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読書エッセイ『ガザとは何か』~どうして重たい本を手にとるのか~

最近、気になり続けていた岡真理著『ガザろは何か』を購入し、読んだ。

寺地はるなの『ビオレタ』を読んでいる中で、時事関係の本を手に取りたいと思った。
ニュースやSNSで途切れることなく流れるひどい現実。
なぜガザで起きていることを自分なりの解釈を持ちたかった。

衝撃的な本だった。
第三者とは何なのか、はっきり自覚させられた。
はっきり言うが、読み進めていくのがつらい。ガザの置かれている現状、植民地主義国家が意図的に作った構造をわかりやすく、そして、そこにある理不尽さ、卑怯さが切に伝わってくる。
人をないがしろにする仕組みを作り、そこに何の罪もない人々を落とし込み、知らぬふりをする。
こんなことがまかり通ってきたことを今更ながら自覚した。

これは岡真理さんの講演を書籍化したもので、基本的にですます調で続いていく。
ガザの解説書というよりも語りだ。
これは世界規模の出来事をそばで感じられるようにする試みだと思った。

でも、自分の日常は平和だ。
静かに着々と仕掛け機械のようにルーティンの中を生きている。
この本は通勤中の電車の中で読み進めた。
両隣の人と肩を押し付けあいながら、悲惨な現状、史実を読む。
そんな行為が違和感を覚える。

命の危険はないけど、ストレスフルな日常を生きてる。
世界はむちゃくちゃだなと思う。

暴力とは、虐げることだ。

隔離され、縛られ、殴られる。

広辞苑で暴力の定義を調べた。

乱暴な力、無法な力、なぐる・けるなど、相手の相手の体に害を及ぼすような不当な力や行為とあった。

なぐる・けるがひらがななのが良い。
日常生活の人間関係での悩み事がつきないまま、はるかにひどい目に遭っている人々のことを知る。

そうしているとなぜ、自分は重たい、憂鬱になる本を手に取るのか、不思議に思う。
本を読んで知る、ということは自分の胸の中に落とし込む行為だ。

自分だけのリズムで書かれた言葉を咀嚼し、一部とする。
知りたいを満たすと次が生まれる。

一番記憶に残ったのは、『アパルトヘイト』と『ジェノサイド』という単語だ。
これまで一時期のニュースとして消費し続けてきた自分と社会がどれほど無関心だったのか、痛感させられる。いや、自分を痛感させる為に手に取ったのだと思う。

この本を読んでしばらく経った日、川崎市登戸にある『あたたかい家』に行った。

アーティスト 100 名の作品と室内を満たす音楽が出迎えた。

切迫したものを感じつつ、人としての温かさを感じる作品たちだった。
と特に印象に残ったものを載せる。

あたたかい家にて


購入したバッジと無料だったキーホルダー つけていこうと思う。

中には空虚さを感じるものもあった。

家の前にあるベンチと室内のソファや本棚が落ち着ける雰囲気を醸し出す。

人との交流が自然と生まれる場所だった。

日本でパレスチナのことについて、悩んで知ろうとする、感じようとする、行動しようとする人たちの姿がそこにあった。

自分は日常と地続きの現実を知りたかったのだとその時わかった。
あきらかに知るのがつらい対象に対して、自分の気になる、ちょっとした気持ちを大切にして悩んで話していける自分になりたい。

最後に、ガクッとなるかもしれませんが、僕が棚主として選書した本を売っている調布市仙川にあるシェア型本屋『センイチブックス』で主催している読書会の告知をさせて下さい。

『ゆるい読書会』2回目!
【日 時】6/1(土) 18:00~20:00

参加費:無料

テーマ:『パレスチナ』

その場で話すもよし、本を読むのもよしの読書会です。

テーマを決めて、それに関係する本をあらかじめ用意しています。

イベント開催時間は、 本屋も開店しており、出入り自由の読書会です。

主催者が持ってくる本

・『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』 著:岡 真理 2023 年 12 月刊

・『パレスチナのちいさないとなみ』著:高橋 美香 2019 年 6 月

・持ってくるもの 特になしですが飲み物、テーマ『パレスチナ』に関連すると思った本があると話しやすいと思います。


・ゆるく読書家になる時間ルール

1. ひとのはなしをよく聞く。

2. 強引な勧誘など、人の迷惑になる行為は禁止

参加申込 Peatix
申込は以下から↓

プロフィール
主催者
小川 正大
センチブックス棚主棚名:TREE’S BOOK
読書と散歩が趣味。
HP


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