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映画/ドラマレヴュー

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観た映画やドラマのなかから興味深かったものについていろいろと。
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#イギリス

イギリスで起きている暴力と破壊の連鎖、その背景にあるもの。映画『ブルー・ストーリー』が描く「ギャングの事情」 初出:wezzy(株式会社サイゾー) 2020年8月30日

 筆者がたびたび寄稿していたウェブメディア『wezzy』が、2024年3月31日にサイトの完全閉鎖を予定しているそうです。そのお知らせの中で、「ご寄稿いただいた記事の著作権は執筆者の皆様にございます。ご自身のブログやテキストサイトなどのほか、他社のメディアでも再利用可能です」とあるため、こうしてブログに記事を転載しました。元記事のURLを下記に記載しておきますので、気になる方は閉鎖前に覗いてみてく

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窪塚洋介も好演!Netflix『Giri / Haji』が破壊するステレオタイプの日本人像と家父長制 初出:wezzy(株式会社サイゾー) 2020年2月15日

 筆者がたびたび寄稿していたウェブメディア『wezzy』が、2024年3月31日にサイトの完全閉鎖を予定しているそうです。そのお知らせの中で、「ご寄稿いただいた記事の著作権は執筆者の皆様にございます。ご自身のブログやテキストサイトなどのほか、他社のメディアでも再利用可能です」とあるため、こうしてブログに記事を転載しました。元記事のURLを下記に記載しておきますので、気になる方は閉鎖前に覗いてみてく

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壊れた社会のひび割れから、希望は生まれる 映画『ザ・キッチン』

 2024年1月19日にネットフリックスで配信が始まった映画『ザ・キッチン』は、公開前から楽しみにしていた作品のひとつだ。監督/脚本は『ゲット・アウト』(2017)で主演を務めたダニエル・カルーヤと、建築家としての顔も持つキブエ・タヴァレス。主演にはドラマ『トップボーイ』シリーズで名演を見せたケイノことケイン・ロビンソンが迎えられ、他にもラッパーのバックロード・ジーや元フットボーラーのイアン・ライ

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“優しさより正しさ”が欲しい者たちの世界を描きつづけた傑作 ドラマ『トップボーイ』シーズン5

 イギリスの大人気ドラマシリーズ『トップボーイ』がシーズン5でファイナルを迎えた。2011年にチャンネル4で初放送されて以降、5シーズンにわたって物語を描いた本シリーズは、ダシェン(アシュリー・ウォルターズ)とサリー(ケイン・ロビンソン)という2人のドラッグディーラーを中心に話が進む。ロンドンの裏社会を舞台に、命を賭けた縄張り争い、感情の機微が行きかう人間関係などを丁寧に描きながら、登場人物たちの

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ドラマ『トップボーイ』シーズン4

 さまざまなところで言ってきたことを繰りかえすようで申し訳ないが、ドラマ『トップボーイ』シーズン3(2019)は傑作だ。イースト・ロンドンのサマーハウス団地を拠点とするドラッグディーラーのダシェン(アシュリー・ウォルターズ)とサリー(ケイン・ロビンソン)が中心の物語による鋭い社会批評は滋味で溢れ、現実世界の問題と地続きの精巧なフィクションとしての輝きを放っている。
 『Bullet Boy』(20

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傲慢で身勝手な富豪どもクソくらえ! 〜映画『キングスマン』の痛快さと批判精神〜

『キックアス』シリーズで知られる監督、マシュー・ヴォーンの最新作『キングスマン』。結論から言うと、最高なんでぜひ観てください。スパイ映画という体を借りた、“傲慢で身勝手な富豪どもクソくらえ!”な物語なので。

 正直、『キックアス』シリーズは苦手です。試写で『キングスマン』を観るにあたって久しぶりに観たけども、父親に半ば洗脳される形で、ヒットガール(クロエ・グレース・モレッツ)が戦いに身を投じて

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