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WSD同期かなちゃんに聴く、本と人とABDと。

WSD Advent Calendar 2022 1日目の記事です。
インタビュー実施日 2022.11.15/記事公開 2022.12.01
語り手:かなちゃん/聴き手:ちょなん

「一緒にやってる人で一緒になってるけど、Slackにまったくノーリアクションだと気配は感じられないよね。
「テレワークでやってて、同じチームです。一応、共通のSlackがあります。でもなんか、たとえば私がやってる投稿とかに何の反応も誰もありませんって言ったら、なんかツールの向こう側に気配がないじゃん。なんかそれって一緒にやってるって言えるのかなっていうのは結構思っていて。」
『部門の人たちが全員入ってるSlackチャンネルに投稿するっていうのを、そもそもやったことないみたいな話であったりとか。「Twitterアカウント作ったけど1回もツイートしてません」みたいな感じになってる気がする。ワークショップだったら、まず簡単なワークから入って、とりあえずひとり一言話してもらうとかやっちゃう。あの辺が足りてないような気がするので、そもそもやったことないから、まだ慣れてないんじゃないか。やってみたらなんちゃない気がするんだけど。』

2022年11月、都内WeWorkの会議室で。
ひさしぶりにリアルで会った青学WSD(※)29期同期のかなちゃんと、なんとなく話がはじまる。

※青学WSD=青山学院大学 ワークショップデザイナー育成プログラム、かなちゃん&ちょなんは2018年度 29期の修了生で、ふたりとも認定ワークショップデザイナーでもある。

チェックイン

─── チェックインしますか。テーマはなしでいこうかな。今の気持ちとかなんでもOK。

かなちゃん:今の気持ちは、すでにエンジンがかかってる。もう結構たのしかったよね。今日はすごい楽しみにしてきたよ。

─── ちょっとチェックインがてら、笑ったのが直前の到着ギリギリになります連絡のやりとり。

かなちゃん:あれすごくない?

─── あれはすごい。

インタビュー直前に、かなちゃんから届いたメッセージ

かなちゃん:この鳥はゴイサギっていう鳥の幼鳥。今年、巣立ったばっかりの子なのね。茶色い星印がある、ホシゴイちゃんと呼んでるんだけど、ホシゴイちゃん今年育ったばっかりの幼鳥で、色がついているサギ類はアオサギとかゴイサギとかいるんだけど、夜行性なんだよ。昼はこれやってるの珍しい。きっとごはんがうまく取れなかった。居残りじゃないけど、今日曇りだから、早い時間から活動してんのかわからないけど。こんな写真が普通にスマホで撮れるような時間帯に、普通にいるの珍しくて。ふっと見たら、くわえてるからワーッて止まって写真を撮ったっていう。

─── (笑いながら聴いている)

なぜインタビューすることに?

─── なぜこの形式になったかって言ったら、何だろうな。ぼくらしいっつったらあれだけど、自分ひとりで記事を書くっていう行為そのものに若干飽きが感じられるというか。どうせWSDの記事なんだから、もうちょっとワークショップっぽく書きたいよなってなった。誰かと話しながら書くとか、今回みたいなインタビュー形式とか、そっちの方がなんかワクワクするなみたいな。かなちゃんに声をかけた理由は、かなちゃんとの共通点の多さ。

かなちゃん:今年は多かったよね。

─── 仕事を一緒にやったり。

かなちゃん:ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®)(※)も何回か一緒にやったし、そっからちょなんがプロセスワークに旅立って行ったし。かと思えば組織開発界隈でまことさんから連絡来るし。着々と遠回りに知り合いが増えてるな。講座もかなえさんの講座だったんでしょ?

─── そうそう。ODNJの組織開発基礎講座と、日本プロセスワークセンターのプロセスワーク入門講座に参加したら、講師がふたりともかなちゃんの知り合いだという。共通点が多いっていうのもあるし、個別によくね1対1で話したりとかして、仲良しってのもあるけど、やっぱ共通点が多いからなのか。かなちゃんだから話せることが沢山ある。たとえば社内で組織開発を語れる人ってそんなにいないとか、プロセスワークなんつったら更に少ないとか、ワークショップの話だったら似たようなもんでっていう感じで。組織開発を一緒に学んでるとか、プロセスワーク一緒に学んでる人とは話せる。けどそれ以外の人で誰と話せる?って言ったら、WSDの同期の中でも多分かなちゃんが、今一番いろいろ話せる相手になってる気がするので。すごくやってることの近さみたいなところであったり。

かなちゃん:あとね、多分一番重ならないのが、システム屋さん、それを属性として備えてる人はめっちゃ少ない。あんまり言葉にしなくても、きっとこういう状況のことを話してるんだろうなみたいなのが、共有できてんなって感じがするから。いきなり本題に入って大丈夫みたいな話しやすさはめっちゃある。

─── SIerの人がWSDにっていうのは、見かけるけど少ないっちゃ少ない。

かなちゃん:少なくともエンジニアで手を動かしたことある人はあんまりいないよね。(※)

─── それは極端に減りそうだね。

※ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®)は、一冊の本を分担して読んでまとめる→発表&共有する→対話を通じて気づきを深める、という流れを通して本を味わう読書ワークショップ。今年はかなちゃん主催のABDで、『LISTEN ― 知性豊かで創造力がある人になれる』『プロセスワーク入門 ― 歩くことで創られる道』『学習する組織』の3冊を読んでいた。
※かなちゃん&ちょなんは元々ソフトウェアエンジニア

ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®)への愛

─── かなちゃんが、一番ワクワクしながら取り組んでいることは?

かなちゃん:今、ABDが熱いよね。私の中でね。

─── かなちゃんといえば、ABDのイメージは強いよね。いつもABD愛を語ってるよね。

かなちゃん:ABD好きだなって思ってたのが、今年はすごいABD愛が高まる年だったな。いやまだ付き合い始めて3年ぐらいだけど。今日ちょうどさっき、ふと思ったのが。私はワークショップが好きだけど、ワークショップの何が好きって、やっぱこの人から見たことをフィードバックされて、新しい視点が持てたりとか。新しい自分の領域が広がっていく感じが、すごい楽しいのね。

─── うんうん。

ワークショップで対話していく上で、具体的にはどうすんのっていうのが必要で、私はやっぱ本がすごく好きだったから、「ワークショップ × 本」が私のABDで、すごい好きなことだなと今日もさっきちょっと思ってて。私の中で言ってるワークショップって何だろうな。やっぱり自分と違う人、自分じゃない人の話を聴いて、自分の世界が広がっていくのが楽しい。ちょなんから見るとそんな風に見えるのか、とか。いやそれ違うと思うけど、すごい嫌だってことは私的にはそこは譲れないポイントなんだなっていうのに、気づいたりするっていうのが何かワークショップの中で楽しいこと。だから、そこにフォーカスあてているところはあるかな。

─── ワークショップを通じて、触れられるものであったりとか見えるものっていうのと、大好きな本が掛け合わさると、何が見えてくるの?

かなちゃん:続けるのが苦にならない

(ふたりで爆笑)

かなちゃん:場が好きなんだよねっていう風に思ったとしても、場を作る目的が必要じゃん。人との考え方の違いを知って、楽しさが生まれるよねっていう風になって、そういう場を他の人とも味わえる場を作りたいよねっつったら、何かないとさ。何してそれやるってなるとコンテンツが必要。自分のたとえば専門性がキャリアであったりとか、自分がそういうことにすごく興味がある人だったら、自分の価値観をシェアするワークショップを、もう永遠にやるみたいな。でも多分楽しいっていうのと同じように、何か自分はなにでそういう場を作るんだろうと思ったときに、本が好きだなって。いいじゃな〜い、永遠にたのしいじゃない、みたいな。

本のなにが好きか?

かなちゃん:本の何が好きか。ビジネス書を読むのは私苦手なんだよね。物語はすごい得意なんだけど、なんか子供のときから小説を読んでるから、文字面を追って理解するっていうよりも、入ってきた文字を脳内でイメージとして展開してたよね。その登場人物の視点で書いてあることを見てるんだよね。だから読んでるんだけど、こっち側では映像が展開してたりとか、自分の気持ちがすごい動いたりするような読み方がすごい得意なの。全然ビジネス書に向かないよね。その読み方。何か知識を追いかけるんじゃなくて、体験として味わうみたいな変換されるのが、自分の本の読み方にもすごくあって。そういうのがある。楽しいからやろうよみたいな、別に誰かのためにやってるわけじゃないしABD。私が読みたいから、ちょっと悪いけど、興味ある人集まって一緒に読んで、みたいな。

─── 聴いてておもしろいなって思ったのが、「私は本が好きです。なぜならば」っていうところが、めちゃめちゃ言語化されてる。自分の体験だったりとか本を読んでるときに、自分がどういう本の読み方をして、それこそ登場人物の視点で見てるみたいな。読書体験みたいなところがめちゃめちゃ好きで、それがすごく何て言うんだろうな、私の楽しみ方みたいなものが手札が沢山ありそうな気がする。本の遊び方を色々わかってるから、この遊びにワークショップを結びつけたら色々できること考えられるみたいな。

かなちゃん:それはある。あとは自分の興味、興味が学びに向いてる。ちょっと飛ぶけど、人生で起きることってそんなに変えられないと思う。良いときもあれば悪いときもあって、なんか常にハッピーみたいなのはないじゃん。って思っててそっちは変えられないけど、受け取る側は受け取り方を変えることはできると思う。たとえば周りの人から見てめっちゃ落ちてんじゃんみたいな。けど私的にはいやこれ乗り越えるべき試練なんだって思えれば、別になんか悪いことじゃない。あとは上がるだけ。でもそういう受け取り方ができるかっていうのは、何か自分の見識の広さに寄るなって。起きてることにどういう意味づけをするかは、こっち側の問題だなって思っていて。何か本を読んで、いろんな過去の叡智に触れたりとか、いろんな人の考え方に触れるとそういう考え方もあるんだとか。この目の前の事象を通して向こう側にこういうことが見えるみたいなのが、手札が増えてそれこそ手札、解釈の手札が増えると思うのね。学ぶと。だからやっぱりいろんな知識とかに触れてほしいみたいな。私が本を読んで救われてきた部分がすごくあるから、何かそういう楽しさがあるんだよって。なんかあっても本はいつもあなたのそばにいるよって。本が好きだから本を読む人が増えればいいなってのもあるし、本が好き。本が好きな内訳がいっぱいあるね。多分。

─── ちょっと違う言葉を使ってるけど、「ワークショップが好きな理由」と「本が好きな理由」って同じだよね。

かなちゃん:同じだね。インプットが書籍か人間かみたいな、どっちも知ると自分の世界が広がる。なんかそれはあるな。本は本だけで1人で読んでても、その著者との対話になんないんだよね。ABDを通して参加してる人の声で聴くとか、自分が声に出すみたいなことをして初めて、難しいこと書いてある本が立ち上がってくる。立体的、ていう感じが好き。だからビジネス書を読むのが好きなわけじゃないんだよね、1人でインテグラル理論を読めるかっつったら、無理ですわってなるし。

─── うんうん。

やっぱりあなたと読むのが楽しい、誰かいて。1人で読むのが楽しかったら、そもそもABDやらないしさみたいな、1人で読めばいいじゃないってなるから。あなたと読むのが楽しいみたいなのは。そうなんだよ。あとね、読書ってすごい1人の体験に閉じるじゃん。オススメしてもさ、あんまり読んでくれないじゃんみんな。読むねって言っといてこれ、「こないだ読んだ?」みたいな、読んでないみたいなのもなんか普段普通だったら1人の体験に閉じちゃう読書が、ABDで開かれるみたいなのはすごい。ABD愛を語ってるね。

本や人との関係性

─── かなちゃんはよく大事にしているものを指す言葉として"関係性"という言葉を使うじゃん。ABDの場の中で大事にしている"関係性"について聴きたい。

かなちゃん:私が言ってる関係性は人間関係っていうことじゃなくて、本と自分の関係ってあると思うんだよね。「インテグラル理論」って本と自分の関係もあるし、書籍全般との関係もあるし、その場にいる人との関係もあるし。1人で生きてないじゃん人間って、常に周りに環境があって、誰かいて喋ってなくたって場を共にしてたらなんとなく関係はある、濃い薄いはあるけどみたいな。何かその関係性がなんだろう、紡がれたり結ばれたりするといいなみたいな。

─── うんうん。

かなちゃん:何かその人の目を通してフィードバックをもらって、なるほどねってなるときって、自分の脳みそが拡張されてるなって思うのね。集合知じゃないけど、そっちの脳みそも外付けで使ってます。みたいなそういうのがあってまあ、メタファー的にはネットワークで繋がっている。IoTのセンサー繋がってるし、パソコンもつながってるし、こういうデバイスも繋がってるしみたいな。そこにいるWi-⁠Fiを捕まえて結びたいみたいなのは、場のその自分が作る場においては、特にそういう願いがあるかもしれない。繋がればいいな、みたいな参加してる人同士がお互いの話を聴いて、そういうこと思ってたんだとか。自分はすごい何かいいこと言わなきゃって思ってたな。そういう自分に気づいて自分と自分の繋がりをもう1回確認したりとかするのを起きてほしいなって思うし。なんかそこのABDで一緒になってくれた人が別のところで一緒になったりとか、その2人の中でのやり取りがあってその人の新しい出会いが、その先にあったりとか、次の本に繋がってたりとか。何か起きるといいなとは思っている。

─── うんうん。

かなちゃん:最近、もうちょっとおせっかいになりたいって思ってる。無理やりな関係性ってすごい苦痛じゃん。押してこられたりとか、断りたいみたいのもあるし、断りにくいストレスみたいなのがあるし。あとはやったときに断られたら切ないみたいなのもあるけど、でも私が願っている世界をつくるにはもうちょいおせっかい味が必要という。もうちょっと働きかけてもいいんじゃないかな。なんか断られたら怖いとか断られたら悲しいみたいなのが、私を不自由にしてるなっていう感じはしてる。まだ乗り越えてはいないと思うけど。

チェックアウト

かなちゃん:聴いてもらってその本とワークショップみたいなところは、もうちょっと何か自分で整理した方がよさそうだなと思った。今日ちょうど、歩いてるときに「本 × ワークショップ」はABDなんだよな。私にぴったりなやつだなって思ってたところ、もうちょっと今日、ちょなんが聴いてくれたみたいに、本だったら本の何がいいのみたいな。いろんな本の好きなところみたいなのがあったし、ワークショップだろうが本だろうが、結局同じことだったよねみたいな、どっちも自分にとってインプットだったよね。

─── うんうん。

かなちゃん:何かもうちょっと言語化して整理するとなんだ、やりたいことがはっきり見えるとか、人にもうちょっとちゃんと説明できるようになるみたいな。質問してもらってよかったって思ってるところ。


編集後記

音声を聴いて人力で文字起こしをしていたけど、かなちゃんの言葉づかいがおもしろくて。なるべくそのままかなちゃんの言葉を味わえるように表現したくなって、Nottaを使った音声文字起こしベースの記事にする。
改めてかなちゃんのおもしろさを味わういい機会になった。こんなに読書という体験に執着があるのか。かなちゃんの関係性というのは、人に限らずモノやコトとのつながりでもあるのか。人との対話を介して、本や著者との関係をつくるように、本や人との対話を介してABDとの関係をつくっているんだろうな。そしてそれらを通じて、より深く自分とつながる機会にもなる。
ワークショップっぽく記事を書きたくてこういった機会をつくったけど、聴くことや対話することを通して、収集した事実や解釈から意味を生成していく。対話型鑑賞(ACOP)のような記事となった。
コラボ企画に快く付き合ってくれたかなちゃんに感謝。

合わせて読みたい:WSDアドベントカレンダー 7日目 かなちゃんによる記事はこちらから


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語り手:かなちゃん
聴き手と書き手:ちょなん
音声文字起こし:Notta
推敲支援:文賢


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