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“成功”を定義し幸福になる~『残酷すぎる成功法則』読書記録①

下記、読了。

適応障害で休職中ということもあり、時間が許す限り、ここで根本的に自分自身を問い直したいという想いがあった。「成功」という言葉に引っかかった、という理由もある。しかし、読み進めれば読み進める程、最近私がぐるぐると思考を巡らしていた興味や個人的な結論めいたものとリンクしてきて、どんどん引き込まれた。

本書では、「成功」がエビデンスベースで語られ、科学的に証明され理論化され、さらには私たちが実行可能な形でその追求の仕方が提案されている。読み進めるにつれ、俗にいう「成功」というものが、実は非常に偏ったイメージで、表層的・部分的に語られたものだったのだと気づく。

現在の自分自身の状況に照らし合わせて、様々な切り口で記憶にとどめておきたい、記録しておきたい内容だったので、何回かに分けて書き記しておこうと思う。ベストセラーにもなっている本なので、書評や解説は別の方の記事に譲るとして、個人的に非常に強く興味を感じた部分について大項目から中項目へ降りてゆくかたちで綴ってみたい。


私の「成功」を定義する


本書では、

自分自身の特性を仕事や周囲の人びとと最適に調和させれば、キャリアの成功ばかりでなく、幸福や満足感につながる上昇スパイラルを生みだすことができる。

と結論づける。また、本書では、

成功=個人で定義するもの

としている。この文脈にも見て取れるように、わかりやすく言い換えるなら、「成功とは個人的、限定的なもので、幸福の条件のひとつではあるけれども、十分条件ではない」ということだと思う。

様々な科学的エビデンスに基づいて導き出された、「幸福の絶対条件」は、

他者との関係

であるという。ひと昔前の「成功者」のイメージと、こんなにもギャップがあるとは…(私が古臭かっただけなのだろうか?)アメリカンドリーム的な、時間も人間関係も、これと思い定めたひとつのことに全てを捧げ、地位や名誉やお金を手に入れる。しかし、その間に大事な人たちはひとり、またひとりと自分のもとを離れてゆく…といった、旧世代の成功イメージとは程遠いような印象を受けた。〈というよりむしろ、この漠然とした「成功イメージ」は「崩壊戦略」として本書では語られている〉

それでも、最近私がぐるぐると思いめぐらせていた「成功を目指さない生き方」という思想にリンクしてきて、どうしてもこのことを掘り下げてみたくなった。私がこれまで送ってきた人生を省みるに、「成功」を追い求めて失敗や挫折した経験があるのと同時に、「幸福の絶対条件」を無意識的に理解し、それを育んだりリカバリーに努めた時期もあったと気づくのだが、なぜ私にとって快適な後者の時代、を私自身が長く安定的に継続出来なかったのだろうと、自問自答してみる。

それはおそらく本書でも語られているように、私が自分なりの成功を定義できていなかったからであると思う。他者との比較ではなく、「わたしがわたしによって意思決定を行わなければならない」ということを、うすうす気づいてはいたものの突き詰めていなかったこと、最終的な部分で「世界に限界を設定してもらおうとしていた」のだろう。それはすなわち、「わたしが何を望んでいるのか?」という命題を、周囲の世界が私に代わって決めていた、ということに他ならない。だから途中でブレたし、忘れそうになったし、思い出すために多大な労力を費やすことになった。

そう、バランスも大事なのだ。

成功とは、一つだけの特性の成果ではない。


調整すること(アラインメント)


成功とは、

「自分がどんな人間か」と「どんな人間を目指したいか」の二つを加味しつつ、そのバランスを調整すること

だという。どのようにして、私にとって最適なバランスを知ることが出来るのか?まずは、「自分を知ること」である。そのうえで、「自分の特性と周囲の世界を最適な関係に調整する」

上記にならってみる。

私は内向的で時に外交的にもなれる、たいていのことは穏便に済ませるけれど、譲れない局面では事を荒立てずにはいられないナンバー2型のサーバントリーダーである。どんな環境でもたくましく生きるタンポポにはなれないが、適正な環境で手入れがされれば、創造性とユニークさを持った花を咲かせることが出来る蘭だ。また、大半のときは自信不足だが時々自信過剰で、セルフ・コンパッションを育む必要があるし、ギバーになりたいマッチャーであると思う。ようやく自分に合う池(=環境)を見出しつつあり、素晴らしい家族や友人たちとの絆を再確認し、感謝を深めたところでもある。


この特性を調整するために、

☑️最適な“池”(自分の強みを最大限活用できる場所)を探す

→複業ライター、note、オンライン上のつながり、リアルなコミュニティを企画したり参加したり、自分が重要で大切と感じる人と連絡をとる、など

☑️“増強装置”(強みと環境のセットで正のスパイラルを生み出すような)を活用出来る仕事かどうか

→一点突破の転職活動中 + 現在の職場との間でも業務の調整中 + どちらも困難となった場合の選択肢を思案中  [ここを妥協しない!]


☑️ストーリー作り

人生最期の墓碑に、どのような言葉で刻まれたいか考えて、その通りに今を生きられるような行動を選ぶ 「理想のストーリーの主人公になっているか?」(認知的再評価)

信頼出来る人間関係を育み、それを基盤に心身が健康で経済的な不安もない豊穣な人生を送った。彼女の言葉は人を救い、笑わせ、励まし、活力をもたらし、安らがせ、楽しませた。その行動によっても彼女は、自分自身や家族の未来を切り拓き、周囲を力づけ、関わるコミュニティーを幸福にした。その言動は常に周りを驚かせ、刺激を与え、それを意味のある唯一無二のものにした。

少し格好良すぎるけど、そうなれたら良いなと。


☑️“小さな賭け”で可能性を広げる

戦略的に諦めるために、多くのことを試してみて自分がやり遂げるべきことを見つける。興味の焦点が見つかったら、質<量で自分の時間の5~10%を小さくとも独自の試行錯誤に充てる [実験と選別] …WOOPの活用

Wish(願い)/ Outcome(成果) / Obstance(障害)/ Plan(計画)

W …働きやすい環境で、楽しく、セルフコンパッションと共に良い人間関係の中で働き、経済的不安がなくなる

O …ビジョンに共感できる転職先で夫婦で働き、心身ともに健康が保てて、かつ年収も上がる

O …人間関係の悪化、時間の不自由さでやめたくなったり、健康状態が悪化する

P …認知行動療法や通院の継続、意識的に気分転換や休息を設ける、社内の人に早めに相談する、運動やライティングの継続、合わない人には無理して近づかない


「調整」について、個人的な事情に当てはめて考えてみると、上記のようになる。私が「成功する」という状態になるためには、このようなことが必要で大切になると分かっただけでも、随分と整理されてきたように思う。


重要な調整


数ある「調整」のなかでも、最も重要ことは、

自分が望むような人になっていくのを助けてくれる友人たちや愛するひととつながること

だという。ここで、本書でいうところの「成功」が完全に腹落ちする。

どこかでははっきり自覚していたものの、ライフステージの変化や仕事に忙殺されるとなおざりになりがちだったのが、「他者とのつながり」だったのだ。これが損なわれれば、心身にたちまち影響が出たり、ワークライフバランスなどもどこかへ行ってしまう…挙げ句の果ては、仕事を辞める判断をせざるを得なくなって経済的な不安も引き起こす。死活問題に発展する要素であるのに、このことを忘れがちになることがある。

不妊から妊娠・出産、育休明けの復職、そして転職。良かれと思って、私自身と家族のQOLを向上させたいという思いで行動してきたが、結果的にオーバーワークとなり、休職。行動してきたことは何の意味もないとは考えていないけれど、この間も、そして恐らくこれまでの私の人生に微妙に欠けていた視点は何だったか…?

「限界を自ら設定すること」

「計画」→「調整」

であったと、この本で確信した。言い換えればそれは、「無限の選択肢に晒され、常に決断を迫られている状態から解放されること」であり、「自分自身が自分の人生に望んでいることを深く理解し、幸福に必要な複数の要素のバランスをとる」ことだ。

無限の選択の可能性は私たちに可能性を与えてくれるが、同時に「後悔する機会も増える」ということを意味する。例えば家でも休日でも「仕事をする」という選択肢が常にある場合、その他の全ての行動が仕事とトレードオフの関係になる。トレードオフされるのは、家族や友人、子どもと過ごす時間だ。

間違った選択をすればその責任は自分に帰され、選択のストレスがまた増える。懸命に働けば働くほどに、ますます気分が滅入る。「まずは、経済的自由を獲得してから人間関係を築こう」というシークエンシング(優先順位づけ)は功を奏さない。家族も友人関係も絶えず目を配る必要があり、そこに深刻な問題が生じる頃には、もう手遅れになっていることがほとんどだという。


これだった。

私が仕事をはじめると、しばしば感じてきた違和感や閉塞感の正体は。


「成功」は人間関係によってもたらされる


ライフステージの変化に合わせて、「限界値の設定」は変更しなければならなかったのだ。それを怠ったのが、適応障害へ至る原因のひとつにあった。それと合わせて、計画に不備があり、だから調整も最適化出来ないでいたのだと今は振り返ることが出来る。

休職中に自分自身を冷徹なまでに見つめ直すという覚悟のおかげで、少しずつ自分自身を知り、計画と調整を行うための具体的手段が見えてきた。それに何より、絶対にいつも覚えておくべき幸福の最大要素も。

最近の記事では「成功を追い求めない」ということを語ったけれど、成功を科学的に因数分解してもらったことで、結果的にはさほど遠くはない結論に導かれたようである。

大事だから、もう一度。

自分自身の特性を仕事や周囲の人びとと最適に調和させれば、キャリアの成功ばかりでなく、幸福や満足感につながる上昇スパイラルを生み出すことができる。

仕事はどうしたって、人生全体の幸福度と大きな関わりがあるけれど、順番を間違えさえしなければ、他者とのつながりが経済的にも社会的にも「成功」を連れてきてくれる。しかしそれは、あくまで自分自身の「成功」であり、計画や調整は自分で行わなければならない。

さて、計画を周到にするために、点検や補強すべき箇所はどこにあるのか…?

次回はそんなことについても、掘り下げてみたい。自分の次の一手と、未来の幸福をデザインするための「ワーク」として。

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