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日本のデモクラシーフェスティバル(デモフェス)に参加してみた

10/28(土)にデモクラシーフェスティバル2023に参加しました。
デモクラシーフェスティバルは、北欧生まれの対話のお祭り。北欧だと2万人から10万人の参加規模なのだとか。
北欧のデモクラシーと日本の民主主義の違い、デモクラシーの前提には何が必要なのか?、デモクラシーに取りこぼされやすい人にどうスポットライトを当てるか?

参加した以下のセッションの感想を含めています。
・オープニングセッション「デモ・フェスで、デモクラティックな子育てを考えよう。」臨床心理士/一般社団法人ジェイス代表理事 武田信子
・「デンマークの教育支援者ペダゴーが学ぶ“感情”について話そう」北欧教育フィーノリッケ(山縣茜)
・『「自律」についてカードを通して語ろう!~あなたにとって「自律」は大切ことですか?~』一般社団法人 HALOMY(神永英義、山嵜威志)
参加して感じたことや考えたことを書きます。


デモクラシーフェスティバル(デモフェス)とは何か?

発起人さなえさんより

  • 65年前、スウェーデンの政治家が想いを話すところから始まった

  • 北欧だと、参加人数は2万人から、多いところだと10万人ほど。

  • 北欧では行ったときからリラックスできる。なぜなのか?

    • 北欧を巡る中で、よく出てくる言葉『デモクラシー』。デモクラシーと民主主義は違うように感じる。

  • デモクラシーフェスティバルとは?

    • デモクラシーフェスティバルは対話のお祭り。

    • デモクラシーは、多数決ではない、生まれた時からやっていること。

    • 日本にデモクラシーを持ってくるには?

      • おもんぱかること、共感することはできているが、意見するのが難しい日本人には、対話の場が必要。デモクラシーフェスティバルが必要だ。

    • 生き方、日常、文化、偉い人だけが考えることじゃない。対話をたのしもう。

    • デモクラシーを知り、デモクラシーを実践する場として。

発起人クロマン・ソーレンさんより

  • 北欧が特別ということではない。

    • わからないこと、意見の合わないことは沢山ある。

    • ただその中でも、話し合うことはできる。

    • それが北欧の常識。

  • 対話をたのしむ、あなたの考えは?

    • 正解はない、好奇心を持ってたのしもう。

  • 前提として「北欧ではなく、日本のデモクラシーフェスティバルをつくる!」(さなえさんカットイン)

  • みんなでつくろう。本音で話す場を。

イベント会場付近に貼られていた味のある張り紙

デモフェスになぜ参加したのか?

2017年、デンマークのビジネスデザインスクール『Kaospilot』のCreative Leadership Workshopに日本で参加しており、今年6月にAlumniイベントでKaospilot創業者で元デンマーク文化大臣であるUffe Elbæk(ウッフェ・エルベック)さんのお話を聴く機会があった。市民の社会参画がひとつのテーマとして扱われていて、市民対話の場としてデンマークに『デモクラシーフェスティバル』というイベントがある、と教えてもらっていた。ググってみると日本でも『デモクラシーフェスティバル』が開催されていることを知り、市民対話を通してデモクラシーの学びを深めるために参加を。


デモフェス2023ではどのようなことが起きていたのか?

デモクラシーフェスティバル2023 東京リアルイベントは、日本ではじめてのリアル開催だったそうな。会場は東京・広尾の聖心グローバルプラザ。(ここ数年はオンライン開催)


セッションの構成

  • オープニングセレモニー:全体で

  • 前半セッション:6つのセッションからひとつを選ぶ

    • デンマークに学ぶ 日本流の幸せな生き方・働き方・学び方
      主催者:Happiness Catalyst
      出演者:犬尾陽子

    • 本が紡ぎ出す繋がり:思考のサードプレイスを体験しよう!
      主催者:(株)スタジオペガサス
      出演者:久米 由加利

    • 北欧の絵本にふれておしゃべりしよう
      主催・出演:さわひろあや

    • 日本の竹100%の紙に「竹紙」と名付けて社会に言いふらす
      主催者:一般社団法人 たねまき
      出演者:西村修

    • デンマークの教育支援者ペダゴーが学ぶ“感情”について話そう
      主催:北欧教育フィーノリッケ(山縣茜)

    • フォルケホイスコーレについて話そうDKJP

  • 後半セッション:4つのセッションからひとつを選ぶ

    • 繊細さん 敏感さん HSPさんいらっしゃい!
      つながり、語りましょう。
      主催:(株)サステナミー 皆川公美子

    • セシリエ・ノアゴーさんとジェンダー×子育て・教育について話そう
      出演者:セシリエ・ノアゴー/さわひろあや(訳者)

    • 「自律」についてカードを通して語ろう!~あなたにとって「自律」は大切ことですか?~
      主催者:一般社団法人 HALOMY
      出演者:神永英義、山嵜威志

    • 多数決をしない学校の意思決定とは?
      主催者:HILLOCK初等部
      出演者:HILLOCK初等部 ラーニングシェルパ、コゥ・ラーナー

  • クロージング

  • 交流会

セッションの終わり10分程度は、アンケート回答の時間となっていて、参加したセッションのアンケートをGoogleフォームで回答する時間がとられていた。場で感じたことや考えたことを言葉にしていく。
会場内では休憩&場面転換の時間に、スクリーンに海外のデモクラシーフェスティバル映像が流されていた。会場中央には、シールを貼って自分の立ち位置を表現する場や、セッションの中でどんなテーマが扱われていたか?を書き込むコーナーも。

5枚のシールを、あなたが投資したい推しのSDGsに貼ってください
あなたはどこにいますか?

参加したセッション:オープニングセッション「デモ・フェスで、デモクラティックな子育てを考えよう。」臨床心理士/一般社団法人ジェイス代表理事 武田信子さん


特に印象に残った部分

  • 現在の日本のこどもはどんな育ち方をしているか?

    • こどもを評価しない国があるのを知っていますか?

    • 受験は戦争

    • 残業のように学校外の時間でも勉強(他のことができなくなる)

    • 不登校、学ぶ権利の侵害

      • カナダでは、学校にこどもが行けないのなら先生が家に行くの?という考えに自然と至る(学ぶ権利の侵害の多様な解釈)

    • しあわせな時間は?と小学校6年生7名に聞いたら全員が、「ひとりでいるとき、眠っているとき」と答えた

  • 選挙に行ったあと、投票した人がその後に何をしているか追っているか?

  • 日本の多くのこども達は、虐待を受けているこども達と同じ身体症状を呈していると解釈できる。

  • 関連する概念

  • 社会的マルトリートメント、体罰が当たり前な社会

    • 家庭マルトリートメント、学校マルトリートメント、社会マルトリートメント、大人からこどもへのマルトリートメント

    • 家庭の中で、シングルマザーや貧困をハイリスクと扱うが、日本全体がハイリスクな状況では?家庭の養育能力、社会の養育環境。

  • お金の地位、こどもを育て社会人とう商品を出荷する、暴力を使ってでも

  • 日本のこどもに人権はあるのか?

    • みんな世界人権宣言は読んでいる?

    • こどもの権利条約は読んでいる?

    • 人権という概念が一般的ではない

    • 女、こどもの人権は意識できている?

    • 自分の人権は?先生の残業は人権侵害では?

    • 世界こどもの日を知っている?こどもの権利に向き合う機会

    • こどもと大人が対等に対話する、という考えはない

    • 老人真ん中社会、女真ん中社会、なぜ受け入れられない?

    • こども真ん中社会はなぜ受け入れられる?本当に実現すると思ってる?

  • デンマークのデモクラシー

    • おすすめ本『デンマークにみる普段着のデモクラシー

    • 対話や協議、相互の尊敬と理解、そしてここから生まれる全体利益に対する感覚

      • こどもはそこにいる?

    • 家庭内デモクラシーは、いつ実現する?

    • デモフェス参加者が増えたら変わっていくんじゃないか

  • 日本人が間違えやすいこと

  • 対話のために必要なこと

    • 人権の理解が必要

    • こどもの人権

    • 乳幼児の人権は、知識として知ることが必要

      • 赤ちゃんの声をきいている?

    • 権利、人が人として大切にされること。そこから対話がはじまる。

    • こどもの権利条約は、18歳以下という広い範囲で書かれている。乳幼児は?

    • スコットランドには乳幼児の声を聴く、乳幼児の誓いというものがある

  • 『デンマークに見る普段着のデモクラシー』

    • 私はどう育てられればいいでしょうか

      • どうしたい?どれがいい?決めること、判断すること、責任を持つこと

      • どれくらい相手に選択肢を与えられているか?

      • 選ぶ、決める機会を与えられ練習する

  • デモクラティックな子育て

    • 学びは内からくるものでなくてはならない

    • 3割は対話の時間になるように

    • 保護者会や授業で、3割は対話できているか?

  • 今よりもデモクラティックな生き方とは?(グループ対話の問い)

  • デモクラティックになるには?(グループ対話の問い)

セッションでどのような学び気づきを得たか?
そもそもデモクラシーを知らない、という井の中の蛙であることを実感できた。デモクラシーの前提には何が求められるのか?人権をどれだけ意識できているか?組織開発に取り組む中で、対話と議論を混同している人の多さは気になっていた。場の中で3割は対話できているか?日常の中でデモクラシーを実践しつつ、どうデモクラシーを意識していくか?

これからどんなアクションをとっていくか?
世界人権宣言を読む、こどもの権利条約を読む、スコットランドの乳幼児への誓いを読む、『デンマークにみる普段着のデモクラシー』を読む、学び気づきをnoteで発信する、身近な人とデモクラシーについて語り合う


参加したセッション:
デンマークの教育支援者ペダゴーが学ぶ“感情”について話そう
主催:北欧教育フィーノリッケ(山縣茜)


デモフェスには昼休憩がなかったので、セッションよりもランチを優先させて、30分ほど遅れて参加する。

ランチでいただいた餃子チャーシュー定食

ペアワークやグループワーク中心で場が進む。

ペアワーク
・しあわせだな、と感じたことをお話ください
・しあわせだと思った感情は、どんな言い換えができますか?

ペアワーク
・いやな気持ちを感じたことをお話ください
・いやな気持の感情は、どんな言い換えができますか?

セルフワーク
・しあわせな感情、いやな感情、それは身体のどこで感じていますか?

こどもや他者に対して、感情を言語化する支援をすることが、感情を捉えるトレーニングにつながる。

嫌な感情、解消するのに何をしていますか?

感情の発散
外に発散すると落ち着くもの:怒りは走ったり力を発散させると落ち着きやすい
内に向き合うと落ち着くもの:書き出す、小さなものを手を動かしてつくってみる

赤ちゃんはどう気持ちを落ち着けるのか?
不快な感情が生じた時に、自分から近づこうとする、くっつこうとする
アタッチメント、触れることで不安解消になる

こんな時、どんな言葉をかけますか?(ブランコで遊んでいるこどもの写真)
大人が感じたことを口にすると、感情の社会化が起きる
こどもの気持ちを代弁すると、ラベリングされる
自分の状態に気づきやすくなる、言葉で訴えられるようになる、感情の調整や相談ができるようになる

デンマークのイノベーション
想いや感情を伝え合うことができる
自己表現の中に感情がある

セッションでどのような学び気づきを得たか?
感情の言い換えは、対話型鑑賞のパラフレーズに通じるように感じた。そういえば1on1でよく感情の言い換えをやっていたような。

これからどんなアクションをとっていくか?
ジャーナリングやインナーワークで、感情の言語化をしたときにパラフレーズは扱ってなかったので、パラフレーズを試したい。感情を身体のどこで感じているか?は意識していきたい。

参加したセッション:
「自律」についてカードを通して語ろう!~あなたにとって「自律」は大切ことですか?~
主催者:一般社団法人 HALOMY
出演者:神永英義、山嵜威志

ペアワーク
気になるカードを一枚取り、自分が見えたもの、それを聴いて相手が見えたものを伝え合う

Poinds of Youの説明
コーチングは高価だけど、貧困層にもコーチングは提供すべきだ。そこからPoints of Youというコーチングカードが生まれた。
ペイフォワード、自分がPoints of Youのワークを受けたら、別の誰かにPoints of Youのワークを提供しよう。
同質性のパターンを壊す、普段と違うものを引き出す。
自分を引き出す、他者から引き出される。

Points of Youのカードが広げられている。ところどころにジブリフィギュアが。

自律とは何か?
やっていいこと、だめなことの区別をすること。
自分を律する。
自律は、自分で考えてセルフコントロールすること。
自立は、ひとりだけでできること。

自律を想起するカードを一枚選ぶ。
自分が写真の中にいるとしたら?どこにどのようにいたい?
写真の中で足りないものは?
目に惹きつけられるものは?
この写真は好き?嫌い?
写真をみる一分前は何をしていた?

ペアワーク:問いについて語り合う
自律は大切ですか?
みんなが自律できていると世界はどうなりますか?

国連が自律を禁止することになりました。
自律禁止を想起する1枚カードを選ぶ
ペアワーク:問いについて語り合う
自律禁止に対してどう思いますか?
どんな世界が待っていると思いますか?

好きな顔写真のカードを選ぶ
ペアワーク:選んだカードを交換して
そのカードは自律に対してどのような意見がありますか?

現在の自分、将来なりたい自分を想起するカードを1枚ずつ選ぶ。
3-4人でワーク
ひとりが、カードを見せる、どちらが現在か将来かは伏せる
他の人が自由な解釈で、現在と将来である理由を話す
カードを選んだ人が、現在と将来として選んだ理由を話す

ぼくが選んだカード
左上:自律を想起する
左真ん中:自律禁止
左下:ペアパートナーが選んだ好きなカード
右上:現在or将来
右下:現在or将来

セッションでどのような学び気づきを得たか?
貧困層へのコーチング提供というアプローチは、貧困層に加えて貧困マインドの広がる企業にも使えそう。カードや対話を通じて、「自律」と向き合うことができた。ペアワークを通じて、対話型鑑賞で鍛えられた鑑賞や、ふりかえりや対話で鍛えられた意味生成を面白がってもらえた。

これからどんなアクションをとっていくか?
対話型鑑賞に興味を持ってもらえたので、デモフェスで対話型鑑賞会をやって対話型鑑賞を知ってもらう。組織内でPoints of Youのようなツールをどう組み込んでいくか?を考える。

デモフェス2023に参加してみて

ここまでで参加したセッションの様子や、ぼくが考えたことをご紹介してきました。
北欧の「デモクラシー」と、日本の「民主主義」の違い。様々な視点を通して、「デモクラシー」がアンラーンされていく。北欧の「デモクラシー」と、ミンデルの「ディープデモクラシー」には共通するところがあるんじゃないか。プロセスワークも、あらたな学びが始まるところなので、「ディープデモクラシー」を含め学び直していきたい。

「個性的な人ほど、個性に蓋のされる日本社会」「市民の社会参画が促されることで、個性の蓋が開いていくのではないか」という仮説を持っているけど、個性の蓋がなんなのか?に一歩近づけた気がする。

デモクラシーフェスティバルを通じて、「デモクラシー」など自分の探究テーマを深掘りしていきたい。そのために今後ボランティアや出展者として関わっていこう。

まだまだ認知度が低く、相性の良さそうなWSD、哲学対話、プロセスワーク、Kaospilot Creative Leadership Alumniなどのコミュニティと混ざってなさそうなので、このあたりのコミュニティをかき混ぜていけるといいな。



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