えているような雰囲気が漂っているように見えたのだ。「農家さんの存在を忘れるな」という声も耳に入る。

農家さん

スーパーとは食べたいもの、切れたもの、調理されたもの、調理したいものなどを買える、生活に欠かすことのできない場所だ。
いろんな商品を見て何を作るか考えながら買い回る、あの時間が僕は大好きだ。楽しい部分が大半だけど、実は目に見えない恐ろしい部分もあるということに気がついた。問題や悪い影響などがないと思う人が非常に多いだろう。この中に実は僕も含まれている。長い時間をかけて丁寧に育てる野菜と果物。お肉と魚の加工。加工食品の手間とコストに輸送もある。実は、並んでいる食品はただの「もの」ではないのだ。感覚と行動によって、いつまでも解決されることのない食品ロス問題が悪化している現実がある。

食品ロス問題の現実

目で見えない問題だけど、実際の数字を見て現実を知れば、息が止まるだろう。農林水産省が発表した最新の日本食品ロス量はなんと、523万トン

令和3年度の食品ロス量は523万トン(前年度比+1万トン)、このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トン(前年度比+4万トン)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は244万トン(前年度比▲3万トン)となりました。

農林水産省のサイトより

前年比を見てみると、家庭から出る食品ロス量が減っていることに対し、事業から出る食品ロス量は増えている。家庭では工夫してロスを減らしたりそもそも自炊をしない人が増えている一方、さまざまな飲食店・スーパーなど食品事業がどんどん増え、結果的に食品ロス悪化に拍車がかかっている状態だ。

食品ロスまでの時代の流れ

食べ物が足りなくて毎日生き残るのが大変だった時代は、毎日買い物に行きその日に必要な分を買っていた。その日のうちに調理し、食材のほとんどの部分を使って生ごみを出さないよう工夫していたという。

時代が変わり、食材を活かした商品や食べ物がたくさん生まれた。多めに作って販売した結果、売れ残りが発生し、軽い気持ちで捨ててしまう。必要な分のみを買っていた時代から、いつでもなんでも簡単に食べたいものがすぐ手に入る時代に変わってしまった。

この流れに生まれた人はもう一つの変化があった。野菜、果物などの商品は見た目が綺麗で美味しそうに見えない限り、食品化にならない。買われないのだ。商品の形・サイズ・重さの見栄えに関する品質の基準が、良いものを殺しているようだ。規格外の食品があったとしても、安全性や味などは通常の食品と変わらないから問題なく食べられる。規格外の野菜は消費者に別の形で提供できる。コストを抑えながら加工すれば、問題なく出荷できるはずなのに。

野菜と果物は種から始まり数ヶ月から数年をかけてやっと食べられる。そんな食材がこのような売り方をされると、農家さんの苦労は消費者と切り離されてしまうのだ。スーパーの野菜と果物売り場には毎日たくさん並べられていて、いつでも食べられる当たり前さが定着してしまう。完璧すぎる商品は数ミリの凸凹があるだけで無意識に買わなくなる。買われなくなった野菜たちは、自然な流れで廃棄されてしまう。

食品に対する現代問題の一つは様々な商品を数多く陳列していること。売れる売れないは別として、大量を綺麗に並べることは終わりの始まりだと言えるだろう。その商品へのリスペクトと特別感はなくなり、それが生物になるとより悪化してしまう。

味が一緒だとしても見た目が悪いため消費者に選ばれなかった食材たちの使い道は少なく、廃棄される食材が増えたという結果になった。

実際の農家さんに聞いたリアルな声

ここでまた、見えない悲しい現実が現れてくる。知り合いの農家さんに話を聞くと、「自然災害で出荷できないこともあるし、半分くらいは捨てるつもりで育てている」という。見た目は少しだけでも傷があると売り物にならない。卸せない。売り物になる前に捨てられてしまうのだ。この話は日本だけではなく、実はイタリアでも広がっている問題だ。売ることより捨てた方が赤字にならない

仲間の野菜たち

農家さんの体力と能力、いいものを作るために自分の人生をかけた結果、彼らは作る前から悲しい現実を見ているのだ。
日本人といえば「MOTTAINAI(もったいない)」のイメージで、これは世界共通で通じる。この日本のもったいない文化を活かして、農家さんの悲しい現実を少しでもいい方向へ持っていけるはずだ。

農家さんと消費者の繋がりはあるようでない、ないようである。
ここで具体的な活動を始めることで、「半分くらいは捨てるつもりで育てている」ことが減るだけではなく、その野菜への大切さを食べながら体で実感できる。
改めて、食の大切さに目が覚めるだろう。

この問題が解決しない理由

これを踏まえて考えてみると、スーパーなどの売り場は僕たちにとって実は、食品ロスについて考えるべき場所になるはずだ。なのに逆効果で、キラキラの食品を見てたくさんあることが当たり前になってしまう。消費者が持っている大きな武器は、「買う・買わない選択肢」なのだ。

食品ロスが減らない理由を言葉にすると目が覚める。買い物と調理への感覚が変わるだろう。
「食品の過剰生産(作りすぎること)」
「外観品質基準が厳しいため(見た目が全て)」
「食品を大量に見せるため売れ残り」
「家庭や飲食店での食品廃棄」
「自己管理ができていない」

食品ロス問題が減らない理由は意外とシンプルな結論である。家庭や飲食店の商品廃棄、買って使わなかった食品の期限切れ、食べ残しや過剰除去など。野菜を調理した料理はタッパーに入れて冷蔵庫で保存するけど、外食したり作った分を忘れたりすることで軽い気持ちで捨ててしまう。体からいい栄養がなくなる上に、このサイクルは時間が経てば経つほど酷くなる。ある意味これは、日常生活の中で普通の行動になってしまう。

どんな対策をすればいいのか考えてみよう

多めに作って捨ててしまうより、少なめにして必要な分だけを作る。手に入らなかった食品に対する知識は少しずつ変わる。買う行動の工夫が重要だ。必要な時、必要な分だけ買い物リストに追加する。さらに、生産量のことを考えてその保存と使い道を考える。

まずは消費期限賞味期限の違いをしっかり理解しないと自分の行動が始まらない。似ている言葉だけど、示している意味は違う。

消費期限はお弁当や総菜、食肉など日持ちがしない食品に表示される。日付を過ぎると急激に品質が劣化するものだから表示された期限を守って食べることをおすすめする。腐りやすい食品で命の危険性に繋がる。
賞味期限は、スナック菓子や缶詰、加工品などに表示されているおいしく食べられる期間の目安。

食品ロスを減らすアプローチは意外と行いやすくて、たった3つのキーワードを覚えれば食品に対する行動が始まると思う。

1. Reduce(リデュース):発生抑制
2. Reuse(リユース):再流通
3. Recycle(リサイクル):再生

僕たちができる具体的で簡単な行動

今日から誰でもできる簡単な活動がある。
家庭では、買い物をする前に冷蔵庫や食品庫を確認して必要な食品のみを買うことがポイントだ。食品ロスを無くしながら地球も人々も助けることができて、助け合いの輪が広がる。日常生活でできることから始まれば大きな行動に繋がる。何をすればいいのかと悩んでいる人が多いと思うけど、僕の具体的な対策を紹介する。

・見た目は全てではない。
・必要な量だけ購入する。
・食べたい料理ではなく、ある食材を使って満足できる味にする。
・使いきれていない野菜は次の料理に向けて準備して冷凍する。
・冷蔵庫の奥に新しいものからの順番に置く。
・定期的に食材のリストを更新する。
・慣れるまで少し面倒な行動になるかもしれないけど、作った料理や食材を計って分ける。
・食べきれていないものは捨てずに、次の食事に回すか野菜などを加えてアレンジするか。

ここまで書いたことをなかなか実践できない人も中にはいるだろう。そんな時にぴったりな選択肢がある。普通に食べられるけど規格外になってしまった野菜を使った商品、つまりリユースされた商品を選ぶことだ。
例えば、美味しい野菜を加工し作られた生パスタは、冷凍食品にすることで保存しやすいし好きなタイミングで味わえる。選んで買って食べるだけで食品ロス問題の解決になるのだ。このような例は食品ロスに欠かせない対策となっている。

食品の無駄な使い方を避ける知識を高めたら、より美味しく食べられるに違いない。料理へのリスペクトと大切さだけではなく、農家さんや職人さんへの感謝の気持ちも膨らむはず。当たり前なことが、実は贅沢なことだったのだと気付かされる。

この気持ちを大切に

この世の全ての食材は、子どもの時から大切な仲間でずっと見守ってくれているから、無駄にしないように考えれば食事は楽しくなるし、地球へ優しさも届く。農家さんの努力がなければ、日本料理の魅力が生まれない=自分の毎日も存在しなくなる。

環境に優しい行動と農家さんの大切さを忘れないように、心を込めて新しい知識を持って買い物しよう。そうすればきっと、より美味しく料理を味わえるはずだ。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。