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紫陽花と、ムラサキカタバミと、ドクダミ。

今日は行くところがたくさんあったので
とにかくたくさん歩いた。

帰宅後。椅子に腰をかけ、「ふうー。」と息を吐く。

「今日は頑張ったなあー」と思いながら
今日歩いたコースを振り返ってみる。

何度も頭に浮かぶのは、見かけた花たち。
紫陽花、ムラサキカタバミ、ドクダミ。


紫陽花


紫陽花を見つけると
歩くスピードを落とすか、時々立ち止まってしまう。
一つだけ咲いているということはあまりないため、紫陽花の集団を見つけては、「この中でどの色合いの花が好きかなー」と考えてしまうのだ。

“青”寄りのもの。
“ピンク”よりのもの。

“青が強め”のグラデーションのもの。
“ピンクが強め”のグラデーションのもの。

“真っ白”なもの。
“優しい緑”のもの。


…どれが一番好きか。
選ぶことができた試しがない。


どの色合いも、本当に綺麗だと思ってしまう。
人と同じ。いや、なんでも同じか。


誰に課された課題でもないのに、「選べないよー」と心の中で嘆きながらうっとりと紫陽花を眺めるこの時期。


“青”か“ピンク”か。
この2択に限っては、小学生の頃。
私の身の回りでは、その人のキャラクターやイメージを、文房具や服装など、身につけるものでよく表していた。
“ピンク”を可愛らしく堂々と取り入れる子もいれば
“青”でボーイッシュに決めている子もいて…
私はといえば
「“青”が好き」と言いながら、“ピンク”にも密かに憧れていた。

当時、初めて「ブランド」という概念を覚えたきっかけとなった
“青”が好きな「エンジェルブルー」派か
“ピンク”が好きな「メゾピアノ」派かに分かれ

「メゾピアノ」がよく登場する漫画『シンデレラコレクション』にどっぷりハマっていたっけな。


しかし
私はイオンのジーンズを履いて土や埃を気にせずに遊ぶのが好きだったし
友人からはなぜか「“黄色”のイメージだ」と言われることがほとんどだった。

そして今は、「薄い“紫色”」が一番のブームである。

紫陽花は、単色もグラデーションも美しくて
私の今のブームを最も刺激してくる植物かもしれない。


ムラサキカタバミ


小さい頃、時々、食べていた。

酸っぱくて、好きだった。

ピンクのお花が可愛らしくて
当時の自分にとっては美味しくて
ツツジの蜜と同じくらい好きだった。

今となっては毒性や健康被害を気にして、口にすることはまず考えなくなったけれど…小さい時というのは本当に、怖いものなしだな、と改めて思う。
それが恐ろしくもあり
羨ましくもある。

ムラサキカタバミと私の思い出の引き出しは、割と大きくて、色々と詰まっているんだな、ということを、毎年こうして旧友に会うかのように思い出している。


ドクダミ


ドクダミがたくさん咲いている様子を見ると、ちょっとゾワっとする。
…なぜだろう。

「ドクダミ茶」や「薬草」というワードが浮かび、たくさんのドクダミを見ると、たくさんのお茶や薬ができることを想像してしまうからかもしれない。

「独特な匂い」というワードが浮かび、思わず怖々と鼻を近づけようとしてしまうからかもしれない。

単に名前に「ドク」と入っているから「毒」のイメージがスッと頭をよぎるからかもしれない。


…なんにせよ、お茶や薬にできるくらいなのだから
とても素晴らしい植物だ。

その凄さゆえに
大量にいるのを目の前にすると、ちょっとだけ、たじろいでしまう。


毎年出会う、植物たち。

季節を教えてくれて
思い出を、再び思い出させてくれて
束の間、心を日常から遠ざけてくれる。

一年に一度会う約束をする「旧友」のようだな、と思った一日。

「久しぶり。今年も会えたね」

今日出会った植物たちに
こんな風に話しかけたい気分だった。




2024.6.4

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